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Onlineで日本語を教える|#3 初めての体験レッスン

 さて、過去の記事を読んでくださった方がいらっしゃれば、また来てくださってありがとうございます。今回初めての方、はじめまして。
オンラインで日本語を教えている、こゆきと申します。
 ここでは、人見知りでど素人の私が、約2年前に始めたオンライン日本語講師の仕事について、つらつらと思いつくままにお話ししたいと思っています。
 時系列に整理してお話しできないこともありますが、ご理解くださるとうれしいです。今日は語学プラットフォームへ登録したあと、初めてトライアルレッスンを実施するまでを書きたいと思います。


1: プロフィールを登録したものの・・・

 ご存じの通りですが、プラットフォームに登録されている講師や教師の方の人数は、実に膨大です。利用者の多いプラットフォームであれば、日本語を教えますという方が約千人ほどいらっしゃいます。そこに新しく登録した場合、ご想像に難くありませんが、選んでもらうことは本当に難しいですよね。新規登録の先生です!みたいな表示がされて、ちょっと推して?もらえることもありますが、それが受講したい方の背中を押すことになるのかどうかは、私にはわかりません。
 なぜなら、私自身、英語やスペイン語をオンラインで学んでいますが、先生を選べる場合、やっぱり経験豊富な先生や、口コミで人気のある先生を選びたい、と思うからです。中には、新しい先生を求めている人もいるかもしれないし、お互いゼロからスタートできることを楽しめる人もいるかもしれません。でも、私はやっぱり未知はこわいです。そう思うと、レッスン数ゼロと表示されている私に体験レッスンを申し込んでくださるなんて、ありがたすぎてお礼の言いようがありません。

 そんなわけで、私はプラットフォームに登録して、すぐに反応があるはずがないだろうとたかを括っていました。実際、ある程度それはその通りでした。これは私の場合ですが、約3週間ほどは、何の音沙汰もありませんでした。しかし、問い合わせがあったら即反応しなくては、と意気込んでいた私は、通知を見逃さないように設定し、さらに念のため、たびたびダッシュボードを開いてはメッセージが来ていないか確認を続けました。この後は、待っている間にできること、今ならやっておけばよかったと思うことを書いてみようと思います。

2: 登録からトライアルまで


 初めて受け取ったメッセージから返信までの時間が、プロフィールに表示されてしまうことがあるので、もしこれから登録する方で、レスポンスが遅い人、という烙印(!)を押されたくない場合は、短くてもいいからすぐに反応できるようにテンプレートを準備しておくことをおすすめします。
 『私のプロフィールを見てくれて、ありがとうございます。はじめまして、こゆきです。以前日本語を勉強したことがあるのですね。また勉強したいとのこと、サポートできると私も嬉しいです!』みたいなお礼と挨拶ができる文章です。そのあとで、個別に適したメッセージを落ち着いて入力すればスムーズでした。
 なお、冷やかしなど不適切?なメッセージには返信する必要はなく、サイトに報告するだけでよいことがほとんどです。なので、失礼なメールに返信するテンプレートはいらないかもしれません。

 その他には、対象とするレベルにもよりますが、ある程度自作教材のストックがあったほうが効率はあがる(かつ、気持ちに余裕が出る)ので、必要だと思う方はこの間に準備しておくのもよいかもしれないです。ただ私の場合は経験ゼロから始めたので、具体的にレッスンで必要となる資料やその様式にまったく勘が働かず、結局あとで作り直したり、新たに作ったりすることが多かったです。今も、当時作ったものでそのままじゃ使えない!みたいなのを編集しなおしたりしています。なんというか、教える時のポイントとか、わかってもらいにくい点などが、ちょっとズレているからです。または、作り込みすぎていてシンプルにしたくなったりとか。
 センスのいい方や経験がある方は問題ないと思いますが、私の場合は、昔作ったものほど、使えません(残念)。
 そんなわけで、もし私と同じく未経験からスタートする方については、最初からあまり作り込まないことをおすすめします。

 この時点では、たとえば無料で使用できるデジタル教材を見つけてアクセスできるようにしておくとか、自分自身の頭の整理ためにも、わかりやすく文法項目を解説してくださっているサイトなどを一覧にしておくなどもできそうです。無料教材については、著作権や報酬を得て行うレッスンに使用できるかどうかなど規約の確認が必要なので、いざ必要となってから慌てないように、時間のある場合はしっかり準備しておくと良いかもしれません。これらも、順次使ってみてよかったものなどはご紹介したいと思っています。

