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レクや行事参加を拒む高齢者はいるが、実は介護スタッフの中にも一定数いる

■ レクや行事に参加しない介護スタッフ


介護施設やデイサービスなどにおいて、高齢者の社会参加、機能訓練そして楽しみといった目的からレクリエーション(以下、レク)や季節の行事が行われることが多い。

しかし、中にはこれらに参加することを拒む高齢者も少なからずいる。それは「参加したいけれど自分から行くことに二の足を踏む」タイプと「集団でワイワイやることが苦手・嫌い」というタイプに分かれる。

前者の場合は介護スタッフが声掛けしたり、本人が参加できる入り口を設けるよう働きかけることで参加につなげることができる。しかし、後者は完全に参加したくない方なのでどうしようもない。

介護サービスを生業としている立場でこう言っては何だが、個人的にはレクや行事に参加したくない人を無理に参加させる必要はないと思う。それは行きたくない飲み会に誘われたと思えば理解できるはずだ。

しかし、それはあくまで利用者たる高齢者の話である。ここで問題なのは、実は介護スタッフの中にもレクや行事などに参加するのが苦手・嫌いというタイプがいるのだ。

介護の仕事と言えば世間ではこういう活動もイメージされるだろう。そして実際にこのような活動も介護サービスの仕事にそれなりに含まれる。それにも関わらず、それを避ける・逃げる介護スタッフは一定数いる。


■ 恥ずかしい? ガラじゃない?


では、なぜレクや行事などを避ける・逃げる介護スタッフはいるのか?
それはレクや行事などに参加しない高齢者と同じ理由である。

「いい年こいてお遊戯みたいなことは恥ずかしい」
「他の人とワイワイやるのは自分のガラじゃない」

こういった心理を抱く介護スタッフがいることから、レクや行事となると消極的な姿勢を見せる。

しかし、忘れないでいただきたい。上記でもお伝えしたが、レクや行事といった活動も介護サービスの一環である。つまり、介護の仕事なのだ。仕事とは「提供する側」の話であって「受ける側」の話ではない。

高齢者ならば「恥ずかしい」「ガラじゃない」と言えば周囲も「仕方ないね」と無理強いはしないが、介護サービスを仕事して「提供する側」はそんなことを言うのは違う。

介護サービスを「提供する側」としてレクや行事に関わろうとしないことは、極論を言えばある意味での職務放棄である。

スキルや素養としての得手不得手は仕方ないが、レクや行事といった活動は得手不得手は関係ない。「恥ずかしい」「ガラじゃない」なんて言っている暇があれば、下手でも苦手でも参加すればいいだけの話だ。


■ 作業に逃げても一時的な話


このようなレクや行事を避ける・逃げる介護スタッフは、コミュニケーションが苦手というタイプに見受けられる。また、介護の仕事は排泄介助や食事介助といった「作業」だけと思っている人にも見受けられる。

このようなタイプは利用者(高齢者)とのコミュニケーションの場面をはじめ、レクや行事といった場面になると、途端に何かしらの介助や掃除や洗濯といった作業に逃げる。

何かしらの作業を見つけることができれば、一時的にでもレクや行事、そしてコミュニケーションから逃れることができる。しかし、お分かりのとおりそれはあくまで一時的な逃げである。

どこかで必ずレクや行事に参加することになるし、勤続年数が長くなるにつれてこういったイベントを企画することになっていく。

いつまでも「恥ずかしい」「ガラじゃない」なんて言っている場合ではない。どこかで逃げ道はなくなるということは覚えておいていただきたい。


■ 結局は「慣れ」、仕事だと思えばできる


こう言っては何だが、私は大勢でワイワイするより独りになりたいタイプである。そのため、ある意味でレクや行事に対しては「ガラじゃない」という側と言える。

しかし、レクや行事は仕事である。介護サービスとして利用者たる高齢者の社会参加や機能訓練、そして楽しみといった自立支援を目的にしたビジネスである。

「ガラじゃない」なんて知ったことか、仕事だと思えば何でもできる。
経営視点で言えば「こういった活動も事業である」「売上の一部である」と言えるし、従業員ベースで合っても「レクや行事を提供することでもお給料が貰えている」とも言える。

それに「恥ずかしい」という感情は他人の視線を意識しているからである。やってみれば分かると思うが、他人はこちらをそれほど気にしていない。むしろ、自慰意識過剰で恥ずかしいと思っていたことが「恥ずかしい」と気付くこともある。

そもそも人間は適応する力がある。レクや行事だって最初はぎこちなくても、何度も参加していれば慣れてくる。慣れてくると「面倒だが、これも仕事だ」と思えてくるようになる。次第に大勢でワイワイやっているのも気にならなくてなってくる。人によっては楽しくなってくることもある。


――― レクや行事などを拒みたくなる介護スタッフの気持ちも分かる。しかし、介助などの作業を隠れ蓑にするのは限界がある。

何だか根性論みたいな話であるが、結局は「恥ずかしくても参加してみる」「ガラじゃなくても参加してみる」という経験を積み重ねていくしか前に進む道はない。

もしも苦手意識があるならば、まずは楽しそうに取り組んでいるスタッフに相談して、そばで真似することから始めてみてはどうだろう? そんな陽キャみたいな真似はできない? 

もしかしたら陽キャみたいな介護スタッフだって、実は恥ずかしいと思っているのかもしれないが、仕事と割り切っているかもしれない・・・?


ここまで読んでいただき、感謝。
途中で読むのをやめた方へも、感謝。





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