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須磨海岸の怪異【怪談・怖い話】

三日前のことです。日曜日、徳井さんと吉岡さんと僕の三人で須磨海岸へ行くことにしました。家からそんなに遠くないので、自転車で向かいました。海岸の方に降りる道をバス停の近くで下っていると、四人の暴走族がバイクを止めていました。避けると因縁をつけられそうだったので、僕たちは関心のないふりをして、「昨日のあのゲームさ」とわざと会話しながら通り過ぎようとしました。

ところが、僕の自転車の後ろの部分が彼らのバイクの部品に擦れてしまいました。「やばいな」と思ったのですが、気づかれていないかと思ってそのまま行こうとしました。しかし、「おいおい、待てや!お前、人のバイクに何しとんねん、黙って行くんかい!」と囲まれてしまいました。

ヤンキーの一人が僕と肩を組み、「まあ、お前は逆に根性があるわ!俺らなんか怖くないんやろ!」と言いました。僕は「いや、怖いっすよー、兄さん、めっちゃ強そうですし、怖くてびびってるんですよ」とお世辞を言いました。すると、いきなり一人がバイクに乗り、徳井さんの腕を掴んで、「おい、自転車速くしたるで」と言いながら走り出しました。

徳井さんは「勘弁してください、僕関係ないやないですか」と叫びましたが、バイクは猛烈なスピードで走り出し、徳井さんの自転車も引っ張られて速く走り始めました。やがて徳井さんは自転車から落ち、道路の真ん中の段差に足をぶつけ、右足の指が全部めちゃめちゃになってしまいました。

「痛いーいたいー、俺は関係ないのに、痛い」と徳井さんは泣いていましたが、ヤンキーたちは「バックトゥザフューチャーみたいやった」と死ぬほど笑っていました。僕はヤンキーの機嫌を取るために、「うわー、兄さんらスタントマンみたいな遊びですやん、バイクあるとこんなんできんねんなー、俺も免許欲しいっすわ、バイクって気持ちいいですか?」と必死で訳のわからないことを言いました。ヤンキーはニヤニヤしながら、「次あいつな」と言って、吉岡さんを捕まえました。

その瞬間、僕は背中を蹴られ、転びました。「お前さっきから調子乗ってんちゃうか!」とヤンキーが僕を倒し、柔道の技をかけました。「いたいー」僕は泣きながら石を取ったものの、すぐに放しました。「須磨のワールドカップ開催や」と言いながら、ヤンキーは僕の頭を蹴りました。

吉岡さんは鉄柱に頭をぶつけられ、抵抗もせず泣いていました。徳井さんは足を押さえて動けない。ヤンキーたちは「こいつら、根性ないのー」と言いながら爆笑し、僕を蹴り続けました。その時、一台の車が走ってきて止まりました。

車から降りてきた男は30歳くらいで、ヤンキーたちは「○○さん、こんばんわ!」と挨拶しました。「おうおう、須磨海岸の王様、○○兄さんのお出ましや」と大きな声で言いながら、倒れていた徳井さんを本気で蹴りました。「いたいーいたいー」と徳井さんはすごい悲鳴を上げました。

「僕、どうしたん?道路で寝てるの?ひき殺して欲しいの?」と○○は徳井さんを踏みました。すると徳井さんはいきなり、ビクッとして黙って動かなくなりました。「おいおい、こいつ、死んだで!」○○は車に戻りながら、「お前ら、殺人やで~かなんの~」と言いながら走っていきました。

ヤンキーたちは徳井さんの方に行き、「うわっ」と言いながら、皆バイクに乗って去って行きました。僕はとにかく顔が痛くて、しばらく横になっていました。吉岡さんは草むらでしゃがんだままで、徳井さんは道路で動かないまま。しかし、そのまま10分ほど過ぎました。

暗い中で僕らはそのままでいましたが、だんだん怖くなってきて、「おい、徳井さん!」と呼びかけました。徳井さんは動きません。その時、海岸の方からゴツッという音が聞こえてきました。何だろうと思う暇もなく、
「アンーーーミョーーージーーー」という感じのお経みたいなのが聞こえてきて、暗い中を全身緑の子供が走ってきました。僕はめちゃくちゃ怖くなって目を閉じました。本当に怖かった。めっちゃ小さい全身緑の子供が走ってきたんです。そしたらめちゃくちゃ大きな声で
「ジョーーーーーミーーーーーシンーーーーーー」と叫び、吉岡さんが泣き出しました。怖くて目を開けると、道路の向こう側の電灯の下に人間がいっぱいいました。顔は宇宙人の顔のようでした。

宇宙人みたいなのが皆で「アーーーアーーーーアーーー!」と叫び出し、わーーーっと徳井さんの所に走り出しました。宇宙人たちはみんな泣き出しました。僕は怖くなって自転車に乗って逃げました。後で吉岡さんから携帯で電話がかかってきて、二人で公園坂の前のファミマで会いました。

次の日、結局徳井さんは亡くなりました。しかし、宇宙人が「ゆうきーーーーーー!」と泣いている声が怖かったです。徳井さんは徳井裕樹という名前なんですが、名前を知っているのがとても怖かった。あれは一体何だったんでしょうか。


後日談のようなものもいくつかありましたが、やはり現実とは思えない奇妙な出来事でした。警察にも話しましたが、通じたのかどうか…。夜になると、あの時の光景が思い出されて怖くなります。窓という窓を新聞で塞ぎ、家から海岸が見えないようにしていますが、それでも気が気でありません。皆さんはどう思いますか?



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