 あとは、そうですね、仕事の関係であまりオンライン会議などの経験がなかったという方は、ぜひぜひ、本番が始まる前にいろいろ試すことをおすすめします。マイク設定や画面共有中に実際に相手に見える状況、ホワイトボードなどの書き込みツールの使い方などは、相手がいなくてもテストできますので、やっておくといいかもしれないです。スマホとパソコンがあれば、それぞれをつないで相手にどう見えるか1人でもテストできます。私の場合、テストの段階でイヤホンとPCの相性の問題により、マイクが最初だけつながるのに途中から使えなくなる障害が発生しました。確認したおかげでレッスンで回避できたのでよかったです。
 私はもともとオンライン会議などでzoomは使っていましたが、自分がホストとして会議をすることが少なかったので、画面共有中のトラブルなどで、ちょっと戸惑うことがありました。試行錯誤でいいので、いろいろいじっておくと、いざという時に慌てずにすみます。
 また、学習者さんのモチベーションを上げるためのツール、たとえば画面にハートやいいね👍マークを出したりする機能があるので、ここぞという時にスムーズに使えるようにしておくと効果的です。大人でも意外に喜んでくださる方がいます。(ちなみに、私なら普通に嬉しいです)

3: ついに予約が入ってしまった(?)

 さて、問い合わせもなく、閑古鳥すら鳴かない毎日に焦りを感じなかったといえば嘘になりますが、むしろ予約が入ってからのほうが不安が募ったのも事実です。登録してからは、他の方のプロフィールを参考にちょこちょこと文言を変更してみたり、オンラインレッスンをやっている方のブログやnoteを拝見してみたりと、なんだかんだと自分なりのアップデートを施していました。私のスペックなどの背景は別の記事にしますが、この時点で私は友人から紹介してもらった個人レッスンを数回経験しただけの、正真正銘の素人なので、体験レッスンの予約を心待ちにしつつも、不安もなかなかのものでした。そんな中、ついに初めて体験レッスンをしたい、という冷やかしではないメッセージが届きました。

こんにちは、以前日本語を勉強していましたが、また勉強しようと思います。私の夢はいつか日本に住むことです。(英語から要約)

体験レッスンを希望するメッセージが来た!

 え、日本に住みたい、の? 大袈裟に言ったのか、本気なのか、どっちだろう。旅行に行きたいとかならわかるんだけど。
 などとちょっといろいろ邪推しました。初めてで不安だったからです。

 ヨーロッパからの問い合わせで、以前勉強したというレベルなどの詳細はまだわかりません。私のカレンダーとご都合も合うらしく、しかもご丁寧に「O日のO時に予約してもいいですか?」と聞いてくださいました。
 もちろんです!とお答えし、レッスンへのリクエストや不安に思っていることはないですか?と返信しました。すぐに、ちょっと会話を試してみたい、日本人と友達になるのに必要なフレーズを覚えたい、などの比較的詳しいリクエストが届き、体験レッスンでやってみましょうということになりました。

4: 素人の私が準備したもの

 
 とりあえず、簡単な会話をするために、入門・初級で学習する挨拶や、「〜が好きです」などの簡単なフレーズの教材を準備しました。パワポよりサクサク作れる(と私は思っているのですが)教材作成ツールなど、使用しているサイトについてはまた別の記事で紹介したいと思います。
 それから、学習計画を記入するためのテンプレートも準備しました。
 これは、いったん形を作ってしまえば、他の方にも使えるので、どこかのタイミングで作っておくのが良さそうです。様式はいろいろありますが、少し先のビジョンが見えるものがよいかも。できていることが評価しやすい具体的な目標を書けるようにしておきます。

 なお、これは必要かどうかわかりませんが、自分の自己紹介スライドも英語で作成しました。名前や趣味とか、勉強している言語などを書いて、画面で見てもらうためのものです。スムーズに会話がスタートできて、話の中でお伝えできる場合にはほとんど使用しませんが、ゼロ初級やちょっと会話の始めにギクシャクする方には使えるかもしれません。
 実際あんまり使っていませんが、まだ保存してあります。

 さて、ついに初トライアルの日がやってきました。

5: 初トライアル

 私の場合ですが、このトライアルは60分でした。長い!
 英語での間接法になることがわかっていたので、慌てない程度に使えそうなフレーズをメモしておきました。緊張したら頭が真っ白になるかもしれない、と思ったからです。
 さて、あらかじめ練習した通りにツールを開き、マイク・カメラの
テストも終えて、学習者さんが登場するのを待ちます。画面に映る自分の顔が緊張していてかなりイマイチなので、ほっぺたをほぐしたりしながら待っていました。
 学習者さんはきちんと時間通りに、入室されました。

 Hello~! と笑顔で言えたものの、お互いにその後が続かず、ただニコニコ。なにしてんの。いや、とりあえずめちゃくちゃ緊張してたんです。
たぶん、学習者さんも同じく。
 すぐに気を取り直し、まずは聞こえますか?見えますか?の確認。それから、今日は来てくれてありがとう、のご挨拶。この時点で私は自己紹介スライドを共有していたので、学習者さんはすでに目で追ってくださっている様子。挨拶しているうちに私は落ち着いてきましたが、学習者さんも笑顔が出てきました。
 とりあえず、ぎくしゃくと会話しながら、さらにニーズや現在のレベルを聞き出します。日本語での会話はほとんどできなかったので、単語や挨拶をどの程度知っているのかの確認になりましたが、まずはリラックスした雰囲気を作ることを最優先にしました。文型や文法に重きを置きたい様子はなかったので、フレーズごとご紹介。え?ギターが好きなんですか?弾く?すごい、弾くを知っているんですね。じゃぁ、私はギターを弾くのが好きです、って言えますよ!みたいな感じ。この方は断片的にフレーズや語彙の記憶があり、また耳で聞き取るのがかなり上手な方だったので、ホワイトボードにアルファベットとひらがなで書けば、どんどん真似して発音してくださいました。

