頚部痛の運動療法
こんにちは。理学療法士のこうやうです。
今回は
頚部痛の運動療法
に関して書いていきたいと思います。
今回もシステマティックレビューの翻訳をいたしましたので
よろしくお願いいたします。
それでは始めます。
Exercises for mechanical neck disorders - Gross, A - 2015 | Cochrane Library
背景
頚部痛は一般的にみられる障害で、ADLに支障が出たり、費用がかかる。運動療法は治療アプローチの1つであり、理学療法プログラムにおいても主として構成されている傾向にある。
目標
頚部痛のある成人を対象とした痛み、障害、機能、患者の満足度、QOLおよび全体的な知覚効果を改善するための運動の有効性を評価する。
検索方法
2014年1月から5月までのMEDLINE、MANTIS、ClinicalTrials.gov、その他3つのコンピュータデータベースと、追加の情報源(参考文献チェック、引用検索、著者との連絡)を検索した。
選択基準
頭痛または神経根症の有無にかかわらず頸部痛に罹患している成人を対象に、単一の運動療法群と対照群を比較したランダム化比較試験(RCT)を選択した。
データ収集と分析
2名のレビュアーが独立して、試験の選択、データ抽出、バイアスのリスクおよび臨床的関連性の評価を実施した。エビデンスの質はGRADEを用いて評価した。臨床的および統計的異質性を判断した後、相対リスクおよび標準化平均差(SMD)について95%信頼区間(CI)でメタアナリシスを実施した。
結果
27件の試験(解析対象2485件/参加者3005例)が選択基準を満たした。
急性頸部痛についてのみ、エビデンスは見つからなかった。
慢性頸部痛については、中等度の質のエビデンスで
1)頸部・肩甲胸郭部および上肢筋力トレーニングが治療直後および短期的に痛みの改善に有益。
2)肩甲胸郭部および末梢上肢の持久力トレーニングによる、治療直後および短期的に痛みに対してわずかに有益。
3)頸部、肩、肩甲胸郭の筋力強化運動とストレッチを組み合わせた運動は、治療直後の痛みに対する有益な効果が小から大までさまざまであるが、長期、治療直後および短期フォローアップの両方で機能を改善する
4)頸部肩甲胸部の強化/安定化運動は中期間の実施で痛みと機能を改善する
5)マインドフルネスエクササイズは機能を最小限に改善するが、短期的には効果はない。
低い質のエビデンスは、
1)呼吸エクササイズ
2)一般的なフィットネストレーニング
3)単独のストレッチ
4)パターン同期と組み合わせたフィードバックエクササイズ
治療直後から短期フォローアップまでの痛みや機能を変えない可能性がある。非常に低いエビデンスは、神経筋の眼頸部協調/固有受容感覚運動が短期フォローアップで疼痛および機能を改善する可能性があることを示唆している。
慢性頸部頭痛の場合、中等度の質のエビデンスは、治療直後の圧力バイオフィードバックを含む静的・動的頸部肩甲胸郭部強化/持久力運動を支持し、長期フォローアップにて疼痛、機能、および全体的な知覚効果を改善する可能性がある。低い質のエビデンスは、持続的なSNAG(sustained natural apophyseal glides)運動を支持している。
急性神経根症については、質の低いエビデンスから、頸部伸展/強化/安定化運動による治療直後の疼痛軽減にわずかな効果があることが示唆されている。
結論
首の痛みに対する運動の有効性について依然として不確実性があることを示す質の高いエビデンスは見つからなかった。慢性頸部痛、頸部頭痛、神経根症の日常的な練習の一部として特定の強化運動を使用することは有益かもしれない。研究によると、頸部肩甲胸郭部と肩の強化と持久力の運動の使用は、痛みを軽減し、機能を改善するのに有益である可能性があることが示された。しかし、ストレッチ運動のみを使用した場合、有益な効果は期待できない。今後の研究では、最適な介入量を調査する必要がある。
本日はこれで以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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