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2019年、ニューヨーク

2019年の秋、仕事のストレスで潰れそうになった私は、気分転換にニューヨークにひとり旅にでた。疲れているのにひとり旅だなんて、果敢なことをしているけど、そのくらい正気を失っていたのかもしれない。
もしくは、心が疲れている自分を励ますために、あえて挑んだのかもしれない。ひとり旅は自分をたくましくしてくれるから。

旅の最中、大学時代に行った留学先の友人と会う機会があった。彼女はシンガポール人で年は一個下。明るくユーモアたっぷりの彼女はボストンのハーバード大学院で学んでいた。
約4年ぶりの再会で、ボストンの街を歩きながらこれまでの人生の近況報告をした。出会った当時は大学の1年生と2年生で、その時は大学院生と仕事に疲れ切った社会人。自分でお金を稼いで生活している私のことを誇らしいと褒めてくれた。

ハーバード大学も案内してもらって、久々に学生のパワーを感じて、当時の私は羨ましくなった。みんな自分の学びたいことを学ぶために一生懸命だから。かたや私は好きでもない仕事で毎日いらいらしながら過ごしていた。
学生街を歩きながら、私は彼女に話した。少し前からデザインに興味があること。学校に行ってみたいけど、今はお金も時間もないこと。それでも、ニューヨークでデザイン学部のある大学を見て、ボストンでキャンパスライフを感じて、好きなことを学べることがこんなにも羨ましいと感じるんだ、と実感した。

彼女は私に、「だったら学校に行きなよ!」と勧めた。

それからまた月日が経って、Instagramで彼女と話した。
あれから2年半ほど経って、私は無事に建築を学ぶために留学する。
「もしかしてボストンで言ってたプログラム?」と彼女は覚えていたようだ。
あの時はまだ漠然と考えていたことが、ようやく形になる。
仕事を休む勇気さえなかった私が、なんとかここまでこぎつけた。
仕事を休んで、辞めて、建築を学び始めて、留学を決めて。
ちょっと時間はかかちゃったけど、一歩一歩進んできた。
なんだか感慨深かった。人生どうなるかわからない。
そして、心の中に渦巻いていた小さな希望が、こうして芽を出し始めていることに嬉しく思う。

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