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くちびるの会のココロミとトリクミ その7 『猛獣のくちづけ』ココロミとトリクミの振り返り


はじめに

2024年2月22日 (木)〜2月27日(火)下北沢
OFF・OFFシアターにて
くちびるの会の第8弾『猛獣のくちづけ』を上演いたしました。

全日程を無事に終了いたしました。
たくさんのお運び、またお気にかけてくださったみなさま、まことにありがとうございました!

公演終了後となった今後の記事は、公演が終わってからもお客様に『猛獣のくちづけ』を楽しんでいただきたいという思いから、筆をとっているものです。また、本公演で行った様々な「試み」と「取り組み」の効果や反響等の振り返りについて記述する意図もございます。

記事の末尾に、助成金についての説明、サポートについての記述がございます。ぜひご一読下さい。

ご挨拶

「はじめに」でも書きましたが、遅ればせながら無事『猛獣のくちづけ』全日程を終了することができました!

くちびるの会としても、想像以上の反響があり、ほぼ全ての回を満席で上演することができました。代表としても、作・演出としてもとても嬉しかったです。
また、公演アンケート、webアンケート、X等をはじめとしたSNSでの感想も沢山いただきました。
その一つ一つに目を通させていただきました。誠にありがとうございます。
みなさまのお声が、くちびるの会の活動を続ける励みになり、原動力になります。
今後とも、くちびるの会をお気にかけていただけましたら幸いです。

本記事では、主に本noteで「ココロミとトリクミ」と題して行なったことの振り返りを行います。
各取り組みを行なった当初の意図をおさらいしながら、結果どのような効果を成し、意義を伴ったか、また今後の課題や発展の可能性について言及できればと考えております。
よろしくお願いいたします。

『猛獣のくちづけ』ココロミとトリクミの振り返り

◯オーディションについて

本公演では、出演者オーディションを行いました。
経緯や、実際のオーディションの様子については、下記よりご覧ください。

上演後のアフタートークでも触れましたが、本公演では、4名の出演者の方にオーディションを経てご出演をお願いいたしました。
(途中、体調不良による出演者交替などがあり、最終的には3名の方にご出演いただきました)

みなさま素晴らしい俳優さんで、くちびるの会の創作に初参加にもかかわらず、稽古場に創造的な刺激と新鮮な空気をもたらして下さいました。
もちろん、かねてよりご一緒している俳優さん、新しくご一緒させていただいた俳優さんにも大いに助けられました。

出演者のみなさまには、改めて、お礼申し上げます。

また、クリエイションの最初の一歩を、時間を共にしてくださったオーディションの参加者のみなさまにも改めてお礼を申し上げます。

オーディション・公演を終えて考えたことは、
出演者オーディション等、公演に携わるメンバーを「公募する」ことで、団体の公共性の向上にもつながるのではないかということです。

公立文化施設のプログラムなどでは、ある一定の範囲で、出演者の公募が行われることも多く目にします。
きっとそれは、公立文化施設ゆえの「公演に参加するチャンスは平等にあるべき」という理念に基づく部分があるかと思います。

くちびるの会としても、舞台芸術界で活動するいち芸術団体として、公共性を意識し、出会ったことがない方と積極的に出会える場を自らつくっていく必要があると感じました。

また、日本の人口は減少し、それに伴い、舞台芸術を志す人口もまた右肩下がりになっていく傾向にあると考えます。ますます、舞台芸術界は、変容を迫られている時代に突入してきていると考えます。
舞台芸術を通し、どの様に、業界全体、他分野、そして社会にコミットするのか、このあたりも今後の劇団の課題だと感じています。

今後も、出演者のバランスを見定めながら、出演者オーディションという選択肢を強く視野に入れながら、公演事業に取り組んでいきたいと思います。

(もちろん、「どんな公演も必ず出演者の公募を行うべき」と言うわけではありません。団体・公演ごとさまざまな理念のもと事業を行っていくことが妥当だと思っております。)

