ベテラン先生が若い芽を摘む
保育士や教員の数だけ、保育・指導の仕方がある。
保育・指導をする上で、共通する基礎知識はあっても、それ以上に自分の考え方や経験で子どもたちと関わっていくことが多いため、能力に個人差がついてしまう職業だなと感じます。
そして、それが厄介だなと思っています。
今回は、私の身近で頑張っている若い先生たちの苦悩を見て感じたことを書きます。
保育園や学校という職場は、ブラックと言われがち。
そんな職場で一番頼りになるのはベテラン先生。
のはずが、一番厄介なのもベテラン先生。
ベテラン先生も、いろいろな苦悩を抱えながら、きっと頑張ってこられたと思います。
働いてきた中で、理不尽なことや辛いこともたくさんあったと思います。
でも、忙しい毎日の中で、それが当たり前になり、自分たちもやってきたのだからと、若い先生たちにも同じことを要求するベテラン先生が結構いるのです。
*指示の内容が毎回変わる
*「それぐらい自分で考えなさい」と言われたので行動をすると「勝手に物事をすすめないで」と怒ってくる
*保育士同士が楽しそうにしている時間を邪魔する
*一方的に自分の意見を押し付けてくる
*雑用を当番制にせず、一人の保育士にだけやらせる
*保護者とのトラブルの責任や対応を押し付けてくる
*保育士の人格否定までしてくる
引用:保育士が受けるパワハラ被害の具体例と対処法
私が働いていた、ある保育園では、こんな毎日でした。
指導という名のパワハラです。
また、教員の仕事は、学級運営の他に、学校運営のための仕事があって、担当制になっていたりしますが、それが本当に厄介なのです。
例えば、書類一つ作成するにも、この先生はOKであの先生はNG、副校長はOKで校長はNGなど、先生それぞれの考え方が違うので、決裁まで何日もかかることがあり、非常に効率の悪い仕事をしていたりします。
そういう仕事の中で、ベテラン先生が、若い先生に「給料泥棒」と言ったり、サボっていないかを常に監視しているような態度をすることもあるのです。
もちろん、保育園や学校の仕組み自体も、このままでいいの?と思います。
私立の認可保育園だと、利益を得るのが難しいからでしょう。
お金をケチって、折り紙さえなかなか買ってくれない園がありました。
先生たちは、自腹で工作の材料を買い、家に仕事を持ち帰ります(残業なしの職場だとアピールしているため)。
ある学校では、形式上、残業せずに早く帰るように!と管理職がうるさく言うけれど、残業したり、土日出勤しないと終わらないくらいの仕事があるのです(学校の先生は、個人情報の問題もあって、家に仕事を持ち帰ることが難しい)。
そのくらい忙しいのに、最近では、「ICT教育」でタブレットを児童一人一人に配っていて、教育にどう生かすのか、どう取り入れるのかは、教員に丸投げ状態で、ますます負担が増えています。
ベテラン先生たちが声をあげていくことも大切かなと思うのですが、問題視している先生たちが耐え切れずに辞めていくことが多く、結果的に、問題視していない先生たちが現場に残る仕組みになってはいないかなと考えてしまいます。
問題視しているけれど、多忙すぎて、状況を変える余裕もない先生もいるのだろうとも思います。
それに、どんな上司であれ、年齢や経験が優位で、たとえ間違ったことを言っても、誰も逆らえない雰囲気があったりするようです。
そういうブラックな環境で、私が厄介だと思うこと。
それは、自分たちが今までしてきた保育・指導に自信満々で、若い先生の行動や考えを否定することから始めるベテラン先生がいることです。
しかも、ベテラン先生の考え方や経験には個人差があるため、それぞれに言うことが違い、若い先生たちは混乱するのです。
子どもの保育・指導がベテランだから、新人教育もベテランだと勘違いをしてしまうのかもしれません。
子どもたちが大好きで、先生になることを夢見て勉強して、夢を叶えた若い先生たち。
それなのに、笑顔がだんだんと無くなって、体調を崩し、とうとう辞めてしまう。
私が働いていた保育園(新規開設園)では、半年間で6人が辞めました。
パワハラだとは気づかずに、私がダメなんだと自分を責めてしまう先生が何人かいました。
私くらいの年齢になると、「それはパワハラですよ!」と言えるのですが、それでもベテラン先生は、言葉巧みに話をすり替えるのです。
「あなたのことを思って言っているのよ。子どもの命を預かる仕事だから、時には厳しくならないといけないの。」
「言いたくないけど、私も雇われてる身だから辛いのよ。分かるでしょう?」
「本人が辞めると決めたのだから、それを止めることはできないし、その決意を尊重しないといけない。」
特に保育士は辞める人が多いので、逆に言えば、すぐに見つかるということもあり、自分の思い通りに動いてくれない先生には、自分から辞めると言い出すまで嫌がらせをするベテラン先生もいました。
若い先生の間では、良い保育士・良い教員は、子どもとずっと関わっていたいから、管理職にはならないという話になることも。
よく、保育士の社会的地位が低いと言われているけれど、それはベテラン先生のせいではないかとさえ思います。
子どもに道徳を教えているのに、職員室では、人としてどうなの?と思うような言動をするベテラン先生がいて、がっかりする。
学校の先生になった娘が言っていました。
私も、パワハラをするような人が保育をするの?とがっかりしました。
そんな人たちが、ある程度の地位で保育園や学校に携わっている現実が普通に存在しているのです。
どうにかならないのでしょうか。
そんなに簡単に解決する問題ではないのでしょうが、保育士も教員も、とても重要な職業だと思います。
保育士も教員も、若い人たちがなりたい職業になって欲しい。
素敵なベテラン先生もたくさんいるのです。
厄介なベテラン先生の圧が強すぎて、負けてしまいがちだけど、若い先生たちを助けてあげて欲しいし、この状況を変えていって欲しい。
私には、泣いている先生を慰めることしかできないけれど、保育士や教員を目指している若い人たち、悩みながら働いている若い先生たちの未来が良くなることを願っています。