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小さな小さな決断

「ただいまー。」
「お帰りー。」

雨が止んでいる隙にと 近所のコンビニに牛乳を買いに行った こざるちゃんが戻ってきました。

「じゃーん! これも買ってきちゃった!」
こざるちゃんが袋から綺麗な空色のパッケージを出します。

「なになに?」
「外国のもの?」
「ポテトチップス?」

こざる達がわいわい覗き込みます。

「ちょっと高級なカルビーのポテトチップスだよ!」
「あれ? 外国のじゃないんだね。」
「横文字しか書いていないし、何だかお洒落だよ!」
「綺麗な空色だね。」

皆、あーでもない、こーでもないと、パッケージに触ります。

「トリュフソルト味のポテトチップスなんだ。」
「トリュフ?」
「あのすごく高級なキノコだよね。」
「知ってる知ってる、イタリアでブタがブーブー言って掘り当てるんだよ!」

こざるちゃんが ちょっと恥ずかしそうに言います。

「うんとね、僕、牛乳だけのつもりが、ちょっとお菓子売り場を覗いたら、この綺麗なパッケージが目に入って、
それで、わぁトリュフソルト味だ!! って、食べたいなぁ、でも普通のポテトチップスよりも ちょっと高いし、
贅沢かなぁ? でも一つしかないから、他の人が買っちゃったら もうなくなっちゃうし、どうしよう? 皆で食べたいなぁ….
って、ちょっとウロウロして、でも、よしっ! って決断したんだ!」

こざるちゃんは「決断」のところを 少し力を込めて言います。
ポテトチップスにしては300円ほどと少し高いものの、
世間一般から見れば ちっとも贅沢とは言えない程度の 小さな小さな決断?です。

「わー、とても嬉しいよ! りこちゃんも絶対に喜ぶよ!」
「うん、皆で食べようよ!」
「美味しそうだし、パッケージも綺麗だし、こういうの、日常生活に必要だよ!」
皆、嬉しそうに うんうん頷きます。

「あー、よかったー!!」
こざるちゃんも嬉しそうです。

確かに こざる達は、ポテトチップスは滅多に食べないのです。
この前食べたのが いつだったか? 思い出せません。
何故かと言うと、この類のものは、袋を開けたら最後、全て一気に食べてしまいますし、
スナック菓子は とても美味しく、また食べたくなるように研究されて作られていて、
中毒になる可能性が高いからです。

「高カロリー、高糖質の すごく危険な食べ物なんだよ!」

そうです、"美味しいものは脂肪と糖でできている"の代表菓子です。

ラジオから 明るく楽しい歌が聴こえてきます。

「りこちゃんと 僕たちの大好きな『ケ・セラ・セラ』だ! 」

ドリス・デイが歌う『ケ・セラ・セラ』です。

「"ケ・セラ・セラ"は、"なるようになる"って意味だから、禁断のポテトチップス食べたって、なるようになるよ!」
こざるちゃんが嬉しそうに言います。

"ケ・セラ・セラ"は、まさに りこちゃんと こざる達の為にある言葉です。

「先のことを くよくよ心配したって仕方ないから、毎日、楽しく生きるんだ!」
皆、うんうん頷きます。

「もう少ししたら おやつだけど、どうする? これにする?」
「うーん….今日 食べると なくなっちゃうよー。」
「そうだね、もう少し 眺めていたいなぁ。」
「パッケージ見ているだけで、ちょっと嬉しいもんね。」
「じゃあ 今日は、レモンアイスがあるから、それにしようよ!」
「うん、りこちゃんに言って来る!」

こざるちゃんが、流れてくる歌に乗って、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「りこちゃーん、そろそろおやつにしようよ! 今日は爽やかレモンアイスだよ! 皆で一緒に食べよう!」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
また雨が続くようですので、体調に気をつけてお過ごしください。
よい毎日でありますように(^_^)

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