◯執筆サポートについて

今公演では、執筆サポートとして、須貝英さんにご参加いただきました!
その経緯と、実際の執筆サポートの内容については、下記よりご覧ください。

執筆サポートについての詳しい振り返りは、
新連載「山本のココロミとトリクミ」

にて
山本タカ×須貝英「『猛獣のくちづけ』アフター・アフター・トークラジオ」
で行なっております。

こちらは、ラジオ形式で音声を公開をしております。(字幕あり)
ぜひともご視聴くださいましたら幸いです。

◯字幕タブレット・移動サポート等のバリアフリー対応、稽古場託児が行いやすくなった背景

今公演では、観劇サポートとして、バリアフリー字幕タブレット貸し出し、下北沢駅からの移動サポート、託児サービスを行いました。

観劇サポートの実施意図は、下記よりご覧ください。

また、稽古期間・本番期間中には、団体内向けに、稽古場託児を行いました。

これらを実現できるようになった背景には、『猛獣のくちづけ』公演事業が採択された助成金に理由があります。

今回、『猛獣のくちづけ』が採択された助成金には、事業にかかる様々な経費(舞台創作にかかる費用や人件費など)とは別に、「サポート費」という名称の助成がございました。

サポート費の中に「鑑賞サポート費」と「創作環境サポート費」があり、今回これらのおかげで上記の観劇サポートへ取り組み、実施に至りました。

「バリアフリー対応を行いたい!」と考えていても、導入における様々な費用を考えると、即座に決断できないこともあります。

例えば、字幕タブレットを導入する上で、機材レンタル料等で、10万円の費用がかかったとします(実際の費用とは異なります)。
チケット料3,000円の『猛獣のくちづけ』の公演で、34名のお客様にチケットを買っていただけなければ、この金額はペイできません。
そう考えると、我々の様な小規模団体の場合、金銭的な部分で厳しくなってしまいます。

今回、「鑑賞サポート費」という目的別の助成があったことで、目的を定め、実施することができました。「創作環境サポート費」についても同じことが言えます。

くちびるの会では前回公演『老獣のおたけび』から稽古場託児を導入しています。前回は、子どもがいる人の実費で実施したのですが、今回は、「創作環境サポート費」があったので、個人の負担が少なくなりました。

保育園時間外の土日祝日の稽古や公演期間中の夜公演時など、
稽古場や劇場近くのレンタルスペース等を借りて、シッターさんに来ていただけたことは、子どもにとってもとても良い環境だったと考えます。

「鑑賞サポート費」「創作環境サポート費」は、もちろん上記のみだけでなく、鑑賞や創作に必要なさまざまなサポートを申請できますので、ぜひ応募要項などチェックしてみていただけると良いかと思います。

◯バリアフリー対応(字幕タブレット・移動サポート)について

本公演において、

・移動サポートを利用された方は、0名
・字幕タブレットを利用された方は、全体の0.7%

でした。

字幕タブレットを導入したことで、新たな観客層にリーチできたことは劇団としてもとても大きな成果だと考えます。

実は、字幕タブレットのオペレートは山本が担当しました。
実際利用されているお客様の反応を見ながらオペレートができたことで、気づけたこともさまざまあります。
今回初めて実施し、照明や音響のオペレート同様、字幕のオペレートにも専門性が必要だと感じました。くちびるの会では、これからもその技術を蓄積していきたいと思います(固くなってしまいましたが、導入を考えている団体さまは、ぜひ専門団体さまへお問い合わせしてみてください。みなさまとても親身に相談にのってくださると思います!)。

また、バリアフリー対応は字幕タブレットだけに限りません。今後も対応できるものを増やしていけるよう勉強を続けていきたいと思います。

◯託児サービスの無料実施について


本公演は、託児サービスの無料実施を行う回を設けました。
本公演において、

・託児サービスの無料実施を利用された方は、1名

でした。
僕自身、子育て世帯であるので、僕が観劇できるのは、ほとんどの場合、平日の昼公演に限られてしまいます。
逆に僕の様に、平日に観劇時間帯を選べる人も決して多くはないはずです。

今後も、親ひとり子ひとりで、劇場に向かえば観劇できる、という劇団であり続けたいと考えます。 

今回これらの観劇サポートを実施しまして、
実際に利用してくださったお客様の声を聞くこともできました。

観劇サポートの取り組みは、劇場・舞台芸術へのバリアをひとつひとつなくしていく作業なのだと改めて感じます。
くちびるの会は今後もバリアを少しでもなくしていく活動を行なっていきたいと思います。

