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編集者的飲食マーケティング考

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元「アリガット」編集長、「フードスタジアム」編集主幹の身体を張ったリサーチ日記。飲食マーケットの“NEXT”を発信。「ネオ大衆酒場」生みの親。ネオ酒場コラムニスト。
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2016年2月の記事一覧

「大人の酒場」が増えている!

最近、ちょっとアッパーだが、こだわりの感じられる「大人の酒場」に注目が集まっている。雑誌『BRUTUS』の「おいしい酒場」特集に続き、『dancyu』が「酒場はどこだ?」特集号を発売。いずれも大人のための酒場案内"である。いまなぜ、「大人の酒場」なのか...。

「おいしい酒場七カ条」とは…
『BRUTUS』の酒場特集は、「おいしい酒場七カ条」として、以下のポイントをあげている。「その店で選んだ基

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経営者は「ストーリーテラー」たれ!

目下の私のリサーチテーマは、「飲食店における価値観とは何か?」を徹底的に追求すること。そして、「EAT GOOD」(生産者、飲食店、顧客の“イイ関係”を築いていく店)を探すこと。「顧客価値」を提案し、生産者と顧客をつなぐイイ関係を築くには、「物語」づくりが不可欠である。

「物ではなく、物語を売れ!」いまマーケティングの分野では、「物を売るな、物語を売れ!」という言葉が注目されています。ストーリー

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「イートグッド」時代が到来する!

2015年6月のコラムで、私は「イートグッド時代が到来する!」と書いた。「イートグッド」とは、生産者と食材の大事さを共有し、それを飲食店を通じてお客様に真面目に美味しく、楽しく提供しようというコンセプト。このコラムを書いて以来、「イートグッド」的な店がじわじわと増えている。イートグッドな店が点から線へ、面へと広がり、外食のあり方を変え、時代を動かす日が来るに違いない。昨日は、その「イートグッド」と

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「飲食トレンド」と飲食店経営者のあり方

私は飲食トレンドの分析や予測をずっと行ってきたが、ますます「業態トレンド」だけではマーケットの動向を先読みできない不透明な時代に入ってきたような気がする。表に現れる現象だけを見ていては勝てない。その現象の底流にある時代の構造的変化、人々の心の変化を見極めなければならない。

トレンドを読む5つのキーワード私がかつてある雑誌に寄稿した「トレンド予測」に関する原稿で、以下の5点のキーワードを取り上げた

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外食業界にも「エクスペリエンス」の発想を!

これは、2010年11月に私が書いたコラムである。いま、商業マーケティングの分野で「エクスマ」という考え方がもてはやされているが、私は6年前に外食業界にも「エクスペリエンスの発想を!」と提言した。

「これまでなかった体験」を提供する外食業界不振に関するニュースが相変わらず多い。均一価格"に代表される低価格路線が限界に来ているのだろう。もう安いだけの店には、魅力を感じない。高付加価値路線に舵を切り

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いま求められる「3つのキーワード」

いまの飲食マーケットの軸になるキーワードは何か?私は毎年、年末年始に2週間〜1ケ月ほど日本を離れ、アジアを旅しながらいろいろと考えることにしている。日本から離れて東京の飲食マーケットを冷静に見たいからた。そして、考えるのは、あまりにも業態の“尖がり競争"に走り過ぎるということ。原点に回帰し、食と飲食店の本来のあり方を追求することが必要ではないか。

業態の“尖り競争”は続かない業態の“尖り競争”と

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“個性が当たり前”「ノームコア」の時代が来た!

キーワードとして登場した「ノームコア」。米国のファッション業界から発信された用語で、「ノーマル」と「ハードコア」をミックスした言葉だ。見た目はシンプルだが、その中には強い個性を感じる。そんな飲食店がいま増えている。

「普通の普通」では生き残れない「ノームコア(normcore)」の意味は、見た目は普通のファッションだが、着る人の強いこだわりが感じられるスタイルのこと。いまそのスタイルが、確実に飲

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昨日のお通しが茶碗蒸しだった件。
お通しは万人ウケしながらも、その店のオリジナリティ、クオリティが一発でわかるものがいい。あれこれ出さず、気をてらわず、お客様の心に響くものを。それができないなら、出さない方がいい…。

空洞化する「居酒屋業態」と「ネオ居酒屋」の可能性

「居酒屋の空洞化」は、私が飲食業界に向けて発信している持論である。それはワタミを代表とする大手チェーンの「総合居酒屋業態」が不振に陥り、あげくの果てに低価格競争という消耗戦でお客さんから見放されてしまった。効率主義を追求する「居酒屋」、ありきたりの「居酒屋」はすでに過去の遺物だ。「居酒屋」の再生はどうすればいいのだろうか…?

居酒屋業態の“二極化”「Wikipedia」によると、「居酒屋とは、酒

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「酒場マーケット」の復権が始まった!

大衆酒場マーケットの拡大が止まらない。流行りに乗るのではなく、独自のマーケティング力と業態開発力で、現代風の大衆酒場(ネオ大衆酒場)をオープンさせる新鋭経営者が増えている。大衆酒場を知り尽くした、あるいは熱心に研修しているデザイナーとオーナーがタッグを組んでつくりあげた「現代の古典酒場」に注目したい。

クラフトビールが飲める大衆酒場蒲田駅西口。ドンキホーテの裏、下町の風情を残す通りにプロダクトオ

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飲食企業マーケティング、いま考えるべき3つの視点

飲食企業のマーケティングに関して、いま考えるべきテーマ、視点として、三つのキーワードをあげたいと思う。「バックツーベーシック」「イートグッド」「ミッション&ストーリー」である。

「効率主義」「拡大主義」の限界1、「バックツーベーシック」。基本に帰れ!ということであり、同時に温故知新の意味を改めて考えよ!ということだ。マクドナルド、ワタミなど大手チェーン店の凋落が続いている。外食企業に対する価値観

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2016年の飲食トレンドを読む!

2015年の飲食業界を振り返ると、肉業態マーケットに代表されるように、実に様々な新業態が登場してきた。個店のみならず、大手チェーン店も「肉業態を狙え!」とばかりに、次々に新業態店舗をオープン。まさにレッドオーシャン、デッドヒートもここに極まれり!といった様相である。しかし、ブームはいずれ過ぎ去る。いまやるべきことは、「飲食の本質とはなにか?」をじっくり考えて、目先のヒットを狙うのではなく顧客視点に

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