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知っておくべきポイント -デジタル改革関連法案とは何か-

 本日、デジタル改革関連法案が閣議決定されましたが、どのような内容であるのかを簡単に解説します。「デジタル庁がほんとにできるだね。」という理解でも間違いではありませんが、もう少し理解を深めたい方は是非最後まで読んでみてください。

 今回は全部で6つの法案が閣議決定しましたが、これらにはデジタル庁の設置法案を含めて、今回のコロナ禍によってデジタル化の遅れが露わになってしまった日本という国家の未来を左右するであろう、重要な法案なのではないかと思います。

 一部では冷ややかな意見も多くありますが、私個人としては物凄く楽しみな動きです。

 ポイントは後述しますが、今回決定された6つの法案は以下のものとなります。

①デジタル社会形成基本法案
②デジタル庁設置法案
③デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案
④公的給付の支給などの迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録などに関する法律案
⑤預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案
⑥地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案
※全くニュースになっていませんが、本日の閣議決定では外務公務員の給与や森林間伐促進等にかんする法律案も含まれているのですね。
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021020901.html

デジタル社会形成基本法案

 IT基本法と呼ばれる、IT(情報技術)政策全体の基本理念や重点計画を定めた法律を廃止し、新たに制定されたのが今回のデジタル社会形成基本法案。デジタルによって、このような社会を目指しましょうね、ということ。

(IT基本法、正式には高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)

 IT基本法は、時の人となってしまっている森喜朗政権時代の2000年に設けたIT戦略会議によって形成されていた。2001年には同法に基づき政府のIT戦略「e-Japan戦略」がまとめられ、5年以内に世界最先端のIT国家を目指すとされていたようです。

 戦略の名称も時代を感じるところですが、20年経った今でも当時から時代に即した進化はすることなく、先進国どころか一部の途上国・後進国からも遅れをとってしまっているのが現状です。

 此度のデジタル社会形成基本法案ですが、デジタル社会形成のた めの基本原則として、①オープン・透明、②公平・倫理、③安全・安心、④継続・安定・強靭、⑤社会課題の解決、⑥迅速・柔軟、⑦包摂・多様性、⑧浸透、⑨新たな価値創造、⑩飛躍・国際貢献、であるとしています。

 つまり、「国民が安全で安心して暮らせるデジタル社会を目指す」ということ。

デジタル庁設置法案

 こちらに関しては、以前から話題となっていたあの庁です。

 デジタル庁は、デジタル社会の形成に関する国の司令塔として、協力な総合調整機能(勧告権など)を有する組織となり、基本方針を策定するなどの企画立案、国、地方公共団体などの情報システムを統括・監理し、重要なシステムについては自ら整備する組織となります。

 つまりは、各省庁や、各自治体にも情報システム部門が設置されていますが、それら全てを統括する国の情報システム部門ということなる。基本スタンスとしては、旗振り役になるのだが、場合によっては自ら開発主体となることもある、ということでしょう。

 以下の図は、「デジタル改革関連法案WG作業部会」の資料となりますが、デジタル庁の役割が分かり易く書いてありますので、ご覧ください。

 また、デジタル庁は民間人材の積極登用を検討しており、1432人の応募があり、その競争倍率は約43倍となったことで、つい先日も話題となっていました。

 ITmediaによると、平井大臣は最も重視したい採用について「リクルーターとUI/UX」であると答えたようだ。このあたりから、基本方針の中で謳っている「誰も取り残されない、人にやさしいデジタル」を実現したいという強い思いもくみ取ることが出来る。

地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案

 こちらの法案は総務省が管轄ということになります。

 昨年、安倍首相から菅首相へとバトンタッチがされたわりとはやいタイミングで報道があった内容のものとなります。

 当時も様々なところで物議を呼んだ内容ですが、私自身もどこまで実現することが可能なのかなんともコメントが難しいところです。

 しかし、自治体のシステムが標準化・統一化することができれば、人材面や資金面において、特に小規模自治体は救われる部分がかなり大きいです。既に先行する自治体では、クラウドによるシステムの共同利用は始まっており、どこまで共同利用が進むのかがカギになってくるのではないでしょうか。

▼以前に自治体システム統一のnoteを書いていますので、詳しくはこちらをご覧ください▼

その他3法案について

 個人的には前述の法案と比べて、さほど重要では無いと感じたので、簡単に1文程度で説明します。

デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案
 
個人情報保護制度の見直し等の法制上の措置を行う法案。
公的給付の支給などの迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録などに関する法律案
 
預貯金口座を登録いただき、緊急時における給付金の給付等に活用できるようにする法案。
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案
 相続時や災害時に預貯金口座の所在を確認できるようにする法案。

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