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05|版画の特性


raison d'etre | 2019

Title|raison d'etre
Date Created | 2019
Art Supplies|シルクスクリーン印刷
Size| 508×610mm

Concept|
険しい道の先に存在する扉。
そこに辿り着くまでにどれほどの時間と労力が掛かるのか。
その扉の先にある頂きを見るものは自分自身だけである。

Explanation|
授業での課題制作で初めてシルクスクリーンを本格的に制作しました。
ーーーーここからは技法の説明の為、興味のない方は下へ⬇︎ーーーー
シルクスクリーンとは、制作に移る前に、アナログでもデジタルでも構わないですが、完成形になる絵を制作しておきます。仮に人間のイラストを例に出すと、髪の毛のパーツ、顔のパーツ、服のパーツ、目のパーツと、パーツごとに色分けしてきます。イラストレーターや、クリスタなどに馴染みのある方は理解できると思いますが、要はレイヤー(階層)をあらかじめ分けて、それらのパーツごとの版を用意します。版は網戸のような糸が重なりあった版を使用し、用意していたパーツの形にしかインクが通らないように、光に反応して固まる性質をもつ乳剤を版に薄く塗り、その上にパーツの形をした光を通さないような紙などを用意します。(白色の紙でも鉛筆やマッキーなどで塗りつぶせばOK)その後光を出力する機械にて乳剤に光が当たる部分と、当たらない部分で別れます。光に当たらなかった部分は水で落ちるので、綺麗にパーツの形に沿った乳剤だけを落とすことができます。
その後は完全に固まるまで乾燥させ、実際にインクを通して、紙に印刷していきます。パーツごとにその工程を行い、初めて一つの作品に仕上がります。また、作品としてはもちろんですが、インクの性質を変更すれば、布やガラス、鉄系の素材にまでもインクを乗せることが可能です。そのため既に100年以上前に考案されたにも関わらず、現在でも利用される無限大の可能性を秘めた技法なのです。
ーーーーーここまでで説明終了ーーーーーー
そんなシルクスクリーンは初体験で、作品として昇華することへの難しさを実感しました。なぜなら、今までミリペンや鉛筆による精密画を主に描いてきていたからです。その点シルクスクリーンはイラストや写真などを使用した、面での表現が特徴的な技法だったからなのです。今まで線で形を捉えてきていた私には未知の領域でした。しかし、だからこそ私は考えました。その技法の特徴を活かした作品を制作しようと。要はペンで大きい面積の面を塗るとなると、勿論時間はかかります。また、ムラも出ます。しかし、シルクスクリーンであれば、一瞬にして大きい面積だろうと塗りつぶすことができるのです。そんな特徴を活かした作品が今回の作品です。
題名は「raison d'etre」レゾンデートル
フランス語で「存在理由」や「生きがい」といった意味があります。
今回の作品でキーとなる『扉』というものは、人それぞれ存在する生きがいや存在理由としての扉と比喩表現をしました。しかし、今の現代ではその扉に辿り着くもの、扉を開けれる方が減少傾向にあります。そのため、多くの方が生きる理由や、自分が存在していい理由をもがき探しています。
しかし、私は一つ断言できることがります。その扉に辿り着き、ドアノブに手をかけれた人間は、苦労せずにたどり着いた訳ではないのです。
そして、今探している方も、その時期なのだと思います。苦労したから辿り着く、そんなものでもないその難しい概念にどう向き合っていくか、それが人間として生まれた一つの生きる理由なのかもしれませんね。自分探しとはそのようなものだと考えています。
ここまで長い文章を読んでいただきましてありがとうございました。
正直回をますごとに文章が多くなっている気がしますが…。
1人でも見てくれる方がいると大変嬉しく思います。宜しければ次回もご一読くださいませ。それではまた。


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