【PS5大幅値上げ】任天堂と対照的かもしれないSONYの姿勢
DSやSwitchなどで知られる任天堂と、プレイステーションシリーズで知られるSONYはゲーム市場への姿勢が対照的であるという説を、筆者は聞いたことがある。
筆者は10代でビデオゲームから離れてしまった身なので、この説がどのくらい妥当なのか正確には分からないが、たったいま一つの興味深いニュースを読んだ。
2024年8月、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、プレイステーション5(PS5)の本体および周辺機器の価格改定を行うと発表した。
この価格改定により、ディスクドライブを搭載した通常モデルのPS5は66,980円より79,980円へ、PS5 デジタル・エディションは59,980円より72,980円に値上げとなる。
つまり、通常モデルのPS5は一台買うのに正規の値段だと約8万円もかかることとなる。
このニュースはヤフーニュースでも配信され、ヤフコメがついていた。
多根氏のコメントは妥当というか、まさに「その通りだな」という内容だと感じた。
だが、篠原氏のコメントは一つ気になる箇所があった。
「ユーザーにはどうしようもありません」というのは「円安か円高かはユーザーの努力では何とも出来ないことなんだから、大幅値上げの件は、ユーザーにはどうしようもありません」というニュアンスなのだろう。
だが、「円安のときはゲーム本体を値上げしなければならない」という法制度が日本にあるのかと言われれば、そんなはずはない。
結局のところ「円安だからゲーム本体を値上げしよう」という判断を行っているのはソニーの経営陣である。
筆者は、このニュースを知り、桜井政博氏のコメントを思いだした。
任天堂関係者である桜井政博氏は、自身のYouTubeで以下の台詞を発している。
「プレイヤーに事情を説明して回るつもりなの?」というのは「ゲーム制作チーム内におけるコミュニケーション」という文脈での台詞であり、ゲーム本体の値上げを念頭においた台詞ではない。
だが、本動画で桜井氏が述べていることは、家庭用ゲームの作り手、ひいては全てのエンタメ・コンテンツの作り手に言えることである。
この動画では遊び手という表現になっているが、「ゲームを購入して遊ぶ前の段階」すなわち「このゲームを買うか否かを判断している段階」に視点を置くならば、この「遊び手」は「このゲームを買うか否かを店先やネット通販のサイトで考えているユーザー」ということになる。
簡潔にいえば、或るゲームを買おうか悩んでいるゲーマーにとって、円安か否かなどといった事情は知ったことではないのだ。
そもそも、商売において買い手は売り手の事情を必ず考えねばならないというルール自体どこにも存在しない。
篠原氏のコメントを読み、筆者は「円安だからしょうがないとか言っているうちに、日本の家庭用ゲーム市場におけるソニーのシェアはじわじわと低迷していくのかもしれないな」と感じた。
ソニーの重鎮に「確かに日本は衰退途上国かもしれないが、依然として1億人を超える市場があります。数年や数十年単位で考えるならば、日本のソニー・ユーザーやソニー・ファンを露骨に萎えさせるようなことは、なるべくしないほうが良いと思いますよ」などと助言するような人はいないのだろうか。そのことが凄く気になっている。