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【連載】第3次本州紀行~苫小牧→八戸→仙台→苫小牧~ 第3話「遅延」八戸~盛岡 ※ホテル禁止

(2)八戸駅~盛岡駅「遅延」

さあ、出発だ。
八戸はもともと岩手の南部地域と連なる県南エリア。つまり、すぐに県境に差し掛かる。人口20万の都市だが、すぐに市街地を離れ、境界駅の目時を過ぎ、山越えに入る。
あまり景勝地と呼べるような区間ではない、単調な風景が続く。
金田一温泉、二戸、縄文遺跡がある一戸、渋民の啄木記念館など観光名所はそれなりにあるようだ。次回以降、盛岡探訪する機会があれば寄ってみるのも良いだろう。
新幹線の線形と比べると在来線はくねくねしており、山の険しさが窺える。

いわて沼宮内駅に到着。新幹線駅としては利用客が少ないけれども、乗客はそこそこいるようだ。
続いて好摩駅に着く。こちらは大館からやってきた花輪線の分岐駅なので乗客はやや多めだ。
第1回本州紀行の初日宿泊地は大館だった。その時は運休中で、代行バス輸送だった。復活したとあれば、いつか乗るしかあるまい。南北を繋ぐ幹線より、東西を繋ぐ地方交通線の方が豊かな自然にめぐりあえるだろう。

渋民駅に到着するも、ここでトラブル発生。安全確認のため20分程度停車した。車内がそこそこ混んでいるので、酸欠からの頭痛発症が心配になってきた。
運転再開。頭痛は発症しなかった。岩手山が綺麗に見える。地元民は見慣れているためか山にあまり興味を示さず、盛岡到着を待っているようだった。

定刻から20分強遅れ、終点の盛岡駅に到着。乗客が続々と降りてくる。列車には地元の子どもが描いたらしい絵が貼り付けられていた。3セク化には批判の声も多いが、列車がローカルデザインになる点は評価すべき点かもしれない。最近は何でもかんでも合理化しようとしてデザインに遊び心が感じられないことも少なくない。こうした姿勢は素直に評価したい。
さて、盛岡駅だが、GW中の秋田駅よりは喧しくなくてよろしい。

盛岡駅


まずはIGRの手動改札を抜ける。やはり無機質な自動改札より、こちらの方が味があって良い。駅員の方も、見慣れない私の長距離きっぷに一瞬戸惑うも、すぐに改札を済ませてくれた。
人と人が言葉を交わさずに、何が旅だ。機械化は人と人を分断してしまう。「やり取り」がなければならないのだ。
そこが駅である限り。
あくまで無機質な駅や風景を目指すというなら、私はそれに抵抗し、地域の「風情」を感じ取ろうとするだけだ。

さあ、岩手県到着。青森、秋田に続き、東北3県目となる。
肝心の駅内だが、なかなか良い。お土産屋はもちろん、野菜売り場もある。原敬など、有名人の紹介スポットも用意されていて、観光にも力が入っている印象を受けた。
駅周辺を歩くと、ウェットティッシュを配っていたので、ありがたく頂く。バス停も一応確認したが、時刻表は入手できなかった。
しかし、20分以上遅れてしまったため、あまり長居はできない。忙しなくお土産購入と観光パンフ入手を済ませ、一ノ関行列車に乗り込む。ちなみにお土産はわんこそば。楽しみである。

新幹線は本数が多いが、在来線は毎時1本程度しかない。大都市はさっさと結んで、地方には不便を押し付ける、都会ジャイアニズムがここにもあった。
まあ、
「お急ぎの方は新幹線をご利用ください」
とのことなのだろうが、その手には乗らない。宗谷本線名寄以北の過疎ダイヤを見ている私にとって、この程度は何の問題もない。
それより、あんな風情のかけらもない無骨な乗り物に乗せられるなど、まっぴらごめんだ。
と、偉そうなことを言っておきながら、この「無骨な」乗り物に、近々乗ることにはなるのだが・・・。

そんなことを考えているうちに、一ノ関行列車が発車した。
次の停車駅は、
「仙北町」だ
(続く)


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