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論理的思考の限界

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は

論理的思考

について書いていきたいと思います。

論理的思考は理学療法以前に

この社会で生きていく上で重要なのは

間違いありません。

ただこの論理的思考に関して

私が思っていることを私なりに

書かせていただきますので

よろしくお願いいたします。

それでは始めます。



症例1:ラテラルスラスト

症例を挙げていろいろ説明していこうと思います。

例えば

変形性膝関節症の方で

ラテラルスラストが著名な歩容な場合。

急激な外部内反モーメントを制御するために

ほとんどの患者において

腸脛靱帯や外側広筋、大腿筋膜張筋といった

外側にある筋群が硬くなる傾向にあります。

ではこの外側の筋群の硬さをとっていかなければなりません。

過度な筋緊張の持続はコンパートメント症候群につながる可能性があるためです。

しかし本当に緩めていいのでしょうか?

答えはNOです。

なぜならそれらの筋群は

役割を果たすために硬くなっているからです。

前述した通り、外側の筋群は

膝の過度な内反モーメントを制動してくれます。

ですから硬いことは悪いことではないのです。

むしろマッサージやストレッチをして

柔らかくするとさらに内反モーメントが過大し

膝の痛みが増える可能性があります。

ですから安易に硬い筋群を柔らかくしてはいけないのです。





というのがテンプレですね。

まとめると


①大腿筋膜が覆っている筋群が異常に硬い
         ↓
②歩容の確認をすると過度なラテラルスラストがらある
         ↓
③過度な筋緊張はコンパートメント症候群を引き起こす可能性があるため、取り除く必要がある
         ↓
④しかし外側の筋群はラテラルスラストによる過度な内反モーメントを制御するために働いているため、必要な役割である
         ↓
⑤結果、外側の筋群は緩めるべきではない


という形になると思います。

少なからず論理の破綻はあまりないとは思います。

ですが皆さん

この結論は合っているのでしょうか?

臨床をやっていればわかるとは思いますが

外側の筋群を緩めて

みんな悪い結果に結びつきますか?

そんなことないですよね。

緩めることで良くなる人はたくさんいます。

こういうとROMの改善だけではと言われますが

歩容が良くなる人も余裕でいます。

論理的に考えてたどり着いた結論が

正解とは限らないと言うことですね。




論理的思考の謎

まず論理的思考とはなんなのでしょうか。

道田氏は論理的思考を

「まっすぐな一歩道でつながっていること」

と表現しています。

つまり真っ直ぐではないものは論理的と言えない。

複数の理由に支えられてある主張がなされている時

一個一個の理由は関連性があるのに

理由の中に結論に向いていないものがある。

このようなケースは

結論と整合的な部分ではない部分を含んでいると言う意味で

非論理的と判断されるわけです。

真っ直ぐな一本道にこだわるということは

分かれ道がないので

結論が一つに至ると言うことになります。

ですがそれゆえに論理的思考というのは

非常に不自然です。

ズレてはいけない飛んではいけない

曲がりくねってはいけない分かれ道があってはいけない。

日常においてはこんなことはなかなか考えません。

私が研究をした人しか論理的思考になれないと思うのは

こういった背景が理由です。

論理的思考は非日常的で不自然なのです。



しかし人体というのはこれに当てはまるのでしょうか。

治療の選択肢なんて腐るほどありますよね。

セラピストそれぞれで考え方は違いますし

なんなら解釈違いでリハビリをしても結果が出たり、

根拠や論理で固めたようなリハビリを実施して

全く結果が出ない場合とたくさんあります。

ここまでの多様性のある結果を

私たちは目にしているわけです。


このようなことから

私が思うのは

人体に論理的思考は通じないという事実です。

整合性のあるプログラムを実施しても

むしろ結果として悪くなることなんて

たくさんあります。

というかそれこそ人間なのです。

論理的思考に基づくと

人間に論理的思考は通じないという

結論になるはずです。



事実ベースで考える

私が臨床で心掛けているのは

臨床推論をできるだけ事実で考えることです。

プログラムも何を指標にしてもいいので

良好な効果が確認できれば継続し

悪い効果が確認できれば実施を控えればいい。

学問をもとにした考えは非常に重要ではありますが

人体の複雑性を目の前にしたら

その学問はとてつもなく非力です。

EBMをエビデンスにこだわっているという

誤解を招いている人もいますが

EBMの段階にはしっかり

検証作業というのが入っているはずです。

事実を確認するための検証作業を

必ず行っていくべきだと私は考えます。


本日はこれで以上です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。


参考文献
道田 泰司:論理的思考とは何か 琉球大学教育学部紀要(63):181-193




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