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「年功序列」ですが、なにか?

このところ経営論の世界で「オワコン」扱いされがちな「年功序列」ですが、年功序列を維持して優良企業であり続けている 万松青果株式会社 を 藤本 正雄 さんが紹介しています。藤本さんの記事から、正しく使えば「年功序列」が企業の成功要因になることが伝わってきます。

藤本さんの記事は、こちらの2つです。引用の便宜上、《記事1》、《記事2》とさせていただきます。

【記事1】完全年功序列・家族主義で成果を上げる


【記事2】完全年功序列・家族主義で成果を上げる(2)


1.万松青果は《よどんだ企業》ではない


まず、初めに知っておいていただきたいのは、万松青果が「年功序列」と関連付けて論じられることが多い《よどんだ企業》ではない、ということです。《よどんだ企業》とは、私が次のような企業に貼っているレッテルです。
《よどんだ企業》=社員が長期雇用と年功序列に安住して「変革」・「改革」を嫌い、環境変化に取り残され『ゆでガエル」化しつつある企業


万松青果は、その真逆です。同社の経営のキーワードは「変革」と「改革」です藤本さんの《記事1》から引用します。

同社は、「業界のイノベーター&日本一綺麗な仲卸」として、中央卸売市場の常識を覆す綺麗な店舗」「圧倒的品揃えと最高の鮮度を持つ商品」を実現させることを宣言しています(HP参照)〔【記事1】から引用。太字部は、楠瀬が太字化〕

そして、

卸売市場での取引高が年々減り、仲卸業者数も減っている中で、同社は増収増益を続けている〔【記事1】から引用。楠瀬が太字化〕

のです。

2.万松青果は、なぜ完全年功序列なのか?


万松青果に完全年功序列が定着した経緯について、藤本さんは、同社の 専務取締役 中路 和 宏氏がBizHintで殿堂入りとなった『「完全年功序列、日本一綺麗を謳う青果仲卸に求職者が殺到」(2020年6月3日(水)掲載)』で語った内容を紹介しています。

それを私なりに要約すると、次のような経緯で完全年功序列が定着したのです。

売上に連動して給料が上がる能力・成果主義の給与体系を導入したが、売上は増えなかった。この給与体系について従業員に聞いたら「売上の増減で給料が上下したら、モチベーションは下がることが多い」と言われた。そこで能力・成果主義をやめ、売上ではないものを指標に据えようとする過程で 「会社全体で従業員の能力を押し上げていく文化や仕組み」 に気づき、それが「年功・勤続年数序列、家族主義」に繋がった
〔出典:【記事1】楠瀬が表現を圧縮改変、太字部は楠瀬が太字化〕

藤本さんは、続けて、中路 氏 の次の言葉を紹介しています。

それまで「高い目標」を持ち、一般に称賛されるような「成果」を出してきたわけではない「フツーの人たち」に、当社での仕事を通じて「少しデキる人」になってほしいそのためにはどうすれば?ということを考え「会社・社員全体で、一人ひとりをフォローする」ような企業文化にしたいと結論しました。〔【記事1】から抜粋。一部改変。太字部は、楠瀬が太字化〕

つまり、仕事を生活の糧と考えているフツーの人が仕事を通して成長できる環境を整えようとしたら、それが「年功・勤続年数序列・家族主義」の経営だったのです。

2.万松青果は、なぜ完全年功序列で成功しているのか?


企業は、市場をはじめとする環境との相互作用、組織、人事制度、採用、教育、日々の職場運営……これらがお互いに作用しあって作り出している「場」のようなものです。ですから、人事制度がそれだけで企業の成功要因になることはありません。

藤本さんは、万松青果の「完全年功序列」がミッション・採用・日々の組織活動の3つと緊密に結び合っているところに、同社の成功の秘密があると指摘しています。

ひとつは、自社の存在意義と関連付けて、そのようにしたい理由を明確にしていることです。〔【記事1】から抜粋。太字部は、楠瀬が太字化〕
2つ目の要因は、自社の価値観に合った人の採用を徹底していることです。
3つ目は、「年功・勤続年数序列・家族主義」を促す組織活動を日々徹底していることです。
〔【記事2】から抜粋。太字部は、楠瀬が太字化〕

最後に、藤本さんが、【記事1】、【記事2】の締めくくりとして記している〈まとめ〉を引用して、この投稿を終えたいと思います。

<まとめ>
自社のありたい姿と明確に関連付けることによって、年功・勤続年数序列、家族主義で成功している会社もある。

〔【記事1】から引用。太字は、原文のママ〕
<まとめ>
自社というバスに適切な人を乗せ、それを維持するための組織活動に力を入れる。
〔【記事2】から引用。太字部は、原文のママ〕


ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

『「年功序列」ですが、なにか?』おわり






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