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Onlineで日本語を教える|#10 受講者目線で考えてみた

 オンラインで日本語を教えている、こゆきと申します。
 いまやリモートで働くことは珍しくもなく、だからこそオンライン会議などでのノウハウには、みなさんそれぞれすでにだわりがあったりするのではないかと思います。私は日本語レッスンを始めるより前、約3年ほど前から英語とスペイン語のレッスンをオンラインで受け始めました。
 そこで今日は、自分自身がオンラインで学ぶ中で感じた、先生がやってくれて嬉しかったことや、それをもとに自分がレッスンで実践していることについてお話ししたいと思います。


1: ほどよいカメラ目線とは

受講者目線で感じたこと

 私が受講者としてレッスンで居心地よく感じるポイントのひとつが、カメラ目線です。実はオンライン会議などでもあまり意識していない方がいるように思います。または、リモートで働く時代の新しい常識ができあがったのかもしれません。オンライン会議は、目が合わないのがフツー、とか。

 でもやっぱり、人の話を聞く時に、画面の中のしゃべっている相手の顔とずっと目が合わないのは残念な気がします。いえ、気にならないという方の感覚も否定していません。ただし、自分に話しかけてくれている、と感じるためには重要なポイントだと私は思っています。特にマンツーマンのレッスンの場合は。

 初めのうちはあまり気にしていなかったのですが、たくさんの先生と話すうちに、画面の中で目が合う先生とそうでない先生がいることに気づきました。いい悪いとか、ではなくて、目が合う先生のレッスンは「ライブ感」を感じました。
 私に、いま、話しかけてくれている、という現実感みたいなものです。
レッスンへの集中力や、会話に参加しているという感覚を強めることもあるかもしれません。

自分がレッスンでやっていること

 話す時は、「カメラの穴」を見て話しています。
どうしても画面の中の相手の顔、を見てしまうのですが、話す間だけでもカメラ目線にしようとしています。
 相手の方の顔が写っているモニターを、カメラのすぐ下の画面上部に表示して、話しながら相手の表情も見ています。
                                              自分が見ている側の時によくわかりますが、「カメラの穴」を見ていない人の目線は、画面の中でやや下または斜め下を向いて見えます。いえ、いいんです。伏し目がちにしゃべったって、全然構わないと思います。対面でもそういう方はいますよね。だけど、聞く人は画面の中の伏し目がちな人をずっと見てます。真剣にレッスンに参加してくれる方ほど、画面の中の先生をじっと見てくれています。だから、そこでその人の顔を見ている状態にしたい、というのが私の目標です。

画面の向こうの先生と目が合うと,ちょっと嬉しい

 聞く時は画面の中のお顔に集中しています。
やっぱり表情や、あれなんだっけ?と母語で独り言を言ったりした時の口の動き(何を言おうとしたのかわかることがあります)を見たいからです。

 これは本当に個人の意見で申し訳ないのですが、黙っている人がじっとこちらを凝視していると、ちょっと圧迫感を感じるかもと思っています。特に、話す言語や内容に自信がない時に、画面の中の黙っている顔がまっすぐこちらを向いていると緊張します。
 そんなわけで
話す時はカメラ目線、聞く時はカメラ真下の画面の中のお顔を見る
 ことにしています。
聞く人から見ると、ふんわりこちらを向いている目線になると思います。

 目線を追いかけてくれるカメラもあるみたいですね。私はノートパソコンの内蔵カメラなので、意識してカメラホールを見る、というやり方にしています。

2: 誰にでも承認欲求はある

レッスンを受けていて嬉しい瞬間

 スペイン語はゼロからスタートして今も苦戦しています。だから私の発話レベルは本当に惨憺たるものです。それでも、その日に習った文型を自分なりに使ってみたり、さっき教えてもらった語彙を早速使ったりした時に、先生が muy bien ( very good ) と言ってくれると、いい歳した大人だろうとなんだろうと、やっぱり嬉しいです。もちろん、表情も喜んでみせてくれると、さらに嬉しい。

 手でグッドマーク👍を出してくれるのも、私は嬉しいです。言葉の途中で迷っていて、でも自力で言いたい、とねばっている時も、👍を見せながら待っているよ、というサインを送ってもらえると励まされます。
 先生のジェスチャー、言葉、表情で「待っているよ」「聞いているよ」「わかるよ」というサインを受け取ることができるのは、たとえオンラインであっても顔が見えるレッスンの大事なポイントだなと感じます。