 最後10分を残す頃、私はきちんとレッスンを計画し、実施できることをお伝えするために、ラップアップに入りました。まずは現状のレベル、目的とするレベルはこれですよね?という確認をしながら、用意した学習計画テンプレートに書いていきます。できるようにしたいことを、具体的に書きます。たとえば、自己紹介ができるようになる、とか、自分の好みや嫌いなものを話せる、とか、いわゆるCan-doリストにあるような項目を立てると、書きやすいかもしれません。目標を達成するまでの道のりはちょっと遠くて見通しが立ちにくいことが多いので、一番手前の目標とその次くらいまでを明確化しました。そのために10回または20回のレッスンでどの程度練習できるか、なんとなくでよいのでお伝えしました。たとえば、最初の5回くらいで自己紹介と趣味は話せるようになりそうです、とか。漢字の勉強はしたいですか?え?もう少し先?もちろん、それならこのあたりから始めましょうか、自習も必要です、とか。
 レッスン時間内になんとか学習目標のシートができあがったので、メッセージツールで送りました。なんとなくですが、またレッスンでお会いしましょう!とか、私のレッスンとってね!みたいなフレーズはこの方には合わない気がしたので、ほとんど具体的な営業フレーズは使いませんでした。今日はありがとう、のあと、またね、とは言いましたが、決めるのは学習者さんだしな、と執着のない態度を取り続けたように思います。というよりもこれが私の性格なので、いつも意図せずそうしています。
 学習者さんは、学習計画がそれなりに具体的(に見えるというのもあるかも)に提示されたことに、まず満足してくださったようです。また、話しやすい雰囲気だった、とも感じてくださったらしいです(後で聞いた)。レッスンが終わってすぐに、おめでとう、あなたの生徒がレッスンを買いました、みたいなメッセージが来た時も、え?あれでよかったのか?の気持ちは残っていた、というくらい、私は自分を客観視できるほどの余裕がありませんでした。

 実はこのあと、3ヶ月くらい経過するまで、体験レッスンの後で実際にレッスンをとってくださる方が続きました。初期の頃に、転換(conversion)率100%の状況が続いたのは、完全なるビギナーズラックだったと思いますが、私なりに今でも体験レッスンでの振る舞いは日々改善し続けているつもりですので、もしも始めたばかりで不安な方や、他の方法を模索している方がいらっしゃればご参考になるかも、と思い、これも別に記事にするつもりです。

6: まとめ

 つらつらと書きます、と言って本当につらつら書いてしまいました。
ご参考になればと言いながらも、レッスン内容や私の準備について、理論的・包括的なご紹介ができていないことを反省しています。今後、私がオンラインで教え始めた時に知りたかったことや、他の人たちはどうしているんだろう?という疑問に答えられる情報をご提供できたらと思います。
  経験のある方と異なり、私のような未経験スタートで、尚且つ養成講座を受けていない場合は、同業者の方との横のつながりがありません。他の人がどうしているのか、という情報がほとんどないし、レッスンの中身となればプライバシーにも関わりますから公開することも難しく、ほとんどブラックボックス状態です。
 私は今も引き続き手探りしていますし、これはずっとそうなのだと思いますが、最初のとっかかり、がスムーズならもっと他のことに時間をかけられたなと思うことや、心配しなくていいことを心配したな、という思いがあるので、これを書いています。
 手の内というほどのものはありませんし、自分の知っている情報は減るものでもありませんから、お役に立てそうなことは共有できたらなと思っています。
 今後は次のような内容を書いていこうと思っています。
 ・利用している無料/課金ツールについて
 ・利用しているデバイス
 ・学習目標のテンプレートなどの紹介
 ・レッスンのおおまかな進め方
 ・レッスンで気をつけていること
 ・レベル別レッスンの内容
 ・困った経験について
 
 いつになっても初めて会う学習者さんは緊張しますし、体験レッスンで相手との関係性を常に手探りしていることは変わりありません。
 この初トライアルから約2年が経過しました。この時の日本に住むのが夢だと話してくれた方は、なんと今、本当に日本に住んでいます。
 今後も自分の反省もかねて振り返りつつ、私の体験をお話ししていきたいと思います。最後まで読んでくださって、ありがとうございます。もしご興味があれば、また見に来ていただけると嬉しいです。そして、ご経験を積んでいらっしゃる諸先輩方におかれましては、どうか温かい目で素人を見守ってくださると幸いです。

 それでは、また🫡


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