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【連載】第3次本州紀行~苫小牧→八戸→仙台→苫小牧~ 第7話「灰雲」仙台駅~仙台港 ※ホテル禁止

(6)仙台駅~中野栄駅~仙台港「灰雲」

まあ察してはいた。
察してはいたが、仙石線の混雑もひどい。乗客に対して車両数が少ない。人口密度が高くて大変だ。増結はできないものか…。
さて、この後の旅程だが、多賀城駅まで乗るか、手前の中野栄駅で降り、ブックオフを訪問するか、選択の余地がある。さっさと都心を離れたいのは事実だが、せっかく仙台に来たのに収穫0というのはあまりにも寂しい。
せっかくだ。ブックオフへ行こうじゃないか。
都市近郊なので景色はつまらない。というか序盤は地下だから何も見えんし。駅名も都心にありがちなものばかりで、旅愁を誘うものはない。強いて言えば「苦竹」が少し気になる程度か。
事前にグーグルマップを確認したおかげで、ブックオフは駅からすぐだというのはわかっている。道路を挟んで向かいなのでアクセス抜群だ。

中野栄駅(JR仙石線)

青森石江に続き、本州2軒目のブックオフ訪問となる。
さて、肝心のブックオフのレビューだが、さすが都会のブックオフだけあってなかなかの品揃えだ。特に写真集のコレクションは力が入っており、これまで見てきた北海道のブックオフよりも多く取り揃えている印象を受けた。見たことがないPS2のソフトもある。全体的なボリュームとしては充分といえる。
一方、ドリームキャストのソフトは貧弱だ。この点は都市規模が圧倒的に小さい江別や恵庭よりも少ない。仙台民・東北民はあまりドリキャスやらない説、が仮説として浮かび上がった。まあとはいえ、都心のあおば通には大量に置いてある可能性もあるから、1店舗見ただけで判断することはできないが…。
本とゲームを購入し、店を後にする。

外に出ると、小雨模様になっていた。八戸同様、太平洋の工業都市特有の埃っぽさと相まって少し気分が沈む。さて、多賀城駅まで列車に乗るか…と思ったが、仙台港まであと3kmの表示がある。
時刻表の地図だと、多賀城が最寄り駅に見えたが、ここからでも3kmで行けるらしい。つまり徒歩約45分である。あの混雑した列車に乗って精神を消耗するくらいなら歩いたほうが良いだろう。その方が地理にも強くなる。
よし、歩こう。港目指して。

交通量が多い道路を南下し、宮城県道10号と交差。高速道路の下をくぐり、港方面へと歩く。旧仙石線の線路らしきものもある。港周辺はショッピングセンターもあり、かなり開発されている印象を受けた。歩行者には冷たいけど。
歩行者向けの案内板がほぼないため、ナビを使いながら移動するが、やはり進行方向を間違えやすいようだ。少し迷った。
それでも50分ほど歩くと、仙台港が見えてきた。100万都市の港だが、ターミナル自体は苫小牧より簡素だ。食堂も確認できなかった。大間、青森、函館、苫小牧西に続き、5つ目の港訪問となる。こうしてみると、どのターミナルも雰囲気が全く違うのが面白い。旅情という点では、大間が一番上だろう。

仙台港フェリー埠頭

今朝船を降りたばかりなのに、同じ日にまた別の船に乗るとはなかなか野心的な旅程だなあ、と我ながら思うが、その方が後学に寄するだろうからこれで良い。往復割引を使って観光するのは後でもできること。
そんなことより、今のうちにやっておきたかったのは、往路と復路を別にした贅沢で猪突猛進的な旅だ。沢木耕太郎も言っていたが、こうした勢いに任せた旅は若さが残っているうちにやっておいたほうが良いだろう。旅行ならいつでもできる。だが旅は、若さを必要とする。遥かな世界の冒険を夢見る、少年の心を。
(続く)

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