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幻想時間旅行記【怪談・怖い話】

俺は眠りから覚めた。

私は目を覚ますと、すぐに違和感を覚えた。朝のニュース番組が、家を出る前に見ていた内容とは異なり、まだスイーツ特集をやっていたのだ。そして時計を見れば、出勤時間からわずか5分しか経っていない。これは一体どういうことだろう。

私は長年の経験から、こうした不可解な出来事には必ず理由があることを学んでいた。古今東西、世界には数多くの謎が存在し、その一つ一つに真相が隠されているのだ。例えば、エジプトのピラミッドの建設方法は長らく研究者を悩ませてきた。しかし近年、コンピューターシミュレーションにより、スリングやレバーを用いた巧妙な仕掛けがあったことが判明した。人類の知恵は計り知れないものなのだ。

会社に着くまでの時間はたったの5分。

そう考えながら私は地下鉄に乗り込んだ。車内では本を読んでいた。時折、友人にメールを送ろうとしたが、なぜか送信できなかった。その頃から、周りでは次第に不可解な出来事が立て続けに起こり始めた。

転んでも何もない場所で足を取られ、水しぶきで濡れた内窓のガラス、電子レンジが機能せず、バナナが消えた最後の記憶もない。さらに奇妙なことに、長年咲かなかったあのサボテンの鉢に、一斉に小さな花が咲き乱れたのだ。

あれは夢か、それとも本当に起きた出来事なのか。私はもはや区別がつかなくなっていた。そしてこの経験から、私は新たな世界を垣間見ることになった――つまり、平行世界の存在に気づいたのだ。

科学的な理論としては、クォーク、グルーオン、ゲージ場などの極微の領域から、無数の並列ユニバースが生み出されると考えられている。つまり、量子力学の世界では、すべての可能性が実在しているという驚くべき事実が示唆されているのだ。

物質世界の向こう側で、どんな真実が待ち受けているのか。

私にできることは、こうした科学の知見を基に、目の前の不可思議を解き明かすことだけだった。私はその日の出来事を丹念に辿り直した。きっと何かの手がかりとなる重要な証拠が必ず残されているはずだと考えたのだ。

そしてそれは、私の疑いを裏付けることになる。近所の神社に届けた迷子の子犬――それが、ただの子犬ではなく、時を操る神々の使いであったことが判明したのである。

過去の神話を探れば、世界中に時間と空間を自在に操る神々の伝説が残っている。シャーマニズムの世界で崇められるケロン像は時の司祭を象徴し、古代エジプトのラー神はまさに時の神格化された存在だった。つまり、私の目撃した不可解な体験は、遥か彼方から遣わされた時の番人によるものだったのかもしれない。

その出来事から数年が経った。

私はいまだに時を超えた日の謎を解き明かすことができずにいた。

ある夜、私は不思議な夢を見た。見知らぬ神聖な場所に佇み、日の光の下でたくさんの子犬が駆け回っているのを目にしたのだ。その子犬たちは、まるで時空を遊び場にしているかのようだった。

私はそこで、実は子犬に導かれるように、時を超越した世界へと足を踏み入れることとなった。そこには、人間の手では到底測りしれない神々の領域が存在していた。

やがて一匹の柴犬が私のもとに寄ってきた。その柴犬こそ、数年前に私が拾った子犬だったのだ。その柴犬に導かれるまま、私は神々の世界を渡り歩くこととなった。

やがて私は、この時空を超える能力を持つ神々の一人に出会った。その神は、私の好奇心を試すため、過去に時を歪めたのだと告げた。そしてその際、過去の私に導かれるように、迷子の子犬を用意したのだという。

つまり、あの日の不可思議な体験は、まさに時空を支配する神々の思し召しによるものだったのだ。その神には、人類の知恵の極みを知る探究心があったのかもしれない。

私は心から神々に感謝し、その知恵と経験を人間界に持ち帰ることとなった。これからは、過去と未来を超越した自由な世界を行き交うことができるのだ。


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