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アイデアとは、ビジョンを設計すること。

突然ですが、私は車にあまり興味がありません。

所持する生活に憧れがあまりないなっていう意味です。車は「移動できれば十分満足」と考えていて、それ以上の感情は起きない感じのタイプです。でも乗らないという訳ではありません。乗る必要があれば借りることでその生活課題を解決しています。とくに生活に問題はありません。

仮にどうしても自分で買わなければいけないという境遇に陥ったなら(むしろそれが問題かもですが)、私はキャンプがスキなので中古でボロボロのワンボックスを選びます。でもホントはいらないし、キャンプも機会は限られるので、結局小さい安い車ならなんでもいいです。

事故車でなければ車体に多少スレがあっても構いませんし、それなら自分で擦ってもストレスは少なそうです。できるだけお金をかけず、いつでも生活から切り離せられるような車を選びます。車はきちんと移動できればあまり多くは求めない、そんなタイプです。でももう車を買うならTOYOTAでとしか考えられません。


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今徹底的にTOYOTAは存在意義を提供価値に変える取り組みに振り切ってると言えます。何を今更と言われそうですが、その通りです。その通りどころか、発信があるたびにそう思わされると言った方が正しいかもしれません。スキですTOYOTA。というか豊田さんの考え方が好きです。どうありたいかを示し、どんな価値を自分たちは持ち、どう多くの人を巻き込んでいきたいかを示すその姿に「この企業にコストをかける価値は高い」といつも思わされます。

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ボスとリーダーの違いははっと気が付かされました

ですのでもし車を買うなら中古で買うのではなく、TOYOTAの新車を検討します。なんならいま絶賛興味があるのがシエンタです。買うならもうシエンタです。小さい割にはしっかり荷物がつめるシエンタ。スキですシエンタ。ついには持ってもないのに子どもが「あ、シエンタ」と街を走る車を指して言うようになりました。どうやら家族にとってシエンタは不可逆な存在になったようです。(ちなみにKINTOにはシエンタないみたい)

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|ビジョンは人に購入意欲を創る

こうして車に興味のない人間がTOYOTAのビジョンに影響され、きちんとエントリーモデル(と思ってる)の機能を知るにまで至った中で、一つ大事なことに気がつくことができました。

機能やモノに価値を見出しにくいこの時代に最もプロモーションになるのは、もはや旧来じゃプロモーションになってないと示唆されるくらいプロモーションしてないことなんじゃないか。メディアに取り上げられないくらい自分たちの存在を価値にして伝えることなんじゃないかということです。そうすると、あぁだからトヨタイムズは必要だったんだ。オウンドメディアが必要なのはありたい姿を伝えたかったからなんだとわかります。

オリオンビールもお金を払う価値がある企業だと伝わりました。

理念で売れるの?と思う人は多分このへんのアップデートを急いだほうがいいかもしれません。「モノではなく世の中をどうしていきたいか価値観を伝え、共犯者を作ってゆく方向に進まなければいけない」それくらい今生活者に伝えるべき最も重要なことは変わっていてると感じています。

ビジョナリーなメッセージには、ヒトを奮い立たせるパンチラインがあるとわかると、アイデアの作り方には変化がありそうな気がします。なぜそのアイデアなのか、なぜその機能なのか。当たり前のことですがアイデアや機能はこの「なぜ」を伝えるためにあるべきです。

「ビジョンは人に購入意欲を創る」以外にTOYOTAのメッセージから感じたのは「生活者には課題がない」という問題提起です。車は何かの課題を解決するには、もうどんな機能も役割を十分果たしています。解決したくてもする課題がありません。そのため車は「今」どんな生活課題を解決するのかという世界から、どんな世界があると意味があるかという新しい問題の創出に捉え方を変化させているのではないか?と感じました。

よく提案書を書くとき「今困ってる生活課題はなにか?を捉える」と言われていますが、生活者には課題がないのに課題を探すと提案が同じ方向性にたどり着きがちです。もうこの勝ちパターンはパターン化され、コンペをしても相手から「またそのパターンか」と思われているはずです。提案が似ていると感じ、アイデア自体が好きか嫌いかに好みによって判断されてしまいます。これではどんないいアイデアも唯一性が薄れ価値を感じられにくくもったいないです。

|アイデアを考えるなら「WHY」から考える

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だからきちんと「アイデア(と機能)を引き立たせる」調理が必要です。実はハマった提案というのは納得いく前段でもビックアイデアでもなく、なぜそうするべきなのか本質を捉え「あなたはこうあるべき」というビジョンを与えた言語化で問題提起しているという提案です。

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言い方を変えると「WHYで発見させ、欲求に変える」です。これがスパイスになりアイデアが調理され素晴らしいヒトサラとの出会いが生まれます。

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ロジックでもアイデアでもなく、必要なのは「あなたはこうあるべき」というありたい姿の提案になってるか。と、まるで新しい発見のよういろいろと綴りましたが、そもそもアイデアはWHYで考え、強いあるべき意味をもっています。

それでもこうして伝えたかったのは、アイデアはセンスでもひらめきでなく、ビジョンを設計することであり、「ビジョンで人は動かせる」ということを伝えたかったからでした。

決してビジョンはふわっとしたものではありません。人の価値観を変え行動を創れるアイデアの本質がビジョンであり、なによりビジョンからアイデアは生まれると思っているということです。

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※未来への挑戦を言語化。HOWを考えてもらう為打ち出したのはWHYのみ

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※ビジョンを前提に生まれた、必然性の高い取り組み。

自分たちがどう有りたいかを「なぜ」で考えることによって、ビジョンは設計され、自ずと何をするべきかは定まり、そのアイデアの必然性はぐっと高まります。遠回りにように思われるかもしれません。でもこれからの仕事はこう考えるべきだと強く信じています。

最後に。昔こんなことを大先輩に言われたことがあります。「言葉を言葉のまま受け取る人と、言葉には訳があると思って受け取る人とは、引き出しに差が生まれるよ。別に普通の人はそんなこと必要ないけどね。」と。今思えばこれはWHYで考える話だったんだと想えます。世の中すべての存在には理由がある、なぜを考えることでその答えに近づくことが出来る、アイデアを考える道具はここにある、と。マーケティングにかかわる人はこの癖が重要だと暗に意味していたんだと思います。

人間よく考えたものが成長します。よく考えた結果「あ、こんなもんでいいのか」と言う感覚を得られます。この感覚がアイデア思考が成長した証です。

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ビジョンコミュニケーション。元新聞配達員。元舞台役者。元コピーライター。C1グランプリ優秀賞。宣伝会議講師。キャンプ好き。2M(メディア)なPRプランより生活者目線で理念を打ち出すブランディングを実施。三茶散歩コミュニティマネージャー。好きな言葉は「和して同ぜず」