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捏造報道の傾向と対策

自分の体験と類似の事例をもとに、捏造報道が起こるパターンを抽出してみました。

それぞれの段階で取り得る対策も考えてみた。取材を受けないのが一番だけど、受けるなら万全の体制で臨みましょう。何でもかんでも記録にとりましょう。あと、不明点はしつこく聞いて、面倒くさい人だと思われるのが吉。舐められたらとことん利用されますよ。

1.接触

何かしらの活動をしてると、マスコミが寄ってきます。SNSとかブログを見て、メッセージを送ってくる。最近の業界人はTwitterをよくチェックしてるみたいで、DMで連絡来ることも多いようです。

【対策】
担当者や番組の評判をネットでチェックする。Twitterや5ちゃんねるも有効。玉石混交だが率直な意見もあるので。公式に出てる情報はキレイごとですから。/マスコミに詳しい人や取材を受けた経験がある人が身近にいれば、話を聞くとよい。身近にいなくてもSNS経由で呼びかけて情報集めることも可能。/なるべく多くの情報を相手から得ること。番組の趣旨や企画内容、今後の展開、担当者が過去に携わった仕事についてなど。/ファーストコンタクトはTwitterのDMやスマホのSMSだったりするが、早めにEメールに切り替えるべし。電話もそうだけど、細かい部分で食い違いが生じるおそれがあるし、後でトラブったときに証拠として弱い面も。内規でEメールが許可制だとしても、上司に許可をとってもらえばいいだけ。/信頼できる人に、マスコミからのアプローチがあったことを話しておきましょう。以後トラブった時に助力をあおぎやすくなる。/報酬のことを聞いて、反応を見るとよい。取材協力費を出すところもあれば、粗品ですませるところもあり。お金の話をきちんとできる=信頼できる相手と見なすことができる。無条件に無償で協力してくれる人だと思われると、軽んじられるしね。

2.懐柔 

困難な課題に取り組んでいる人、深刻な問題を抱えている人、今まで不遇だった人にすり寄ってきます。
最初のうちは、愛想がよくて物わかりが良さそうな感じ。取材や番組出演をOKしてもらうまでは、猫なで声でヨイショしてみたり。いつわりの同情を示す、理解があるふりをするなどして、当事者を懐柔しようと試みます。
「今まで世間に顧みられなかった問題を取り上げてもらえる、やっと光が当たる」と、当事者をぬか喜びさせる。世のため人のためになりたいという貢献意識を利用するんですよ。

【対策】
直接会って話をする前に、相手に質問することをまとめておく。/取材のテーマについてお互いの認識に齟齬がないか、事前に確認をとっておく。/話をしながら、担当者の経験や知識、見識をはかる。/口頭で伝えられる情報は曖昧で、証拠能力が低い。直接会って話す時に記録を残すべし。メモをとるのもいいが、できれば録音する。/相手をよく観察する。何らかの違和感があれば、それがどこから来るのかよく考える/誉め言葉、美辞麗句、決まり文句に要注意。それらはみな本心を隠すために発せられる言葉です。/その場でOKせず、持ち帰ってよく考える。複数の人に相談する。答えを出すまで時間をかけて!/担当者が信頼できる相手かどうか、見極める。少しでもおかしな点があったら、断ること。

3.撮影・取材

取材と番組出演にOKが出たら、当事者を油断させて、根掘り葉掘り聞き出そうとします。人が知られたくないことを探って暴くのが、彼らの仕事。取材者の態度がここらへんで変化していく。取材・出演のOKが出ると図々しくなる傾向があり。
インタビュ―も、当事者の話をありのまま聞こうとはせず、誘導尋問に近いことをする。(自分の欲しい答えを得るまでしつこく質問を続ける/当事者の意図とは違う質問や、当初聞いていた取材の趣旨とはズレた質問をする、など)。

【対策】
プライバシーを守ること。ロケは生活圏外で(取材班が出入りするのを近所の人に見られると、あらぬ疑いをかけられるかも)。顔出しは慎重に。/単独で取材を受けない。第三者の立ち合いを。/事前に取材内容を聞いておく。インタビューの質問も事前入手できればなおよい。/「ここまではOKだがここからはNG」という線引きを明確に。/担当者の態度が失礼だったら途中で席を立つ、くらいの覚悟で臨む/取材にかける時間はこちらで決める。そうしないと長時間にわたり拘束されてしまう。/インタビュー受ける様子を自分で録音・録画しておく。 牽制にも証拠にもなる。/取材で提供した情報の使途を詳しく聞く。当該番組以外にも使われるのなら、その予定を聞く。予定が未定ならいつ決まるか聞く。決まったら必ず知らせるように念を押す。※しつこく聞くに越したことはありません。

