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漢方仙人による漢方逸話『眠れない、寝ても疲れが取れない…そんな時には加味帰脾湯じゃ』の巻

ここ2回にわたりストレス、心の病の漢方処方をご紹介しておるのじゃが、今回もその流れで不眠に使う処方である加味帰脾湯について説明するとしよう。

この処方の対象は不眠でも、眠りが浅い、寝た気がしない、疲れが抜けないという、いわゆる熟眠障害の不眠に該当するのう。
一方、寝つきの悪い不眠、つまり入眠障害には前に説明した柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を使うのじゃ。

不眠に対する漢方的な考え方には、脳に熱がある場合は入眠障害、脳の栄養状態が悪い時は熟眠障害になると規定しておる。
加味帰脾湯は脳の栄養状態を高め、眠りが浅い、怖い夢を見てよく目が覚める、寝た気がしない、疲れが抜けないといった熟眠障害の不眠によく使用するのじゃ。
ちなみに、脳は漢方の五臓学説では心に属しておるので覚えておくのじゃ。

中心生薬の酸棗仁(さんそうにん)はサネブトナツメと言うナツメの仲間のもので、脳に対して血液や栄養物質を増やしたりする作用があるとされておる。
この漢方薬は西洋医学の睡眠薬のような速効性はないが、心と体を安定した状態にして自然な睡眠につなげる作用があるのじゃ。
なお、心と体の安定状態を漢方では心身合一というのう。

生活養生としては、朝は太陽の光を浴び、規則正しい食事をとり、生活リズムを安定させるのが良いのじゃ。

今回はここまでじゃ。
読者の方に少しでも興味が生まれ、漢方に触れるきっかけになれたなら嬉しいのう。
それでは、また次回じゃ~!

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