医療=科学ゆえの壁
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回は独り言に近いので
お時間のある方だけ見てください。
医療はいわゆる科学だと思うのですが
この科学は私たちの生活に深く貢献しています。
医療業界でもエビデンスというものがあるように
科学が構築されることによって
より根拠をもって医療を提供することが可能になっています。
このように私たちが常に触れている科学というのは
文字通りの叡智の結晶というわけですが
この科学を見直すべきときがきているかもしれません。
とあるブログを見させていただき
書かせていただきますので
よろしくお願いいたします。
現象を理解する
人間が構築してきた科学というのは
起こった現象に関する究明という作業から始まっています。
理学療法でいう
なぜ患者さんがその症状を出すに至ったのか
という病態の解明とほぼ同じです。
これは理学療法士であれば
どんな方でも通らざるを得ない思考作業です。
これを解剖学・運動学・生理学といった
学問で究明していき、病態を理解し
より円滑な治療を実現させていくわけです。
しかしこの考え方を根本的に変えければならない
前提としている問題があります。
人間は複雑系である
過去の記事で何度も触れていますが
人間は私たちの理解が追い付かいないほどの
複雑性をもっています。
私たちはこの複雑系を理解するために
この複雑性を個別の要素に区分して理解していけば
それぞれの要素については理解できるという
デカルトの「方法序説」流の還元主義があります。
これは複雑性を理解するのに画期的な考え方であり
対象を十分に分解し、単純な法則まで落とし込み
それを理解し、統合を行うことで複雑性の理解に至る
というものです。
あらゆる科学がこのような還元主義を基にしています。
これはいわゆる機械と同じであり
部品を組み合わせていけば複雑なシステムが出来上がる
という流れと一緒です。
しかし現実はそのようにうまくいくものではありません。
なぜこのようにいえるのかというと
人間という生き物が複雑系であるという理由だけではありません。
還元主義である工学システムにすら
この考えが通用しない例がたくさんあるからです。
トレーナーの桂良太郎先生もおっしゃっていましたが
人間の動き(パフォーマンス)というものは
1(要素)+1(要素)=2(動き)ではなく
1(要素)+1(要素)=2より大きいもの(動き)
となるわけです。
つまり要素還元的思考ではなく
全体論的思考が求められてくるわけです。
では全体をみるとはどういうことでしょうか。
これは乱暴な言い方をすると
中身を完全に無視をして現象をとらえる
ということです。
その結果に至ったであろう要素について考えずに現象をとらえる
ということです。
これは理学療法のいわゆる「全身をみる」とは
全く違う概念です。
この考え方に非常に合致している学問が情報量理論です。
この情報量の理論では
複雑さの程度を「乱雑さ」(エントロピー)でとらえており
その内部構造については基本的に問いません。
このような考え方が今の科学に必要となってきている
ということです。
「理解」を見つめなおす
科学は人間が作り上げたものではありますが
人間の知性には限界があります。
今の科学では
コンピューターの知性と人間の知性には
天と地の差があります。
そして全体論的思考では
作用機序の理解ではなく
制御や予測を獲得することが重要となってきます。
これは人間の理解が及ばなくともさらなる科学の発展につながる
ことを意味しています。
複雑系システムの研究者である
オランダのヴァーヘニンゲン大学のMarten Scheffer教授は、
「我々の科学は解ける問題、あるいは理解できる問題だけしか解いてこなかったのではないか」
と警鐘を鳴らしています。
「人類の発展に必要な解くべき問題」=「作用機序が理解できる問題」
ではないのです。
理学療法に応用できるか
ではこの考え方は理学療法に応用できるのでしょうか。
完全にこの概念を反映するには
一度従来の理学療法の概念を壊していかなければなりませんし
より人体を難しく考えるのは
1単位20分という中でパフォーマンスを発揮するのに
圧倒的に不利です。
ですからこのような考え方は実用的ではない・・・・
と結論づけるわけにはいきません。
意識を変えることは確実にできます。
ではどのようなことを意識するのかというと
知識に縛られないようにするということです。
我々セラピストは目の前の現象に対して
根拠を求めがちではありますが
決してわかることはありません。
人体を対象としている理学療法は
体系化されるべきではないのです。
病院によっては教育プログラムがありますが
そこで身に着けた知識にしばられない臨床を展開してほしいと
感じました。
本日はこれで以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
参考文献
1)高次元科学への誘い:Hiroshi Maruyama's Blog - CNET Japan
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