◯コーヒー1杯無料券(通称:コーヒーチケット)について

カフェ「えくぷり」様のご協力によって、実現したコーヒーチケット。
実施の意図はこちらよりご覧くださいませ↓

実際にコーヒーチケットを利用したお客様は、

1ステージ 平均10名

でした。この数字は、全体のだいたい15%〜20%ほどのお客様が終演後にコーヒーチケットをご利用してくださったことになります。

回収したチケットの割合を見ると、特に昼公演終わりでご利用いただくことが多かったようです。

公演終了後に振り返る中で考えた「コーヒーチケットの可能性」

可能性①観劇を含めた、1日の楽しみを提供できる。

実際に、この取り組みを振り返って見ると、当初の目的であった「観劇後の感想交流」も行われたと考えますが、観劇とその後のティータイムを含めた「下北沢での1日」をお客様へ提供できる、という意味合いもあったのではないか、と考えました。

劇団が「劇場でお芝居を観せる」という行為のみに留まらず、「お芝居も含めた1日を楽しむ」という過ごし方を提案できる可能性が生まれつつあると感じました。

可能性②作品の記憶が、お客様の中に定着する。

「観劇後、すぐに電車にのってスマホを開き、日常に戻る」のではなく、カフェに滞在してくださることで、お客様の中に、作品・劇団の記憶も定着しやすく、それによって作品の感想をさまざまな視点からいただくきっかけにもなったかもしれません。

可能性③多角的に、作品や劇団を知ってもらえる

今後の公演で、またこの取り組みを実施する場合、カフェに「過去公演のチラシの展示」や、「過去公演・当該公演の戯曲の貸し出し」も行えれば、さらにカフェタイムが充実するのでは、と考えております。
また、物販を行ったり、過去公演のDVDを上映しても、楽しい時間になるかもしれません。

コーヒーチケットの課題と展望

今回は、えくぷり様にとっても、くちびるの会にとっても初めての試みだったため、観劇後の時間にお客さまが集中し、従来通りの素早い商品提供が行えなかったり、満席になってしまいお待ちいただく時間が増えるなどの反省点ありました。

今後、コーヒー無料券を行う際には、複数店舗と連携することで入店を分散させるなど、店舗への負担を減らすなどの工夫を行なっていきたいと考えております。

これはかなり壮大な構想ですが、
こうした取り組みは、劇団と飲食店が連携する文化が生まれ、(もしくは既にある、置きチラシの様な連携文化が強化され)、地域振興の一助も担えるのではないかと感じました。すでに各地域でそういった活動が行われている地域や場所もあるかと思いますが、
劇団が地域と連携し交流をうむことで、また新しい活動に広がる。
お店にはお客さまが来て嬉しいし、お客さまはコーヒーが飲めて嬉しいし、お客さまが嬉しいのはくちびるの会も嬉しい、という単純な連鎖から、新しい未来がひらけていく可能性を感じました。

くちびるの会の次回公演は、目指せ「ビール1杯無料券」です。
ソワレ公演後は、やっぱりお酒が飲みたいよね!
お酒を飲んだら、お食事も頼みたいよね!そうすると、飲食店も嬉しいよね!

ということで、くちびるの会への応援、よろしくお願いいたします!

◯アフタートークについて

『猛獣のくちづけ』では、公演終了後に全回アフタートークを行いました。
実施の意図はこちらより↓

様々なゲストをお呼びすることで、回ごとに様々な角度から作品についてお話しできたのは、とても有意義だと感じました。
懇意の俳優さんから、明治大学教授、映画監督、そして出演者と、バラエティに富んだ方々とお話しできました。
アフタートークをご覧になってくださった皆様、アフタートークに出演してくださった皆様には改めてお礼申し上げます。

全回アフタートークという試みは、「上演のみならず、いろいろな角度から作品を楽しんでいただきたい」という考えから行った取り組みです。

今回は、アフタートークという形式をとりましたが、アフタートークに限ら
ず、様々な取り組みが可能だと思いました。

今後はこんなこともやってみたいです。

・バックステージツアー

→演劇界ではたびたびある取り組みです。舞台装置や小道具に触っていただきながら、コンテナの座り心地や、舞台の広さ、照明が当たっている時の舞台を体験していただいたり、また、許されるならば楽屋をご案内しても面白いかもしれません。舞台の裏側をご覧になっていただくことで、作り手の苦労や、舞台の仕組みを知ると、より一層作品が楽しめるかもしれません。

