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ら抜き言葉よりも

「特筆すべきは、投球以上に輝いた打撃センスの良さだ。4回に才木浩人の142キロをライナーで左前に運ぶと、5回にも左前安打で追加点のお膳立て。西武時代の2006年6月9日・阪神戦で放った2ラン以来の安打は、プロ20年目で初めて記録したマルチ安打でもあった。」

これは引退した松坂大輔のことを書いた少し前のネット記事の一部です。この文章で気になるのが、「西武時代の2006年6月9日・阪神戦で放った2ラン以来の安打は、プロ20年目で初めて記録したマルチ安打でもあった。」のところ。

マルチ安打というのは複数安打のことです。1試合に2安打以上記録すれば「マルチ安打」となります。この日、松坂は2本ヒットを打っているのでマルチ安打であることは間違いありませんが、しかし、それはこの試合が終了した段階の話であり、1本目のヒットを打った段階ではまだ「マルチ安打」を記録したことにはならないのであるから、「西武時代の2006年6月9日・阪神戦で放った2ラン以来の安打」が「マルチ安打」になるはずがないのです。言いたいことはわかるのですが、明らかに間違いです。

「特筆すべきは、投球以上に輝いた打撃センスの良さだ。4回には才木浩人の142キロをライナーで左前に運んだ。これは西武時代の2006年6月9日・阪神戦で放った2ラン以来の安打である。さらに5回にも左前安打で追加点のお膳立て。プロ20年目で初めてマルチ安打を記録した。」としなければおかしい。(いや、他にもおそらくもっとわかりやすい書き方はあるんだろうけど)

文字数を少なくしようとしておかしな文章になったのかもしれませんが、元記事の文字数が128字であるのに対して私が直したものは133文字ですから、たった5文字しか変わりません。私が直したものにさらに修正を加えて同じ128字にしてみました。

「特筆すべきは、投球以上に輝いた打撃センスの良さ。4回には才木浩人の142キロをライナーで左前に運んだ。これは西武時代の2006年6月9日・阪神戦で放った2ラン以来の安打である。5回にも左前安打で追加点のお膳立て。プロ20年目で初のマルチ安打を記録した。」

実に簡単に修正できたので、この程度の文字数を稼ぐためにおかしな文章を書いたとは思えません。それならばどうしてこんなにおかしな文章になってしまったのでしょうか。私は近頃よく問題にされる「ら抜き言葉」なんかよりも、よほどこういう誤りのほうが問題があると思うのですが。

#令和3年11月7日  #コラム #日記 #エッセイ
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