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米国ロック・アルバムの部屋

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大好きなアメリカのロックの作品を、レコードの話も交えて紹介したものをまとめてみました。
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【Rickie Lee Jones】(1979) 自由奔放な才女の若きポートレート

【Rickie Lee Jones】(1979) 自由奔放な才女の若きポートレート

普段テレビをあまり観ない私なのですが、昔から好きなのが《渡辺篤史の建もの探訪》。早朝に渡辺篤史さんが工夫を凝らした建築のお宅を訪問する番組です。それぞれの家族の営みが垣間見られて、いつも温かい気持ちになれるんですよね。

いつかの放送で、夫婦共々デザイナー、外観も壮麗なお宅がありました。玄関を入ると壁に額縁が2つ。飾られていたのが本作とジョニ・ミッチェル「逃避行」のジャケット。
何と洒落たセンスな

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【Loggins and Messina】(1972) トロピカルな味わい西海岸ロックデュオ

【Loggins and Messina】(1972) トロピカルな味わい西海岸ロックデュオ

今年の関東は桜の花が遅れたお陰で、春の訪れが昔に戻ったような気分を味わえました。やっぱり桜は4月が似合うなぁ、なんて思っていたらもう汗ばむ陽気。アメリカ西海岸のロックが聴きたくなってきました。

私がイーグルスやドゥービー・ブラザーズ等を聴き親しんだ後、次のステップで感銘を受けたのがこのロギンス&メッシーナでした。南風のようなサウンドにパキパキと鳴るギター、そして2人のボーカルハーモニーとすべてが

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【Barnstorm】(1972) ジョー・ウォルシュの深淵なる音世界

【Barnstorm】(1972) ジョー・ウォルシュの深淵なる音世界

ジョー・ウォルシュといえば現在もイーグルスのメンバーですが、同時にこれまでずっと並行してソロ活動も続けてきました。明るい性格に似て?!なのか作風も実にユニークで、常に遊び心を持った作品群は如何にも彼らしい気がしますね。

そんなジョーの数多い作品の中でも、ジェイムス・ギャング脱退直後にバンド名義で発表したこの1stアルバムは、なかなか深淵な音作り。彼の陽キャラクターの真逆を行くようなサウンドにはア

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【O'Keefe】(1972) Danny O'Keefe 郷愁こみ上げる米国シンガーソングライター

【O'Keefe】(1972) Danny O'Keefe 郷愁こみ上げる米国シンガーソングライター

ダニー・オキーフの"Good Time Charlie's Got the Blues"という曲が私は好きです。素朴なアコースティックギターの音色と少し鼻にかかった歌声、郷愁を誘うメロディがいつも耳を惹きつけます。ついアメリカの田舎風景を思い浮かべてしまうんですよね。 

私がダニーの名前を知ったのは90年代のこと。MUSIC MAGAZINE増刊『シンガー・ソングライター』という本で紹介された彼

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【Johnny Winter】(1969) 100万ドルのブルースロック・ギタリスト登場!

【Johnny Winter】(1969) 100万ドルのブルースロック・ギタリスト登場!

1960~70年代のロックシーンには個性溢れるブルース系ギタリストがひしめきましたが、この人もそんな1人ですね。ジョニー・ウインター!
コロムビア・レコードが当時100万ドルで契約したことで有名なジョニーは、テキサス出身らしく豪快なギタープレイが醍醐味。マシンガンのように弾きまくるスタイルは、どちらかと言えばロックンロール色が強いタイプかもしれません。

しかしながら、コロムビアからのメジャーデビ

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【After the Gold Rush】(1970) Neil Young 名曲、名演が詰まった代表作3rdアルバム

【After the Gold Rush】(1970) Neil Young 名曲、名演が詰まった代表作3rdアルバム

Buffalo Springfield時代からの盟友だったニール・ヤングとスティーヴン・スティルス。私はこの2人ならスティーヴン・スティルスの方が好きです。
ニール・ヤングって野性的な風貌の割に声がか細いくて何だか貧弱。あの痙攣を起こしたようなギタープレイも味といえば味ですが、ちょっと暑苦しいんですよね。その点、スティーヴンは男前だし(薄毛だけど)、声も渋くてギターも達者!

でも、スティーヴンが

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【On Time】/【Grand Funk】(1969) Grand Funk Railroad アメリカン肉体派ハードロックバンド1st&2nd!

【On Time】/【Grand Funk】(1969) Grand Funk Railroad アメリカン肉体派ハードロックバンド1st&2nd!

