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高齢者の膝はなぜ痛い?

こんにちは。理学療法士のこうやうです。

今回は膝の痛みに関して触れていきたいと思います。

結論から言うと、

膝の痛みは姿勢の乱れからきています。

では膝がなぜ痛いのかについて話していきましょう。

膝痛の現状

膝痛は高齢者の中でも特に多い疾患の一つです。

変形性膝関節症などにより

過去 1 カ月間に少なくとも 1 日以上の持続的膝痛がある高齢者の割合は

男性 24.1%,女性 37.6% にものぼるといわれています1)。

それほど悩んでいる方が多い疾患ということですね。

なぜこんなに多くの方が悩んでいるのでしょうか。


膝痛の原因は?

まずなぜ起こるのかを知るには膝痛に至る過程を知る必要があるでしょう。

今回は変形性膝関節症(以下 膝OA)に着目していこうと思います。

よく膝OAの方は膝内側部痛の訴えがあります。

これはなぜかというと、

膝が外に向いている状態 つまり

O脚が原因といわれています。

なぜこのO脚になるのでしょうか。

仕組み①

それは膝小僧を引っ張る筋肉や組織が過剰に働いているからです。

膝小僧を外側に引っ張る筋肉として

外側広筋が挙げられます。

外側広筋は太ももの外側の前についている筋肉です。

この筋肉は腸脛靭帯というものが過剰に緊張すると働きやすくなります。

腸脛靭帯は太ももの外側にある膝から腰までついている長い靭帯(厳密にいえば靭帯ではない)です。

位置に関してはググっていただければと思います。

これが張っている人は容易に触ることができます。

表面にあるものですからね。

仕組み②

ではなぜこの腸脛靭帯が緊張するでしょうか。

それは前十字靭帯や外側側副靭帯などの膝周りの靭帯が働いていないからです。

これらの靭帯が働かないと体重をかけた際の衝撃が腸脛靭帯に集中してしまうんです。

この靭帯たちがなぜ働かないのでしょう。

それはこの靭帯たちは膝が伸びきっている状態で働くからです。

仕組み③

ということは膝が常に曲がっている状態ということになりますよね。

つまり膝を伸ばして関節で支える仕組み(ロッキングメカニズム)が壊れてしまっているんです。

これだけでなく、スクリューホームムーブメントという

膝を伸ばす際のふくらはぎの骨(外回り)と太ももの骨(内回り)の回旋運動も壊れています。

あ、ここらへんは一般人の方は全く覚えなくていいです笑笑

ですがそれぐらい膝が曲がったままは深刻な状態なんです。

なぜ曲がってしまうのでしょうか。

それは骨盤がきちんと立っていないからです

仕組み④

骨盤がどのような状態なのでしょうか。

後ろに傾ている状態です。

これを骨盤後傾といいます。

猫背の方によく多いんです。

つまり根本の原因は

猫背

というわけです。

この猫背が起こる原因として多裂筋という骨盤を前に倒す筋肉が使えていないからだと私は考えています。

この筋肉は腰痛とも密接にかかわっており、腰痛と膝痛の両方を持っている人が多いのはこれが原因です。

これまでの流れをまとめておきました。

膝痛への流れ

多裂筋不全により骨盤が後傾
      ⇩
 膝が曲がった状態で歩行
      ⇩
ロッキングメカニズムやスクリューホームムーブメントの破綻
      ⇩
前十字靭帯や外側側副靭帯の不全
      ⇩
   腸脛靭帯の過緊張
      ⇩
  外側広筋の過剰な活動
      ⇩
  膝のお皿が外側に行く
      ⇩
      O脚
      ⇩
   膝が痛くなる

こうみると結構複雑ですね。

youtubeで「猫背を治す」や「多裂筋」と調べれば、改善方法が出てくると思いますので、検索お願いします。

最後に

いかがだったでしょうか。

ここで言っとかなければならないのは

これはあくまで一例に過ぎないということです。

みなが同じ原因で膝痛になっているわけではありません。

よく本で「〇〇で膝痛を治す」や「膝痛はこれだけでOK」

というのがあるのですが、原因もわからないのに治せるわけがないのです。

根本的に治したいのであれば、理学療法士や柔道整復師にみてもらうことをおすすめします。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

参考文献
1)Muraki S, Oka H, Akune T, Mabuchi A, En-yo Y,
Yoshida M, et al.: Prevalence of radiographic knee osteoarthritis and its association with knee pain in the elderly of Japanese population-based cohorts. The ROAD
study. Osteoarthritis Cartilage 2009; 17: 1137―1143.


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