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夢の跫音【怪談・怖い話】

少年と湖の夢
九州の片田舎。友達のいない少年ミノルは、ゲームボーイを片手に毎日ひとりで公園に遊びに出かけていた。ある夜、パジャマ姿のミノルは不思議な夢を見た。

灰色の空に覆われた静かな街並み。ボーッと歩き出したミノルの足は、公園への階段を自然と降りていく。するとそこは湖沼に変わり、透き通った水が足首まで広がっていた。湖面には色とりどりの魚が泳ぎ、景色がゆっくりと切り替わる。夢からさめたミノルは、叔母に「この公園は昔、湖だったのですか?」と尋ねた。

叔母の言葉で、この地で祖先が目にした風景の一端が明らかとなった。しかし、それはミノルの探求心をかきたてるきっかけにすぎなかった。

夢の中の湖は何を意味するのか。ミノルは地元の図書館で古文書を読み漁る。やがて、祖先の時代には豊かな湧水により湖沼が存在し、祭事の舞台となっていた事実を発見する。しかし、時代の変遷とともに埋め立てが進み、湖は姿を消した。

ミノルはその風景の最期を目撃した人物が残していた日記を手に入れる。そこには湖の畔に根付く不思議な民俗の記述があった。生類をも惹きつける神秘的な力を持つと言われた湖は、かつての人々に大切に守られてきた。ミノルは、夢に導かれるがままに湖の痕跡を辿り始める。

彼の探求心は次第に燃え上がっていく。そして、ついに湖が埋め立てられた地下で、不思議な現象に遭遇する。人々の目から久しく遮られた湖の記憶が、今なお生き続けていたのだ。


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