私もできるだけわかりやすく見せる

👍サインは、声を出さなくてもできるのでとても便利です。 
発話を邪魔しないし、画面の中の私に向かって一生懸命話してくれている学習者さんは必ず気づいてくれます。

 音を出さずに拍手するジェスチャーも、単純で子供だましじゃないかと思うかもしれませんが、相手によって効果的であることがあります。

 なお、親指を立てるいいねサインは国・地域によってあまり良くない意味があるそうです。SNSのマークに使われているくらいなので、多くの地域では大丈夫だと思いますが、新しい学習者さんとのレッスン前は、確認したほうがいいかもしれないです。
 また、親指と人差し指で円を作るいいねサインは、もう少し広いエリアでネガティブなサインらしいので意識的に避けています。

 さらに、はっきり言葉で口に出して承認・評価するのは大事ですよね。
短くすばやく褒めることは必要だなと感じます。レッスンの終わりのフィードバックで、まとめて褒めるというスタイルの方もいらっしゃるかもしれないです。

 いくら褒めても足りない方もいるし、いやあんまり、という方もいますが、これは反応を見ていればそこそこ判断できそうです。ちなみに個人的には、ちょこちょこ褒めまくられるとちょっと疲れます(ごめんなさい)。
自分が頑張った、今負荷がかかった、と思った時に褒めてくれるのは嬉しいです。ややこしいことを言いますが、それは私だってできますよ、ということをした時に褒められると、自分のレベルが低く見積もられていたように感じてしまいます。
 あぁ、ややこしい(でもヒトってそういうものですね)。

 入門レベルの方なら、最初に、これはOOという意味ですよと説明したら直後からその日本語で褒める、とかもいいですよね。英語間接法のレッスンでも、すごい!とか、いいですね!とか、簡単なフレーズは日本語で言うとそれも勉強になるのでいいかなと思っています。個人的には、よくできました(good jobとか)は、私らしくないかなと思って使いませんが、レッスンにおけるリーダーシップを表現できるという意味で、先生として意図を持って使うというのも素晴らしいと思います。

 また、自分の顔も画面に表示したままにしています。自分の顔なんて、ながめていたくはありませんが、うっかり集中しすぎて怖い顔になっていないか気になるので表示しています。

3: あなたに関心を持っています

この先生は安心、と思う瞬間

 当然のことながら、自分にしっかり関心を持って向き合ってくれている先生には安心感を感じます。
 たとえば、話している時の反応はもちろん、以前話したことを覚えてくれているとか。特に好きなものや興味のあるものについて、そういえば前に〜が好きだって言ってたけど、などと言われると嬉しいです。さらっと例文に反映させてくれたり、関連するテーマの記事をレッスンで使ってくれたりすると、考えてくれたんだなと嬉しくなります。

 あまり個人的なことを質問しない先生も好きです。私は、趣味や関心について話すのは気になりません。ただ、年齢(!)はもちろんですが、どこに住んでいるの?とか家族は何人?とかは、聞かれたくないです。関心を持っているから聞く、というのはわかるのですが、たとえば自分のレッスンでも、日本在住の方に日本のどこに住んでいるかは、あんまり話したくないです。こちらからも聞きません。実は何度も聞かれて都道府県で答えたことがありますが、近いですね!会えますか?ご飯に一緒に行きましょう!みたいになったことがあり、いえあの、きちんとレッスンでの関係ができているとか、割り切って学習者さんとお友達になるタイプの方ならいいかもです。

 相手の顔色が気になる私は困ったことに、ちょっとした仕草を見逃せないので(涙)、あぁこの先生、今私の話をあんまり聞いてないな、と感じてしまうことがあります。画面の外に目をやったり、誰か部屋に入って来ちゃったのかもしれないですが、ジェスチャーで誰かに何か言ったりとか、気になってしまいます。

完全集中・連続性のある会話

 本当に当たり前なんですけど、自分がレッスンする時は、学習者さんに完全に集中する、そうしているところを見せる、しかないなと思っています。よそ見しないはもちろん、自分にその意識がなくても、表情が上の空みたいに見えることもあるので聞いている姿勢をしっかり見せる、ということに気をつけています。

 ありふれた話題と思われているような、家族の話や出身地、住んでいる街、仕事のことなども、聞かれたくない人はたくさんいますよね。特に最初の頃は共通の話題を探そうとして、あまり意識せずにどこに住んでいるの?などと聞くこともあると思いますが、個人的なことを聞かれているように感じてストレスになる人もいると思います(私もです)。

 ヒトって言いたいことは聞かなくても言うものなので、聞いてないのに話してくれたことは、ちょっと気をつけて聞くようにしています。ダイレクトに言わない要望や嗜好についてのヒントが隠れているかもしれないからです。
 以前、体験レッスンで話しているうちに、前に他の先生に習っていた、ということがわかったので、あまり深く考えずになぜやめたのかを聞いてみたことがありました。笑いながらでしたが、それは言いたくありません、と言われました。やめてしまった原因を自分のレッスンで解消できないかな、と思ったのですが、あまり話したくない理由だったみたいです。そうやってはっきり言ってくれるのはありがたいですが、黙って気分を害する方もいるかもしれないので、気をつけたいです。

