見出し画像

エッセイ『リッグスは何と言ったか』

 趣味は新聞一面のコラムを読むことです。
 昨日の毎日新聞『余録』によると、1973年、当時の女子のトップ選手ビリー・ジーン・キングさんが元男子ランキング1位のボビー・リッグスさんの挑戦を受け、男女対抗試合が開かれたそうです。

 キングさんは四大大会でシングルス優勝12回という圧倒的成績を残しましたが、どれだけ勝っても賞金金額は男子に比べ格安。72年な全米オープン優勝金額は男子の4割しかなかったらしい。キングさんは「男女同額でない限り大会をボイコットする」と訴え、格差解消運動を展開しました。
 いっぽう、キングさんの25歳年長のリッグスさんは自称「男尊女卑主義者」。女性選手について「寝室と台所にいるべき」「プレッシャーに弱いから、(当時55歳の)私でも勝てる」など言いたい放題でした。

 そんなキングさんとリッグスさんの対戦は「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」と呼ばれ、3万人を超える観客を集めました。結果はキングさんのストレート勝ち。後にキングさんは「自分のためではなく、世界の女性のために勝つと決意していました」と話していたそうです。

 後年、リッグスさんはその生涯を閉じる直前、電話口のキングさんにささやきました。ここまでほとんど『余録』からの引用なんですが、ここまでを読んだ私は、リッグスさんがキングさんに最後、何を言ったのだろうか、きっと何か謝罪の言葉を述べたんだろうな、どんな言葉だったんだろうな、と思って読んでいたら、
リッグスさんが言ったのは「私たちは社会を変えたね」。

 いやいや、確かにあなた一緒に試合はしたけど、この場合、社会を変えたのはキングさんであり、リッグスさんはキングさんに変えさせられた側じゃないの?何二人の手柄にしちゃってるの?無論、『余録』の字数では書けない二人の物語があったのかもしれませんけど、これだけ読んだら「なんでやねん」でしかなかったです。

蠱惑暇(こわくいとま)

#note日記 #日記 #コラム #エッセイ
#蠱惑暇 #800字エッセイ #毎日更新
#毎日新聞 #余録 #テニス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?