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三つの目の墓標【怪談・怖い話】

友人から聞いた高校の生物を担当していた先生の話。

先生は某国立大学の出身で、その大学は山の中にあって、昔は軍の基地として使われていたらしい。今も地下通路が残っている。
その大学には「校内に三つの墓標があり、三つ目の墓標を見た者は死ぬ」という噂があった。先生が新入生の頃、友達とその噂の三つの墓標を探すことにした。

一つ目の墓標は増設工事中に作業用の足場から落ちて亡くなった人の場所。二つ目は地下通路を探検して酸欠で亡くなった人の場所。この二つは有名で、すぐに見つかった。しかし、噂の三つ目の墓標は見つからなかった。

時が過ぎ、その年の年末。先生は教授の助手をしており、噂のことはすっかり忘れていた。ある日、教授から「年末だし、部屋の大掃除をしろ」と電話が入った。もう一人の助手は実家に帰省しており、先生一人で掃除に取り掛かった。

掃除も終盤、本棚を動かすと、隠しドアが現れた。ノブを回すと、鍵はかかっていない。驚きながらも納得した。教授と助手の部屋が隣同士でつながっているからだ。しかし、このドアは立ち入り禁止の部屋とつながっていた。

先生は「何かをやらかして追放された教授がいた」という噂を思い出し、好奇心からその部屋を探索することにした。中は真っ暗で、懐中電灯を持ち込んだ。部屋にはダンボールが山積みされており、開けてみると薬品の臭いが漂うフィルムケースが入っていた。ホルマリンの臭いがしたため、すぐに蓋を閉めた。

次に先生が向かったのは隣の部屋。こちらも立ち入り禁止だったが、鍵はかかっていなかった。中はまたしてもダンボールが山積みされており、特に目新しいものはなかった。

がっかりしながら出入り口を見たとき、ドアの足元に何かがあった。

それは三つ目の墓標だった。
よく見ると石碑には「水子供養」と書かれていた。寒気がし、ダンボールの中身を再度確認すると、お札が大量に貼られていることに気づいた。先生は叫び声を上げて部屋を飛び出した。

後日、先生が友達にこの話をしたところ、その部屋の教授が過去に赤ん坊を使った違法な遺伝子研究をしていたため、追放されたという話を聞いた。



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