私の作ったおもちゃを息子はどう思っていたか。
私の作りたい衝動のせいで、息子が小さい時、他の子と比べて、市販のおもちゃがとても少なかった。例えばピストル。音がなったり光ったりするおもちゃが出回っている時、私は木を組み合わせて作った。木を切って接着でくっつけて、銀色に塗って、星マークを書いた。ウルトラ警備隊のマークだ。そしてそれをいつも携帯できるように、ピストルが入れられるポシェットも作った。3歳くらいだったかなあ。はじめは嬉しそうに腰にポシェットをくっつけて、ウルトラマンの柄の布帽子(これも手作り)をかぶって走り回っていた。そう、地球を守るために!けれど公園で、もっとおっきくていろんな装置が備わっているピストルを見てしまったのだ。
「え?」
「あれが欲しい」って言ったかどうかの記憶はないけど、悲しそうな顔をしたような、そんな顔をぼんやり覚えている。
どこか、罪悪感もあったりした。可哀想なことをしたんじゃないか。私の嬉しそうな顔を見て、本当は売ってる豪華なおもちゃが欲しいんだ!って、言えなかったんじゃないか。(言ったかもしれない、、、)
息子が大きくなったとき、そんな話をして謝った。すると息子は驚きながらこう言った。
「えええ??あれ、めっちゃカッコよかったやん。めっちゃ嬉しかったんやで」
いやいや、息子よ、決してカッコよくはなかった。
嬉しそうに自分のものを作っている私の横にいた時は、きっとワクワクしていたんだろう。ただの木がピストルに変わっていく様子を、魔法のように見ていたんだろう。その記憶が、もう手元にはない幻のピストルを、カッコいい代物に変えてしまったのかもしれない。
「頑張って作ったのに、子どもが遊んでくれない」とがっかりした様子で、私にお話しされる生徒さんがいるんだけど、私は自信を持ってこういう。
「大丈夫。自分のために作ってくれたという記憶は、大きくなって違う形で心に残ってるから!」
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