見出し画像

【部長の考察】ロボット事業の展望と、私たちが取り組んでいるコト

こんにちは、キングソフト株式会社の吉田です。

先日、当事業部の佐藤君が「キングソフトに新しいロボットがやってきました【実証実験にご協力して頂ける企業様、大募集!】」という記事を投稿していました。今日はその「新しいロボットの事業化」について、まだまだ試行錯誤の中ではありますが、私なりのアプローチを記していこうと思います。

佐藤 健斗_2021-06-15_11-07-41_945

まず、このロボットを我々は”Lanky Porter”と名付けました。これはもちろん英単語の「Porter」から発想を得たものなのですが、その名の通り「任意の場所から任意の場所へモノを運ぶ」という事に特化したロボットです。

このLanky Porterでどんな未来を描くのか。まずはその展望を記したいと思います。

私が思い描く"展望"とは?

画像2

私が思うロボット事業の展望は「現場で働く人がゆとりを持って事業に従事できる未来を実現する」事です。少子高齢化社会で恒久的な労働者不足が危惧される中、サービスロボットの浸透こそが、この問題を解決する一手になると私は信じています。その未来実現のためには「ロボットの導入密度」がキーワードになると考えています。

2017年時点で、日本でのロボット導入密度は従業員10,000人当たりに対して308台でした。これを聞くと意外と多いのでは…と思われる方もいるかもしれませんが、実はこの中の多くが産業用ロボットとして生産現場で利用されているもの。我々が展開するサービスロボットの領域は今後伸びる市場だとされつつも、現時点ではまだ産業用ロボットの足元にも及びません。つまり、まずは産業用ロボットと同じくらいの密度を目指し、達成していくことが目標であり、予想されます。

画像10

平成29年6月時点でのサービス産業における事業従事者は2,846万人。もし従業員10,000人当たりに対して308台の導入が実現できたとなると、日本全国で876,568台ものサービスロボットが稼働することになります。この中で配膳分野に特化し、飲食業にフォーカスすると132,440台となります。

この飲食業界の中の10%、およそ13,000台程度の自社の配膳型ロボットを稼働させることができれば、私が考える「現場で働く人がゆとりを持って事業に従事できる未来を実現する」という展望に大きく近づけるのではないかと考えています。

そのために、まずは事業の軸を決定していきたいと考えています。

事業化の軸を決定する

画像3

私はLankyを当社の取り扱いロボットのフラッグシップと位置付けており、Lankyが「汎用性・カスタマイズ性」をキーワードに製品設計を行ってきたのに対して、Lanky PorterはPKG化を実行し、「何ができる製品なのか、簡単に理解できる」ことを製品設計の軸にしたいと考えています。

つまり、Lankyは導入予定先の課題に対してソリューションも一緒に構築して販売しようという考えで、大きく分類すれば実務領域は案件ごとに一緒だったとしても、ディテールの部分では各案件で個別にカスタマイズを施していく1on1の設計製品でした。一方でLanky Porterに関しては、まずは「配膳」に特化し、細かいポイントのみ各導入先で違いはあれど、ソリューション自体を個別に設計することは避けていこうという事です。

「ロボットがより身近な社会」 SDGsの本質 (16)

思えば、Lankyが初めて当社に届いた際、基本機能を確認し、案内誘導の業務を社内で実施してみようと試行錯誤した結果、行き着いたのはGoogleのシステム(スケジュールアプリやGmail)と連携することでした。当社で使っているシステムとの連携や実施している運用に合わせてカスタマイズを施すということで、非常に難儀したものです。

他のシステムやデータサーバと連携して製品化することは、導入先においては非常に喜ばれるものの、同時に運用フロー自体が干渉してしまったり、交信するデータサーバの情報管理で案件自体が煩雑になり、結果導入費用面で想定以上の金額がかかってしまうなど、導入先の間口が狭くなってしまう懸念がありました。

画像11

従って、当社のそもそもの事業理念である「すべてのユーザーにキングソフトを!」というものに合致させていくには、できるかぎり供給の価格を抑え、どんな事業者様にも導入のメリットや利便性を享受できる形にPKG化していくことが重要と考えています。

導入先におけるITスキルや事業規模などに左右されることなく、誰もが直感的に利用できる、まさに誰でも使える製品にしていこうと目論んでいます。

それに向けて必要なコト

1. PKGの内容を決定する

画像4

何ができるのか。何を請け負うのか。まずこのベースを決定することが必須となります。現状では、店内の状況に合わせて「配膳を実行する」ことと「入口から客席までお客様を誘導する」の2点をベースとしたいと考えています。

部署のメンバーとの意見交換や現場での利活用を通して、もっと他の業務の可能性も出てくると思うので、引き続き考察は必要ですが。。。

2. 実証実験を繰り返す

「ロボットがより身近な社会」 SDGsの本質 (9)

様々な現場でPKG化したLanky Porterの実証を繰り返すことで、機能として事足りるのか、運用に問題はないのか、どの程度従業員の負担を減らせるのか、ひいては本当に”現場で働く人がゆとりを持って事業に従事できる未来”が実現できるのかを確認し、提供サービスの概要を固めていくことが必要になると考えます。

3. 価格帯を決定する

画像6

実際にロボットを導入するとなると費用対効果は絶対避けては通れない課題です。実証実験によって、どの程度業務を代替できるのかを検証しつつ、ここに関しては、先述した当社の理念と照らし合わせても、安価で導入しやすい価格設定にすることはマストと考えています。

上記の3点を進行しながら、実際に「試験導入」という形で事例を作り、実際の現場からフィードバックを頂き、誰でも導入できるロボットとしていくことを今は進めていきたいと思っている次第です。

その先の未来には

画像8

ゆくゆくはPKG化した機能だけでなく、注文を取ったり、決済をその場で完了させたり、といったさらなる機能拡張を施していくことで、よりロボットが近くにあり、利便性が向上し、”働くヒトがゆとりを持って事業に従事できる”社会の実現に向かっていくと期待しています。

というわけで。

実証実験にご協力いただける企業様、大募集中です!

現在私たちAI・ロボット推進チームでは、配膳型ロボット「Lanky Porter」の実証実験にご協力頂ける事業者様を大募集中!

「ロボットがより身近な社会」 SDGsの本質 (5)

配膳型ロボットのLanky Porterは、「配膳を実行する」ことと「入口から客席までお客様を誘導する」ことの2点をベースに実際の店舗で実証を行っていきたいと考えております。実証実験なので、もちろんお代を頂くようなことはありません。今後、ロボットを活用したサービス提供が浸透するであろうことを見据えて、ぜひこの機会にご協力頂けないでしょうか?

もし実証実験へのご協力、ご参加にご興味があるという事業者様がおられましたら、ぜひ下記よりお問い合わせ頂ければと思います。まずは詳細を聞いてみたいというお声も大歓迎です。ご連絡、お待ちいたしております!

https://biz.kingsoft.jp/ai/dl.html


私たちの『ロボットを通して様々な思い』や『皆さんにお知らせしたいこと』を積極的にnoteで発信しています。サポートのつもりで、”スキ”や”フォロー”、”シェア”などをして頂けたら飛んで喜びます!さらに”コメント”を頂けたら私たちの励みになりますので宜しくお願いいたします!