見出し画像

未来の自分たち

「今夜は またちょっと蒸し暑いね。」
「また少し暑さが戻ってきたねー。」
「残暑が あまりきつくないといいけどなぁ。」

今日も りこちゃんとこざる達は いつものように
楽しくわいわいお喋りしながら、 皆で一緒に夕飯を食べ、
食後のお茶を飲みました。

りこちゃんは、もうスースー眠っています。
こざる達は、お喋りしながら いつものコーヒータイムです。

「今日は、ちょっと暑かったけれど、でも雨じゃなくてよかったね。」
「うん。」

今日は昼過ぎに、りこちゃんが定期健診で
二人のこざる達と一緒に、すぐ近くの病院へ行きました。
特に具合が悪いわけではありませんが、
高齢なので、定期的に病院へ行って診てもらっています。

「今日は採血したんだけど、やっぱり痛いから、
りこちゃんも注射針を刺した途端『痛いっ!』って。」
「あの注射針は、見るからに痛そうだよ。」
「でも頑張ったよ!」
「採血終わって、ばんそこう貼ってもらって、
憮然とした顔をしている りこちゃんに、
『今日は帰ったら、あんみつがあるよー』って言ったら、
急にニコニコしちゃって。」
こざる達が笑いながら、うんうん頷きます。

「それから先生の診察があるから、待合室で待ってたんだ。」
「お盆も終わったからかなぁ、人がたくさんいたよ。」

平日の昼間、ほとんどが高齢の患者さんです。

「りこちゃんと ぼく達が待っていたら、
隣に座っていたおばさんが話しかけてきたんだ。」
「旦那さんの付き添いできたって言ってて、
とっても明るいハキハキした感じの人だったんだよ。」

ご夫婦とも70代の真ん中辺りで、
旦那さんが今年の初めにガンの手術をして入院していたのだそうです。

「ガンが見つかった時は、かなり進んでいて、
余命宣告までされたんだけど、手術も経過も良好で、
今はすっかり元気になってねー。」
おばさんは、こう言って、とっても嬉しそうでした。

「手術の後は、やっぱり体重がガクッと落ちちゃったんだけど、
リハビリ頑張って、食事もよく食べて、
それで数値がよくなってきたら、沈みがちだった心も
みるみる元気になったんだって言ってたよ。」

心と体は密接に関係しています。
しっかり美味しく食べることが、
体も心も安定して、バランスよく過ごすことにつながります。

「診察室から出てきた 旦那さんは、とっても元気そうで、
ジョギングでもしそうな感じだったんだよ。」

病院に行くと、患者さん達は、なんとなく皆、同志のような
そんな感じになります。
皆、毎日、病気と闘っています。

「この明るいおばさんも、旦那さんの闘病で、
たくさん辛い思いをしたと思うんだ。」
皆、うんうん頷きます。

たくさん辛い思いをしている、皆、そうわかるからこそ、
患者さん達は同志のように思えるのです。

「病院は 高齢者が多いっていうけれど、いずれ誰もが高齢者になるんだよね。」
「うん。未来の自分たちだよ。」

高齢になればなるほど、あちこちガタがきます。
決して特別な人たちではないのです。

「コーヒーの おかわり淹れるよー。」
「何か、つまむもの ある?」

「あるよー、えーとビスケット、チョコレートもあるよ。」
「お煎餅もあるし、最中もあるよー」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
りこちゃんは、特に問題はなく、無事に帰ってきて、
あんみつを美味しく食べました。
よい毎日でありますように (^_^)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?