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デジタル庁の進むべき方向性とは

菅新政権の目玉政策の一つに、デジタル庁の新設が掲げられました。日経新聞でもポイントを3点あげていました。本日はこのポイントをもう少しだけ深堀りし、デジタル庁の進むべき方向性を考えてみたいと思います。

概要
・デジタル庁は各省庁のデジタル化推進の司令塔となる(横串な組織)
・2021年秋の設置を目指す
・平井卓也デジタル改革担当大臣が設置までの旗振り役
・デジタル庁新設にあたり、来年の通常国会にて法案提出が必要となるため、早急な骨子作成が必要
ポイント(日経新聞より)
①各省庁のシステム一元化
②トップは民間人の可能性も
③マイナンバー普及目指す

①各省庁のシステム一元化

これまでも平井卓也デジタル改革相が、行政システムの無駄をそぎ落としながら、少しずつ各省庁間のシステム基盤の改革を進めていました。

平井大臣は10年以上にわたって、政府のIT調達の問題を指摘し、2018年10月にIT担当大臣として入閣されています。さらに2019年5月には「デジタル手続法(デジタルファースト法)」が成立し、IT調達一元化の方針も合わせて打ち出されました。

※デジタル手続法の正式名称:「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」 長い・・・。

デジタル手続法とは行政手続きの電子化であり、以下3点を目指してユーザの利便性を高めるのと同時に、行政の効率化を目的とした法律となります。

パソコンやスマートフォンなどを利用して、オンラインでできるようにする
同じ情報が必要な手続きは繰り返さず一度で済ませる
情報提供は一度だけで済むおようにする

恐らくデジタル庁において、このデジタル手続法の流れに乗っかりつつ、各省庁間で分断されているITシステムを裏側で連携させていくことが検討・推進されていくのだと思われます。

例えば、2021年3月からマイナンバーカードを保険証としても使えるようになります。裏側の仕組みの詳細は把握していませんが、マイナンバーカードという総務省の縄張りの入り口から、国民保険という厚労省の縄張りへも入ることができるようになります。(結局縄張り争いなんですよね)

このようにデジタル庁の大きな役割として、各省庁間を横串しで連携できるような仕組みづくりの旗振り役としての期待が持たれています。

②トップは民間人の可能性も

本来であればそうあるべきと私も考えています。

ですが、以前noteでも取り上げた通り、果たして民間から我こそは!と手を挙げて、自身の欲など振り捨てて、世のため人のため社会のために身を投じる賢者が、果たしているのかどうか。さらにIT・デジタルに精通しているという前提条件も付いてきます。

東京都では、元Yahooの爆速経営で有名な宮坂氏が副都知事として登用されています。私も就任された前後の経緯をよくわかっていないのですが、このような形で業界著名人・実力者であり、国民が「なるほど」、と納得できるような方が今後選ばれていくのだろうと思います。

ですが前述したとおり、そんな人が日本にはいるのかな?と。東京都は日本の首都であり最大の経済都市なので、当然関心の的になりえますが、今回のデジタル庁は一国の大臣となるわけですから、かかるプレッシャーもより重たくなってくるはずです。

なんとなく、そのまま平井大臣がスライドしていくのではないかな、と思っています。(別にそれが悪いといっているわけではなく)

それにトップは政治に長けた人が就き、その腹心として参謀的な位置づけで民間人の有識者が集えばよいのでは、とも思っています。ただし、そこで大切なのが、既に政府系システムに関与あるいはこれから関与の可能性がある企業からの出向者は絶対にNGです。

その企業の持っている既得権益の死守、あるいはこれから既得権益を獲得しようと、社会の利益の前に自社の利益を優先してしまうからです。それは企業マンとしては当然の動きとなるのですが、何千億という税金を投入するのですから、社会の利益を前提に物事を進めてもらいたいと考えています。

なぜNGなのか?それは、みずほ銀行MINORIプロジェクトを見れば一目瞭然です。MINORIのように統合プロジェクトではありませんが、同じような話が起きることは必然です。二の舞は必ず避けていくことが、デジタル庁設置の成功への道であると考えています。

③マイナンバー普及目指す

菅総理もマイナンバーカードの普及を前面に押し出していますが、これに関しては少し考えなおして貰いたいポイントと考えています。

以前のnoteでも書いたのですが、今さらICカードを配布している場合なのか?です。

15年前、スマホが世に出るかでないかの頃であれば、ICカードは先進的であるとまだ評価できたかもしれませんが、スマホファーストなこのご時世に、ICカードの普及は少しお粗末というか時代遅れではなかろうか。

マイナンバーの利活用の促進は、大いにやるべきではあると思いますが、そのフロントのICカードはハイブリッドにスマートフォンアプリや、生体情報を認証として使う、といったように時代の流れに則した動きを期待します。

既に民間業者においては、ICを含むプラスチックカードからスマホアプリに移行しているのが現状です。当然、スマホをもっていない高齢者を中心にまだまだプラスチックカードが必要なことも事実ではありますが、ハイブリッドにやっていく必要があるのではないでしょうか。

また個人への特別定額給付金事業においても、マイナンバーカードがあればオンライン申請が行えるという利点がありながらも、パスワード忘れによりせっかくカードを持っていても、結局郵送で申請された方も多いのではないでしょうか。

このパスワードの運用についても

①本人が忘れてしまう 
②オンラインで盗み見されるリスク

が常に付きまとう問題です。②に関しては、ここ最近ニュースをにぎわしている「ドコモ口座」や「ゆうちょ銀行」の事件を引き起こしている一旦となっています。

私個人としては生体認証の普及を期待していますが、必ずしも生体認証がパーフェクトであるわけではありません。が、文字数字のパスワードよりも、強固なセキュリティを構築できると考えています。

近年ではオンラインを介した生体認証の仕組みとして、FIDO(Fast IDentify Online)と呼ばれる認証技術も広がりつつあります。

分かり易くていいのかも知れませんが、マイナンバーカード普及率○○%を目指す!といったような、本来の目的を見失ってしまうような訳の分からない目標にならないことを祈ります。

設置まであと1年と、ケツカッチンなタイトスケジュールではありますが、平井大臣はじめ関係各所の皆様には頑張って取り組んでもらいたいと思います。

以上

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