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無意識の中に押し込められたもの。それに気付いていくことが、本当の自分を生きることにつながっていく。


この世界の約90パーセント以上は
無意識の世界なのだとか。

何だか
不思議な感じがしますね。

さて、
最近の私は、読書の秋。

以前読んだ本を読み返したり
新たに購入して読んだり。
少し前までの積読も
解消されつつあります。

さて、今日は
「老い」をテーマにした本の中から
あるお話を紹介します。

「家出」がしたい

相談に来られた70歳近い女性の方が
次のように言われたことがある。
考えてみると、
自分は子どもの頃から人に従ってばかり来た。
子どもの時は父親の言いつけにひたすら従い、
結婚してからは夫に従い、
夫が死んでからは息子に従ってきた。
(中略)
いつもいつも、
誰かに仕え、
誰かに従い、
自分を無にして生きて来られたのであろう。
一息ついて、この方は
「しかし、今になって、
 私は自分のやりたいことを
 一度してみたいのです」と言われる。
「いったい何が」と問いかけると
「家出がしたい」と言われた。
共感と驚愕と入りまじった気持ちで
私が返事に窮しているのを見ながら
ともかく一度、家族というしがらみを断って
一人で飛び出てみたいのだと言われる。
話しあっているうちに、
家出の実現は思いとどまられたが、
私は、「家出」と言われたときの
この方の少女のように輝いた目を忘れることができない。

「老いる」とはどういうことか 河合隼雄 

少女のように輝いた目

私は自分が
7歳の時に家出をしたことを
思い出しました。

あの時の私も
この方と同じ目をしていたのだろうか…。

本当の自分

ずっと抑え込んでいた思いを
解放したあの時

私の心は
未来への希望と期待とで
満ち溢れていました。

あの時感じた高揚感を
今でも忘れることが出来ません。

私の家出は
その日のうちに失敗に終わり
その後親元を離れるまで
10年余りは
大きな問題を起こすこともなく
いわゆる良い子として
過ごしました。

一方この女性は、
70年もの間
自分を抑え、
自分を無にして過ごしてきた
と言いますから
その苦悩は
私などには到底想像出来るのもでは
ないものでしょう。

そんな彼女が
家出をしたい
という思いを河合さんに伝えた瞬間
彼女の中から
70年間もの間押し込められていた
小さな小さな彼女が姿を現したのですね。

ようやく分かってくれたのね…。

小さな彼女は
どれほど嬉しかったことでしょう…。

その後、家出の実現こそ
思いとどまられたようですが
自分の気持ちを素直に出せた
それだけで
その後の生活は
随分と軽やかなものに
なったのではないでしょうか。

本当の自分を生きる
それは
人生最大の課題
と言っても良いのかもしれませんね。

もしかしたら
自分では
本当の自分を生きてきたつもりが
実は違っていた
なんて言うことも
往々にしてあるのかもしれません。

顕在意識と無意識。

私たちが知っている自分は
ほんの数パーセント。
つまり
私たちは自分というものを
ほとんど分かっていないのですね。

人生の課題、それは…
ザワザワしたり、
モヤモヤしたり、
あるいは
怒りや悲しみとなって
沸き起こってきたり、
誰かに忠告したくなったり、
攻撃したくなったり、
孤独を感じたり、
無力感に襲われたり…
そんな諸々の心の動き、揺れとして
現れてくるように思います。

その出来事がのちに、
自分にとって
こういう意味があったのだと気付いたり
あるいは
あの選択(判断)は失敗だった
ということもあるのかもしれませんが、
その失敗さえも過程と考えれば
この世を去るまで
自己実現の旅は続いていくのでしょうね。

さて、
私の母は70歳を過ぎ
ようやく
自分の人生を生き始めました。

前述の女性同様に
ずっと「家」に縛られてきた母ですが
家にいながらも
自分らしくいられるようになった今
とりわけ家を出る理由も
なくなったようです。

自分の人生
そして
母の人生を思い返し
今改めて思います。

これからの人生を
自分らしく生き、
人生の最後に

幸せな人生だった…

そう言って
穏やかな気持ちで
この世を去りたいものだなと。





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