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アンケートを書く

「昨夜は暖かかったねー。」
「うん、気温が下がらないままだったよね。」
「昨日も、今日も、ゴールデンウィークの頃の気温らしいよ。」
「暖かいのはいいんだけれど、これでまた急に気温が下がったら体調崩しちゃうね。」
皆、うんうん頷きます。

こざる達は、今日も いつものように楽しくお喋りしながら 朝ごはんの仕度をしています。

「毎日、世界中が大変な事態で、そんなニュースが次々と飛び込んできて、本当に慌ただしく落ち着かない日々が続いているけれど、
気がつけば、もう3月も後半なんだよね。」
「花も次々と咲き始めているしね。」

時の流れは、毎年同じように流れていきます。

「そろそろ、アンケート、やらなくちゃね。」
「そうだ! 締め切りがまだまだ先だから、後でやろうって そのままにしてあったね。」
皆、うんうん頷きます。

「りこちゃんが受けている介護サービスの利用者アンケートがあるんだ。」
「それで、僕たち、きちんと書こうって思っていて、適当に丸つけて、"特になし"って書けばすぐに終わるんだけど、
折角のアンケートなんだから、それじゃ意味ないと思っているんだ。」

もちろんクレームがあれば、アンケートなどを待たずにすぐに言いますが、
せっかくアンケートがあるのですから、ちゃんと思ったことを書かないと、そのためのアンケートですから。

「でも こういうのって、ちゃんと伝わるように書くのって難しいんだよ。」
「僕たち、決して悪口とか、告げ口ではなく、これこれこういうことがあったので、こうした方がいいと思いますっていう意見を書きたいんだけど、
受けとる側が、ちゃんと受けとってくれないと意味ないんだ。」
「ニュートラルに書きたいし、受けとる側も ニュートラルに受けとって理解してほしいんだ。」

アンケートは、改善する為のものだと思います。
そうでないと、やる意味はありません。

「ちゃんと、そのつもりでアンケートをやってくれているかなぁ。」
「そうだといいんだけどね。」

「今夜、おしゃべりタイムにちょっとやってみようよ。」
「うん、そうだね、そうしよう。」

不快な気持ちを与えずに、上手く、的確に伝わる文章を書かなくてはなりません。

「感情を入れないように、だね。」

感情を入れて書くと、説得力がないような気がします。

「いずれにしても、ちょっと書いてみて、何度でも書き直して作成しようよ。」
皆、うんうん頷きます。

ラジオから ゆっくりと優しい歌が聴こえてきます。

「ゆれる海に潜るような 何もきこえない ひとりぼっちのとき
きみはハンター もがきながら 宝物みつけ きっと戻って来る」

松任谷由実の『ずっとそばに』です。

こざる達は聞きながら、朝ごはんの仕度をしています。

「かわってあげられぬ痛みが哀しいわ
どんなに思っていても」

朝ごはんが出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが一緒に歌いながら りこちゃんの部屋へ向かいます。

「たなびく夕映えの雲 私に 涙あふれさせてくれたかわりに
そっと呼んで つらいならば 時を かけて行くわ」

「りこちゃーん、朝ごはん、出来たよ! 今朝はホットケーキだよ! 野菜たっぷりのミネストローネスープも作ったよ!
皆で一緒に食べよう!」

「そっと呼んで 胸の奥で ずっと そばにいるわ
今日も 明日も ずっと」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり始まって
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
アンケートは、規定の枠からはみ出した答えを書きたくなるので、苦手です。
よい毎日でありますように (^_^)

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