 レッスンの最初のウォームアップは、継続している方とこそ、連続性を持たせたいと思っています。前回言ってた〜はどうなったの?とか、週末〜行くって言ってましたね、とかでいいと思います。そうそう、と話の続きができるような雰囲気を作りたいなと思っています。またいつものお馴染みの先生に会えた!と思ってほしいし、リラックスして欲しいからです。

4: 相手のストレスをできるだけ排除する

聞きたいのに聞けない

 英語のレッスンで有線のイヤホンを使っている先生と話している時でした。片方のコードに小さなマイクが付いているよくあるタイプでしたが、なぜがめちゃめちゃノイズが聞こえて、先生の声が途切れるのです。よく見ると、先生が手を動かすたびにガサガサ、ブツブツと音が途切れていて、どうやらマイク部分に髪の毛や手が当たっているようでした。先生に伝えてみたところ、マイクを手で持って口に近づけてくれたのですが、いつもの癖ですぐ離してしまうので、ずっと音が途切れたままだったことがありました。いつもその音声でレッスンしていて大丈夫なのかもしれないし、実際の会話では雑音もあるから慣れておけばよい、という考えもありますが、小一時間ガサガサ聴くのはつらいです。

 また、画面を共有してもらうときや、ホワイトボードに書き込んでくれる時に、スムーズな先生はストレスが少ないです。あれ、見えませんか?おかしいなぁ、は愛嬌ともいえますが、毎回だとちょっと疲れますよね。また、いい資料があるよとすぐに関連情報を出してくれると、会話の中断が少なくていいなと思います。

音声・通信状況の管理とツールの活用

 私はマイク付きイヤホンをいくつか持っていて使い分けています。そのうちのひとつはマイク音声の品質が他のものと比べてあまりよくないことがレッスン中の学習者さんのご指摘でわかりました。初めて使った日、いつもよく聞こえるのに、今日はちょっと音がこもっている、というようなご指摘をいただいたのです。そこで、マイクのみ、イヤホンからPCの内蔵マイクに切り替えたところ、全然違う!と教えてくれました。教えてもらわないと気づかなかったので、とてもありがたいのですが、これ以降、どのイヤホンの時もマイクは内蔵マイクを使うようにしています。相手に聞こえる音はいつも同じ品質になるかと思って。基本的に静かな環境でレッスンをしているのですが、次に購入するならマイクにノイズキャンセリング機能がついているものがいいかなと思っています。

 レッスン中に活用するツールやデバイスについては、あれ、おかしいなぁ、は本当にどうしようもなく起きることもありますが、自分が操作に不慣れなのが原因というのは避けたいので、基礎的なことはもちろんおさえておきたいです。もっとこんなことできないかな?とか、こういう見せ方をしたいけど方法はないかな、と日々研究中です。

5: 発話バランスは大事

 もっとも気をつけていることは、会話レッスンでの発話バランスです。
 先生が説明をする形式のレッスンでは、状況が異なるかも知れませんが、会話レッスンの場合、やはり学習者さんが話す割合が多いほうが望ましいと思っています。以前、英語のレッスンを受けた時、よく話す先生だったのですが、本当に誇張ではなく、30分のレッスンで私が発したのは
 OKとI'm not sure…しかなかったことがありました。聞き取りの練習だと目的を切り替えてもいいのかもしれませんが、話したいのに口を挟むすきもなく、ただ聞くだけのレッスンは苦痛でした。自分が同じことをしないように、いつも気をつけています。質問したり、興味を持って聞き返したりすることで、自分からたくさん話してくださることが多いので、話の主導権を取ってしまわないように気をつけています。

6: まとめ


 文中にも書きましたが、私はめちゃめちゃ人の顔色が気になるタイプです。オンラインでもそれは同じで、もしかしたら対面以上かもしれません。だからこそ、過剰に気になっていることもあるかもしれません。
 ただ、自分側の便利さ・快適さと同じように、相手にどう見えるか、相手がどう感じるかは大事だなと思うので、これからも改善していきたいなと思っています。

 今後も自分の反省もかねて振り返りつつ、私の体験をお話ししていきたいと思います。最後まで読んでくださって、ありがとうございます。もしご興味があれば、また見に来ていただけると嬉しいです。そして、ご経験を積んでいらっしゃる諸先輩方におかれましては、どうか温かい目で見守ってくださると幸いです。

 それでは、また🫡



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