・プレトーク
→これも演劇界でよく見られる取り組みです。例えば、時代が現代ではなかったり、舞台が日本ではなく海外のどこかであったりする場合、お客様と舞台上の登場人物の置かれている状況では、文化的な差が非常に大きいです。

時代設定や地理設定、作中に出てくる言葉の文化的な意味・文脈をあらかじめお客様と共有することでより作品が楽しめると考えます。本作は、時代設定も現代日本ですし、難解な専門用語が出る作品ではなかったため行いませんでしたが、今後、現代と取り扱う作品世界の文化的な差が広いと考えられる上演の際には、プレトークが有効であると考えます。

◯前説について

本公演では、場内のお客様へのアナウンス(声がけ)と、上演が始まる前の前説を山本が行いました。

スマートフォン等の電源を切っていただくお願いは、あらかじめ録音アナウンスで行なっておりますので、前説では山本が「大きい音の出るシーン」「照明が点滅するシーン」の説明とデモンストレーションを行いました。

山本の前説は以下の様なものです。

本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。
くちびるの会、代表の山本タカです。
今作品では、音が大きく鳴るシーンや照明が点滅するシーンがございます。
本編中に急に音が大きく鳴ってびっくりされないよう、
開演前に2つほど、その箇所を見ていただこうと思っております。
最初は開演から3分後ほどに、
登場人物のあるセリフの後に、倉庫のベルがけたたましく鳴るシーンがあります。
大きく音が出ますので、実際に観ていただこうと思います。
それでは、照明さん、音響さんお願いします。
「僕はいまとても気持ち悪いことをしてしまったのではないか」
(倉庫作業の開始音:「ジリリリリリリリリ!」)
はい、このように音が大きく鳴るシーンがございます。
この音は本編中に何度か出ますのでびっくりしないよう心の準備をお願いします。
では次ですが、開演の15分後頃に、雷が鳴るシーンがあります。
ここは照明が点滅するシーンで、少しチカチカしてしまうかもしれないため、見ていただければ、と思います。
それでは、お願いします。
(雷の音「ゴロゴロゴロゴロ!」/照明の点滅)
このような感じです。
どうぞあらかじめご了承の上、本編をご覧いただければ、と思います。
それでは、まもなくの開演です。
開演前に再度、携帯電話の電源などご確認お願いします。
それではどうぞ最後までごゆっくりお楽しみください。

『猛獣のくちづけ』前説文章

この様な前説を行ったのは、事前に複数名のお客様より「大きな音や照明の点滅が苦手で、あらかじめその箇所を教えて欲しい」という要望があったことが最も大きな理由です。
前回公演までは、問い合わせがあったら、事前に詳細をメールなりご観劇日当日に口頭でご案内する、ということをしていたのですが、
文字ベースで伝えるよりも、開演前に実際にご覧になっていただいた方が心の準備や、お客様自身が自衛ができるのではと考え、全公演、この様な前説を行うことといたしました。

上演終了後、
「実は、言い出しづらいのだけど、自分も大きい音や光が苦手だったので、前説があって助かった」
という声が多く寄せられました。

今振り返ると、これも小さなバリアを取り除く作業になっていたのでは、と考えます。

今後もこうした前説を継続していけたらと考えます。

ちなみに……

この前説は、
くちびるの会が、子ども向け演劇を行う際に行なっているものを、アレンジしたものになります。
子ども向け演劇では、対象年齢によっては、演者が舞台的な発声をしただけで、びっくりして泣き出してしまうこともあります。
また、「嫌い!」など、強く傷つける言葉が出る際も、デリケートな子どもの心にはショックが強すぎる場合があります。

そのために、演者が前説として「これから、こんな大きい声が出て、こんな言葉を言うよ。心の準備をしてね。」と言って、該当シーンをデモンストレーションで見せる、ということを行なっています。

これは、倉迫康史さん率いる「Theatre Ort」さんが、子ども向け演劇を上演する際に行なっていた前説や、倉迫さんから、子ども向け演劇をやる際にこういうことを気にしてみるとよいよ、と言われたことなどを参考にしました。子どもたちの前で上演を重ねる中で、現在は改良をしながら実施しています。
ご紹介)Theatre Ort さんのHP

