見出し画像

過剰気味な生産・サービスを最適化するという考え方

■ 必要最低限だけでは不十分


世の中を見渡すと「これって本当に必要なの?」という商品やサービスが溢れている。限りある資源を守るとか、SDG's とか言われている時代に
おいても、このような状態が変わる様子は見られない。

ここで「本当に必要な商品やサービスは何か?」という疑問が出るだろうが、あえて定義をするならば、人間一人が衣食住などの最低限の生活が成立できるレベルと言える。この中には生命維持として、医療もサービスのとして含まれると考えて良いだろう。

しかし、最低限の衣食住と健康が確保できていれば良いとはならない。人間はテクノロジーや文明を発達させながら社会を発展させてきた過程で、文化や娯楽、個々の嗜好や自己実現、良質な人間関係などの精神面に寄与する「何か」も追い求めるようになった。

それは人間の欲なのか本能なのかは分からない。いずれにせよ、人間という生き物は衣食住と健康さえあれば良いというわけにはいかないらしい。


■ 多様性に応えようとすると過剰生産・過剰サービスになる


また、社会はどんどん多様化している。個々のニーズも十人十色じゃ済まないくらい細分化している。それは見方を変えればビジネスチャンスでもある。社会全体あるいは個々のニーズにうまいこと応えることができれば、お金を儲けることができる。

このような多様性に対してお金を儲けるためには、ニッチ(狭い市場)を狙って商品やサービスを展開するという1つの考え方がある。
一方、不特定多数の広い市場をターゲットにする考え方もある。ヒットする見込みの商品やサービスを準備したり、多様かつランダムな商品やサービスメニューを揃えておき「こんだけあれば誰かは必要として買うはずだ」という釣り糸を垂らしておく考え方もある。

多くの企業やお店は、なるべく広い市場をターゲットにしていることが伺える。しかし、その結果として、多様な商品やサービスを提供するために過剰生産・過剰サービスの提供が常態化してしまっているように見える。

すべての業界の状況を知っているわけではないが、あながち間違ってはいないと思う。


■ 介護業界の過剰性


介護業界においても過剰性は見られる。

ケアマネージャーは介護サービスの中核者としてケアプランを作成して関係者の橋渡しをする重要な役割なのに、気が付くと利用者やご家族の御用聞きになってしまうと聞く。
訪問介護サービスでは、利用者やご家族から「このくらい一緒にやってくれてもいいでしょ」みたいにサービス範囲外の要請をされることがある。
介護施設でも、利用者の書類手続きをご家族が忙しいという理由から代行したり、利用者の異常時には時間外や休日出勤して救急搬送や受診対応を行うことだって珍しくはない。

もちろんこれらは利用者のためになる。しかし、このような実態に対して世の中が「介護の仕事なんだから当たり前なのでは?」と誤解しているように伺える。また、介護業界もまた「ここまでやるのが介護の仕事だ」と思い込んでいる節がある。


■ 「利用者のために」とした過剰労働からの脱却


介護の仕事をされている方々から批判されそうだが、個人的な意見を述べさせていただくと、これらはすべて「利用者のために」を言い分にした過剰サービスであり、言い方を変えればタダ働きである。

おそらく誰もが気づいていると思う。しかし、「利用者のために」「介護の専門家として」とズレた言い分をして目を背けているように見える。

だからこそ、自身の役割に疑問を抱くケアマネージャーが出たり、介護サービス事業が不採算化して廃止となったり、雑務に追われて利用者たる高齢者がほったらかしになってしまう事態になる。

そろそろ、介護は過剰サービスに対してメスを入れたほうが良いと思う。
社会は介護サービスの対応範囲を理解するとともに、介護業界も「利用者のため」と目を背けてきた過重労働から脱却する必要がある。

忘れてはいけない。
介護は立派なサービス業であり、ビジネスであることを。


――― 何だか言葉が強い記事になって申し訳ない。

しかし、介護も含めて日本の労働環境を見ると、何だか過剰生産や過剰サービスによって社会や経済、企業、労働者の心身への悪影響をもたらしているように見える。

私たちが今やるべきことは、まずは過剰気味になっている生産活動やサービス提供を適切な必要量を見定めることだと思う。
それに合わせて商品を生産して流通させ、本当に必要な課題解決としてサービス提供するという、ある種の「最適化」が必要ではないだろうか?

勝手で無責任な意見ばかりで恐縮であるが、こうでもしないと日本の労働者は商品やサービスの価値も見いだせないまま、ただ疲弊して命を燃やし尽くしてしまう。少なくとも、それだけは軽減できればと思う。


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?