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酒とバラの日々

ラジオのディレクターって何をしているのですか?と聞かれると、はてさて、私はいったい何をしているのであろうか、と悩んでしまうわけなのですが。実際問題、喋り手たるDJさんがいなければラジオディレクターも存在しないわけでして、なかにはディレクターを兼務するDJさんもおられますから、かといって、そうならないためにディレクターという存在を殊更に主張して主張して「あの番組、俺の仕事のおかげでおもろなってる」なんていう人の担当番組がその人のおかげで面白かったためしがない。しかし、そんな立場を逆手にとって?何から何までDJさん任せにしてしまううえに何か問題が起きても責任を取らないっていうこともなきにしもあらず。存在は当たり前だけれども無いと途端に困るから、ああ、やっぱりあの人は居ないとあかんのやね。ってくらいが望ましい。知らんけど。

さて。
そんな何をやってるかわからないラジオディレクターでありますが、わかりやすいところでいいますと「選曲」をしていることは多いと思います。これもDJさんがやっている場合は多いですし、リスナーの方も割とDJさんが選曲していると思っておられる気はする。レッド・ツェッペリンが好きなディレクターと一緒に番組をしているDJさんが、ある日リスナーの方に会った際、「◯◯さんって以外にハードロックとかお好きなんですね」と言われた、なんていう話も聞きます。

その選曲では、やはりDJさんのお話の内容にちなんだ曲を流したかったりするわけなのですが、無知ゆえに恥ずかしいことをやってしまうこともあります。例えば「二十四節気も大暑、本格的な夏ですね」みたいな話のあとに「indian summer」って曲をかけてしまったり。「indian summer」ってのは日本でいう「小春日和」のことなんですよね。summerだから夏の話のあとにちょーどええやろ?っていう落とし穴。たぶん、ちょっと調べたらわかることなんですけどね。

日本酒のお話をしたあとに「酒とバラの日々」をかけたかったりもするのですが、この「酒」は「ワイン」なんですよね。「The days of wine and roses」ですからね。でも今日、バラと日本酒並べてみたら、なんか、すごい様になってたから、原題はワインかもしれんけど、日本酒も悪くはないな、って思ったりもしたんです。

結局、自分自身の匙加減と聴いておられる方々の匙加減がズレすぎていないか?っていうところでして。アースウインド&ファイアの「SEPTEMBER」は12月に9月のことを思い出してるんだから9月にかけるのはおかしいってよくご意見をいただくのですが、これに関しては、「それはごもっともやけど、この曲はもう9月でええやん」っていう空気ができあがってる気がします。「やばい」を良い意味で使うのが許容されていることに近いかもしれません。

もし「SEPTEMBER」を9月にかけるのがおかしいのならば稲垣潤一の「クリスマスキャロルの頃には」はクリスマスキャロルが流れる頃にはどういう君と僕に雪が降るのかって歌っているんだから、クリスマス以外のシーズンにかけなきゃいけないってことになりますが、まさかお盆や正月にかけないでしょう。

あと、やはり個人的にやってしまいがちなのは「ダジャレ選曲」ですよね。腰痛の話のあとにU2かけるとか、そういうやつ。面白いんですけど、これもTPOってのがあると思っていまして、例えば以前、祇園祭の山鉾巡行の話題のあとに長渕剛の「順子」がかかったのを聴いたことがあります。「巡行」と「順子」をかけているわけですが、伝統的行事に対する畏敬が全くなくて、人によっては不愉快極まるのではないかと思います。小手先の「おもろい」を求めてもよい場面といけない場面というのが絶対にあるわけで、そこをしっかり見極める、というのもディレクターの仕事といえるかもしれませんが、総じて言えるのは、やはりディレクターなんて、何をしてるかって別に何もしてないわけで、いつも関係各位、仲間の皆さまに支えられながら、仕事をしているフリをしながら生きながらえております。私は。

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