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『マーケティング5.0』は私たちの仕事をどう変えるのか?

1.はじめに

これは「マーケティングの本」でありながら、非マーケターの仕事にもインパクトを与える本だ。

かくいう私も営業職(非マーケター)であるが、自分の将来の仕事の在り方を考えるきっかけとなった。

同じ感想を持ってくれる人がいれば嬉しいと思いながら、本書の要約と感想を共有したい。

2.「マーケティング5.0」の概要

(1)「5.0」とは?

まず、「5.0」はマーケティングの進化を意味する。
マーケティングと一言で言っても、時代・環境の変化に合わせて、最適化されてきたのだ。

マーケティング1.0~4.0概要

「マーケティング5.0」では2022年現在~未来に向けて、マーケティングはどう進化するのかが論じられる。


(2)なぜ今「5.0」へ進化するのか?

では、なぜこのタイミングで「5.0」が登場するのか?
コトラー氏は①世代間ギャップ、②富の二極化、③デジタル・デバイドの3つの課題を挙げる。そして、それらをマーケティンで解決できると論じる。

マーケティング5.0が取り組む3つの課題
世代間ギャップ
デジタル技術

「マーケティング3.0」以降、企業の社会的責任が論じられてきた。
マーケティング5.0」では更に踏み込んで、企業が主体的に、顧客の抱える富の格差解消(パイの取り合いではなく、パイの育成へ転換)、デジタル格差の解消とデジタル技術の普及を推進するように述べられる。

企業の役割の大きさと、それを実現しようするマーケティング5.0のコンセプトの壮大さを感じる。

(3)「マーケティング5.0」の定義と構成要素

ここから、「マーケティング5.0」をより詳細に定義していきたい。

マーケティング5.0の定義

これを更に分解すると、「マーケティング5.0」は5つの要素で構成される。

「マーケティング5.0」の構成要素①
「マーケティング5.0」の構成要素②
「マーケティング5.0」の構成要素③
「マーケティング5.0」の構成要素④

上記の活用例を見ると、「マーケティング5.0」の実現したい世界観を想像できるのではないだろうか?

(4)「マーケティング5.0」の普及

しかしながら、どんなに立派なコンセプトも実現しなければ絵に描いた餅だ。
マーケティングの5.0」を実現し、企業が存続し、顧客が恩恵を受けるためには、企業側と顧客側の双方の努力が必要となる。

下のように図では、企業と消費者がともにデジタル技術を活用し、マトリックスの右上を目指すことがゴールだ。
図にすると簡単そうに見えるが、どう実行していくは各企業、各消費者個人に委ねられている。

「マーケティング5.0」の進展確認マトリックス
「マーケティング5.0」実現のための取り組み

(5)「マーケティング5.0」まとめ

要約の最後に「マーケティング5.0」の解決したい課題と実現したい世界観をまとめておく。
これからデジタル技術の活用によって、今まで解決できなかった課題が解決されていく。

デジタルの世界では往々にして一番乗りの企業が有利になる。「参入が早い→より多くの顧客データを集められる→顧客への提案内容の質があがる→評判が更なる顧客を呼ぶ」といった循環が起こるからだ。

「マーケティング5.0」を企業が取り組むにしても、そこで働く個人が取り組むにしても、早いに越したことはないだろう。

「マーケティング5.0」が解決する課題


3.「マーケティング5.0」は組織と個人へどのようなインパクトをもたらすのか?

「マーケティング5.0」を読んでの所感だが、冒頭に書いた通り、非マーケターの働き方にも影響必至では?ということだ。

組織人として、大量の顧客データを正しく取り扱う倫理観が求められる。

頭もデジタルの考え方に切り替えなければいけない。『アフター・デジタル』(藤井保文、尾原和啓著)の言葉を借りれば、OMO(Online Merge Offline:常時オンラインでデジタルがリアルを包括する世界観)である。
もはや自社のためにも、顧客のためにも、デジタルを知りませんとは言えない。

組織の構造もマーケティング部の定義が変わるかもしれない。マーケターが全デジタル技術を完璧に習得することは困難だろう。
加えて、顧客接点をマーケティン部以外も持つ時代が到来するのではないか?顧客と開発部と製造部をつなげて製品開発をしたり、自社製品のストーリーを売ることもあるかもしれない。顧客の要望・不満も常時オンラインを通じで即時に各部門に通達されるかもしれない。

私自身も含めて、全部署の全従業員がデジタルの知識、マーケティングの知識を持つことが、企業の競争力につながると危機感を持った。

『マーケティング5.0』働き方への影響
『マーケティング5.0』働き方への影響

#読書感想文   #マーケティング #デジタル #組織 #仕事

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