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『しんせつなともだち』

玄関に、
ビニール袋が置かれていました。
中味はニンニクでした。

「あっ、しんせつなともだち」
私は、思いました。

『しんせつなともだち』

それは、いつも
畑で採れた野菜を
おすそ分けしてくれる
ご近所さんのことです。 

『しんせつなともだち』
という呼び方は
小さい頃に、
息子に読んであげた絵本から 
きています。

このお話は、雪の日に
こうさぎが食べ物を探しに
出掛けるところから始まります。

こうさぎは
カブを2つ見つけ、
そのうちの1つだけを食べて
こう言います。

「ゆきがこんなにふって、とてもさむい。
ろばさんは、きっとたべものがないでしょう。
このかぶをもっていってあげましょう」

こうさぎが、ロバに
かぶを届けに行った
ちょうどその頃、
ロバもまた、
食べ物を探しに出掛けていて
留守でした。
そこで、
こうさぎは、
かぶを置いて帰ります。

さつまいもを見つけて
帰って来たろばは、
かぶに気が付き、
不思議に思います。

自分が見つけてきた
さつまいもを食べ
十分に満たされたロバは
うさぎと同様に
親しいこやぎのことを思い、
こやぎにかぶを
届けに行きます。

そんな風にして
かぶは、優しさと共に
様々な動物の家を
巡り巡って…
最後にまた、
こうさぎの所に
戻って来る…
そんなお話です。

自分を満たし
溢れた優しさを
誰かに手渡していく。

決して
無理のない優しさが
とても心地良い
ステキなお話です。


私のご近所さんも
この絵本の動物たちのように
畑で採れた野菜を
時々こうして
私たちに分けてくれます。

最初は
誰だろうと
驚きましたが
すぐに
このご近所さんだと
分かりました。

そして、
こんなことが
何度か続くうちに
いつの日からか
私たち家族は
このご近所さんのことを
『しんせつなともだち』
と呼ぶようになりました。

じゃがいも、玉ねぎ、
大根、かぼちゃ、白菜…
1年を通して
様々な野菜が届きます。

玄関先に
野菜が置いてあると
「あぁ、また、
しんせつなともだちが
わざわざ
持って来てくれたんだなぁ」
と嬉しくなります。

感謝して、
有り難くいただきます。

お礼は次にお会いした時に。

そして、
我が家で
何かたくさんの
いただきものをした時、
真っ先に
このご近所さんに
届けに行きます。

そんな関係です。


みなさんの周りにもいますか?
しんせつなともだち。

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