◯戯曲全文公開について

次の「noteという取り組み」についてでも、触れさせていただきますが、くちびるの会は「1年に何本も新作公演を劇場で打てる」劇団ではありません。
せっかく書いた戯曲、せっかく創った作品を、消費させるばかりでなく、長く愛される作品にしたいと考えております。

公演の終了後も、作品を思い出して楽しんでいただきたい、という思いから、戯曲全文公開を行いました。

現在もたくさんの方にご覧いただいております。
本当に嬉しいです。ありがとございます。

◯noteの連載の振り返り

「助成金についての記述」でも記している通り、noteを始めた当初の意図は、「公的助成を受けているから、その取り組み内容・意義・意図・効果については公的に公開すべき」という考えから始めました。
その考えについては、今も変わりませんし、今後も変わることはないでしょう。

しかし上記の意図だけですと、当然
「公的助成を受けていない活動については、noteでは取り上げないのか?」という疑問が生まれてきます。

それについては、考えが変わってまいりました。

結論としましては、2024年3月現在の山本、そしてくちびるの会としては、「公的助成を受けている、受けていないに関わらず、くちびるの会の活動を公開するnoteの取り組みは続けたい。続けよう。」
と考えております。

noteを連載していく中で、以下の3つのことに気づきました。

①くちびるの会の取り組みをオープンアーカイブ化(開かれて、誰でもアクセスできる様に)することで、他の劇団の活動の参考に、ひいては舞台芸術業界の活性化の一助になるのではないか。

②「くちびるの会が、どの様な思い、考えをもって活動しているのか」を詳細に発信するプラットフォームとなるのではないか。

③くちびるの会を好いてくださっているお客様と親密な関係を築ける場所になるのではないか。

上記3つの気づきから、noteを継続しようと考えております。
以下に、気づきの詳細を記します。

①が最も大きな理由です。

noteは非常に便利なサービスです。文章をオープンアーカイブ化するにはもってこいです。

ブログの様な形式をとりながら、マガジン形式にすることで、取り組みのジャンルをまとめられたりしますし、シェア機能も充実しています。
くちびるの会は、決して大きな影響力のある劇団とは言えませんが、くちびるの会の行う様々な試み・取り組みは、もしかしたら他の団体の試み・取り組みの参考になるかもしれない、と思っております。

実は、「執筆サポート」について取り上げた記事を見かけて、早くも須貝さんに執筆サポートを依頼してくださった方がいらっしゃるそうです。

「須貝さんが、どの様な形で関わったか」「執筆サポートとはなんぞや?」という疑問を、須貝さんや、山本に直接問い合わせなくても、その試みの内容が知れる、というのは、記事として残しておく、オープンアーカイブ化する価値があると考えます。

これについては、オーディションの記事や、コーヒー無料券の記事についても同じことが言えるのではないかと考えております。

くちびるの会が、試みと取り組みをどんどんオープンアーカイブ化することで、ささやかながら、他の団体さまが取り組み・試みを行う際の参考になればと思いますし、それが、ひいては舞台芸術業界の活性化の一助になればこんなに嬉しいことはありません。

②、③の気づきは連動しております。

やはり、舞台を生業にしている我々と、お客様をはじめとした、このnoteの読者のみなさまとが、強く関係を持てるのは、公演期間中の劇場に他なりません。

そしてもちろん、劇場にいて本番を行っている頻度が高ければ高いほど、お客様との関係を強固に築くことができます。

くちびるの会は、「概ね1年に1本の劇場本公演を行うこと」を目安に活動しております。(子ども向け演劇「紙おしばい」については、その限りではありません。)

山本が決して筆が早いタイプの劇作家でないことや、事業資金の目処をつけるための準備期間、キャスティングをはじめとした制作・運営面を考え、丁寧な公演をしたいと考えると、どうしてもこれ以上の頻度で劇団主催公演を行うことはできません。

次の公演までの期間に、前回公演が忘れ去れてしまっては、とても悲しいのです。

「なるべく頻度を高く打ちたい」という思いと「頻度を高めることで引き起こされるリスク(作品の質の低下や、運営資金面でのショートなど)」
は常に劇団運営においては、ついて回るジレンマです。

noteというプラットフォームで、逐次活動を報告することによって、①という公共財を蓄積しながら、お客様との関係を少なからず維持できればと考えております。

また、『猛獣のくちづけ』におけるココロミとトリクミを、きちんとnote上で説明することで、劇団の行う意図、意義というものも伝わりやすくなり、結果、上演作品のみならず、劇団が「どの様な考えをもって運営されているか」ということが読者の皆様(お客様に)に、より丁寧にお伝えできているのでは、と考えております。