4. 編集作業

取材をするだけして、あとはさよなら。アフターフォローは貧弱。取材終了後に連絡が途絶えることも。
編集期間中も、限られた情報しか当事者に明かそうとしない。
どのような編集がされているのか? 最終的にどのような番組になるのか? 自分が番組でどのように取り上げられるのか? といったことを当事者が聞いても、はかばかしい答えが得られない。
重要事項や、特別な配慮が必要な情報、個人情報については、放送前に確認すべきだが、それすら怠る担当者も多いと聞く。

【対策】
番組の放送時間とその内容について再度確認しておく。自分の出演部分は番組内の何時何分から何分間あるのか?どういう話の流れで取り上げられるのか?他に出演者はいるのか?など。/番組の趣旨とかタイトルも改めて確認する。以前に知らされていたものとは異なっている場合がある。直前で変更することも多いので。/番組制作の現場はかなり流動的みたいで、直前にならないとわからないことも多い。だけどそれはあちらの都合なので、遠慮しないこと。納得いくまで説明を求め、不安が残るようなら放送を差し止めてもらう。まだ引き返せます。

5.番組の放送と「素材の使いまわし」

わりと直前まで放送日時がはっきりしないこともある。最近はテレビ番組の見逃し配信とかで、放送後、一定期間アーカイブが配信される。
他のメディアへの展開について、事前に知らされないことがあるのは問題だと思う。気づかぬうちにウェブ記事になっていることも多い。本人の了承を得ずに写真使ったりして、いいのかな?
放送内容に虚偽があった場合、早めに気づいて阻止しないと、取材時に得た「素材」つまり、映像・画像・音声と個人情報が、他の媒体や番組で使いまわされる。

【対策】
放送当日に番組を観て、確認すること。友人・知人にも観てもらうとよい。/録画しておく。/おかしな点があったらすぐ担当者に連絡する。/放送内容の誤りを指摘し、見逃し配信の差し止めやウェブ記事の削除も必要に応じて要求/「素材」の使いまわしをしないよう、言質を取る(書面で)

6.抗議と交渉

当事者が捏造報道に気づいて抗議しても、担当者はしらを切ろうとする。担当者不在だと言われたり、本当に担当者が退社してたりすることも。大半の人はこの段階であきらめる。
しつこく食い下がる当事者には、「丁寧な説明」をするといってやたらと直接会いたがるので注意。会えば会ったで、わけわからん言い訳で丸め込もうとする。現場レベルの人間と話しても、らちがあきません。時間の無駄。

【対策】
引き延ばし作戦に応じない。断固として素早く動く。/対面にも電話にも応じない。話し言葉は曖昧さがあるので齟齬が生まれやすいし、証拠として後に残らないので。/交渉はEメール等を使い、文章をやり取りする形式で。/書面で要求を出し、期限を切って回答を求める。/BPOなどの第三者機関への申立てや、弁護士への相談、民事or刑事訴訟などを視野に入れておく。/信頼できる人に協力を仰ぐ。普段親しくしている人がこういう時に役に立つとは限らない。「弱いつながり」を大切に。/担当者は自分だけで抱え込んでもみ消そうとする。だから、上司をひっぱり出さないと意味がない。なるべく職位が上の人がいいのは言うまでもない。権限がある人でないと、要求をのんで動くこともできないし。/暇を見つけて、報道被害について類似の事例を調べておく。BPOのサイトや関連書籍などが参考になります。



被害を受けた後の対策については以前に書いたけど↓、これにも手を入れてもっと詳しくする予定です。参考書籍のリストも作成中。


ここまでガチガチに自衛しても、リスクはある。テレビ番組は映像を伴うのでインパクト強いし、多くの人に影響を及ぼすことができるから、誤った内容を報じられたらとんでもないことになるんです。

そういうリスクを冒しても出演する意義があるというのなら、テレビに出ればいいけど、人権や名誉と引き換えにしてもいいほどのメリットって、そんなにはないと思います。

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