レッド・ツェッペリンに対する米国からの回答とも言われたグランド・ファンク・レイルロード(以下GFR)。アメリカン・ハードロックの元祖といった存在ですね。

【アメリカン・バンド】【シャイン・オン】の華やかなヒット作が有名ですが、GFRと言えば肉体派のイメージ。私は高校卒業後すぐに上京したのですが、東京で最初のアルバイト先のラーメン屋に古い洋楽に詳しい大学生M先輩という方がいて、2nd【グランド・フ

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【ChicagoⅦ】(1974) ジャズ・フュージョンに踏み込んだシカゴ最後の2枚組アルバム

【ChicagoⅦ】(1974) ジャズ・フュージョンに踏み込んだシカゴ最後の2枚組アルバム

ほんのたまにですが、私はロックバーに飲みに行くことがあります。その場に偶然居合わせた客同士の会話も時には愉しかったりします。いつだったかマスターと客でシカゴの話題になり、いつ頃が好きか?なんていう話になったことがありました。

年配の常連客は当然ながら初期だと主張(←頑固 笑)。1stがマストだと言い張ります。
一方、ある女性客はリアルタイムで聴いた80'sバラード「素直になれなくて」が大好きだと

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【Fahrenheit】(1986) TOTO 黄昏色のTOTOサウンド

【Fahrenheit】(1986) TOTO 黄昏色のTOTOサウンド

私が中学生だった1986年(確か11月)、初めてTOTOなるバンドをTVで目にしました。歌番組《夜のヒットスタジオ》にてアメリカから衛星生中継で出演したのです。
海外特派員?の服部まこさんが流暢な英語でメンバーに話を聞きながらバンドを紹介。高層ビルの屋上で "I'll Be Over You"を演奏する姿(今思えば完全な口パク)を空撮するという凝った演出だったことをハッキリ思い出します。

翌日の

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Jo Jo Gunne4作品 〜アサイラム・レコードの異端ハードロックバンド

Jo Jo Gunne4作品 〜アサイラム・レコードの異端ハードロックバンド

アサイラム・レコードといえばイーグルス、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、J.D.サウザー……1970年代に米国西海岸の音楽シーンを牽引したレコード会社です。青い空、白い雲、爽やかな風、といったウエストコーストロックのイメージを世間に植え付けましたが、レーベルにはちょっとした変わり種も所属しました。

珍しくハードロック寄りのバンドとして売り出されたのが、このジョ・ジョ・ガン。
ややマ

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【Bump City】(1972) Tower of Power ベイエリア・ファンク・バンドのメジャー1作目

【Bump City】(1972) Tower of Power ベイエリア・ファンク・バンドのメジャー1作目

すっかり秋です。昼と夜で随分と寒暖差のある季節になりました。神奈川ではキンモクセイも終わりました。今年の夏は暑かったけれど、キチンと季節は巡りますね〜。

少しヒンヤリ気持ちの良い夜ですが、夜風に吹かれていると聴きたい音楽も変わってきます。こんな時はソウルフルなタワー・オブ・パワーなどはピッタリですね。

60年代末のサンフランシスコ界隈では、スライ&ファミリー・ストーン、サンタナ、マロ、コールド

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【Solitude Standing】(1987) Suzanne Vega 80年代に登場したニューヨークの吟遊詩人

【Solitude Standing】(1987) Suzanne Vega 80年代に登場したニューヨークの吟遊詩人

私、スザンヌ・ヴェガという歌手が結構好きなんです。彼女の書く憂いのあるメロディ、囁くような優しい歌声、一見して文学少女っぽい品性のあるルックス……全部が違和感なく溶け込んで自然と身体に染み入ってくる感じがあるんです。CDもかなり買いました。

最初に聴いたアルバムが本作。1番のヒット作です。でもはじめ、私は彼女の名前しか知らなかったので1曲目の、

♪アイアム フ〜ンフン フンフン フ〜フ〜

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【Dixie Chicken】(1973) Little Feat ニューオーリンズ印の濃厚南部料理

【Dixie Chicken】(1973) Little Feat ニューオーリンズ印の濃厚南部料理

リトル・フィートの名盤と言われる本作。今年で発売から50周年なんですね。記念の新装盤が未発表音源を収録したデラックス・エディションとしてリリースされたようで、ちょっと食指が伸びているところです💦

その昔、知人がリトル・フィートを聴くならこれが良いと言って薦めてくれたのが本作。1stしか聴いたことがなかった私には新鮮でした。バンドの音楽的な歩みからしても、本作は間違いなく転機となったアルバムです

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【Steppenwolf】(1968) 「ワイルドでいこう!」収録の米国ハードロックの祖1st

【Steppenwolf】(1968) 「ワイルドでいこう!」収録の米国ハードロックの祖1st

高校時代にお小遣いでこのアルバムをレコードで買ったのをよく覚えています。目的はただ1つ。"Born to Be Wild"(ワイルドで行こう!) を聴きたかったから…。
映画《イージー・ライダー》は観たことがなくても、当時(80年代末)でもラジオや深夜枠のTV番組で時々耳にする曲でした。まさに反体制なイメージがピッタリ。ロックの歴史に燦然と輝く永遠のロックアンセムですね。

本作はステッペンウルフ

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