団体のことを深く、詳細に知ることのできる、まとまったオープンアーカイブが、HPとは別にあることは、我々にとっても財産になります。

これらの理由から今後も、逐次noteを更新したいと思います。

おわりに

そして、今回で、
『猛獣のくちづけ』におけるココロミとトリクミは最終回となります!
ご覧いただきありがとうございました!

今後もくちびるの会の活動は、逐次このnoteにて発信していきたいと考えております。
次回は、子ども向け演劇公演を2024年6月に行う予定です。一般公開(おとなもこどもも観られる公演)を予定しておりますので、ぜひお気に留めていただけましたら幸いです。

また、新マガジン「山本のココロミとトリクミ」

に関しても逐次更新していく予定です。
こちらもあわせてフォロー等、ご注目いただけましたら幸いです。

【『猛獣のくちづけ』における、くちびるの会のココロミとトリクミまとめ】

『猛獣のくちづけ』に関連した、「くちびるの会のココロミとトリクミ」は下記リンクにてマガジン形式になっております。
これまでの記事もご覧いただけましたら幸いです。
https://note.com/kuchibirunokai/m/mdd41e231273d


【くちびるの会第8弾『猛獣のくちづけ』が受けている助成について 〜noteの連載を行う意図〜】

本公演は、以下から助成を受けております。

・日本芸術文化振興基会 日本芸術文化振興基金 令和5年度 現代舞台芸術創造普及活動 演劇分野
・公益財団法人 東京都歴史文化財団(アーツカウンシル東京) 令和5年度(2023)年度 第1期 東京芸術文化創造発信助成 カテゴリーⅠ 演劇分野
助成金の性質としての多少の違いはありますが、上記の2つはいずれも「公的助成」に位置付けられるものです。
もちろん、事業終了後は、各機関に報告書を提出し、様々な(助成金の使途や、助成金によって実現したこと、今後の課題など)を報告します。

しかし、公的機関から「公的助成」を受けている以上、助成金によって可能になった事は、公的機関のみへの報告にとどまらず、多くの方々にお知らせする必要があるのでは、と思い、noteの筆をとった次第です。

助成金に採択されることで、事前に収入として見込める金額が確保でき、それにより事業における様々な取り組みを行うことができます。
「くちびるの会のココロミとトリクミ」に記載されている内容は、これらの助成金によって実現されていることも多々ありますので、その点をご留意いただき、ご覧になっていただけましたら幸いです。

【⭐️サポートについて⭐️】

くちびるの会では、大人向けの劇場公演と共に、子ども向け演劇「紙おしばい」を創作しております。
「紙おしばい」は、コンパクトな道具料でどこへでも出張し、本格的な舞台芸術を体験できる演劇表現です。
子どもが舞台芸術に触れる機会格差の解消のために活動を行なっております。
紙おしばいについては、公式HPをご覧ください↓

このnoteにお寄せいただいたサポートは、主にくちびるの会の

  • 大人向け公演のための試み、取り組み、創作資金

  • 子ども向け演劇「紙おしばい」のための試み、取り組み、創作資金

に充当させていただきます。
みなさまのサポートによって、公演単位の助成や、自己資本のみでは難しい試み、取り組みを行っていこうと考えております。
※サポートのためには、ノートへの会員登録が必要です。(所用時間は5分ほど)
※簡単な入力事項の入力とクレジットカードの登録をしていただければサポートが可能です。
舞台芸術界活性化のため、子どもの舞台芸術に触れる機会格差解消のため、未来の舞台芸術の担い手・観客の創出のため。

よろしければ、サポートのほど、よろしくお願いいたします。
◯noteへのサポートの仕方は、note公式ペルプページをご覧ください↓https://www.help-note.com/hc/ja/articles/360009035473-%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%82%92%E3%82%B5%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%99%E3%82%8B
◯noteへのサポートの仕方 動画説明(note公式ペルプページより)

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いただいたサポートは、くちびるの会の活動(試み、取り組み、創作費用)に充当させていただきます。