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夢の現実化【怪談・怖い話】

村田さん(仮名)が体験した奇妙な出来事。

彼自身も非常に恐怖を覚えたという。彼が語るその恐怖の体験は、2011年の8月のはじめにさかのぼる。

その夜、村田さんは寝苦しい暑さの中、なかなか寝付けずにいた。しかし、目を閉じているうちに、いつの間にか眠りに落ちていた。夢の中で彼は、家から車で五分程度のところにある古い霊園にいた。

子供の頃からその周辺の地理には馴染みがあったが、夢の中で彼はその霊園の中で墓石を触ったり、墓の上に乗ったりしていた。
突然、どこからか「ひょんえーい、ひょんえーい」という声が聞こえてきた。
初めは小さな声だったが、次第に大きくなっていく。後ろから大きな「ひょんえぇぇぇぇい!!」という声が聞こえ、村田さんは振り向いた。

そこには髪がボサボサに伸びた老婆の生首が浮かんでいた。顔はしわくちゃでモノクルをつけ、顔色は灰色で不気味だった。その生首はフッと消えたかと思うと、次の瞬間には鼻先に迫っていた。

村田さんは夢の中で金縛りに遭い、老婆の口がニタァとゆるむと、
「ひょんええええええええええええええええええい!!!!!」
村田さんはその瞬間に目が覚め、汗びっしょりだった。

しかし、恐怖はそれだけでは終わらなかった。

盆が近づき、例の霊園のそばでお祭りが開かれた。
村田さんも家族と一緒に祭りに出かけ、一通り楽しんだ後、涼しみがてら霊園へ向かうことにした。霊園は夜の闇に包まれ、不気味な静けさが漂っていた。風が木々を揺らし、ザワザワと音を立てていた。

ふと、夢のことを思い出し、脳内であの「ひょんえー!」の声がリピートされ始めた。洒落にならないと思い、恐怖が増してきた村田さんは、元来た方向へ戻ろうとした。

その瞬間、耳元で大きく
「ひょんええええええええええええええええええええええええいぃぃぃ!!!!!」
確実に耳から入ってきたその声に、村田さんは全身に電気が走ったような感覚を覚え、鳥肌が立った。大声をあげて猛スピードで会場まで全力疾走し、心臓はバックバクと音を立てていた。

夢の恐怖が現実にまで干渉してくるとは思わなかった村田さんは、その後、霊園の近くを通ることを避けるようになった。

あれは夢ではなく、現実の出来事だったと確信しているという。その恐怖の体験は、今でも彼の心に深く刻まれている。


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