【連載】第3次本州紀行~苫小牧→八戸→仙台→苫小牧~ 北海道帰還編第10話(最終回)「助合」※ホテル禁止
3.北海道帰還編(苫小牧西港→江別)
定刻10:00、苫小牧西港フェリーターミナル到着。
足早に降りていく人が過ぎ去るのを待ってから、私は船を降りていく。
バスも出ているが、私には必要ない。徒歩1時間程度、駅まで充分歩いていける。ただ、土産を買っているので荷物が重いのが気にかかるところだ。
苫小牧図書館のサンガーデンで植物を眺め、本を読みつつ、列車到着までの時間を過ごす。図書もそれなりに充実している。
読書後、外に出て駅へ向かう。国道36号は相変わらず交通量が多く、時速約4kmで歩く私を、その何倍もの速度で追い抜いていく。そんなに急いでどこへ行くのだろう。道端の草花でも味わっていけばいいのに、どうやら北海道民は速度の虜になってしまったようだ。情けない話であるが、仕方ない。私は歩いて色々なものを見て、それを心に留め、記録することにしよう。忙しない現代社会へのアンチテーゼとして。
苫小牧駅到着。ダイヤ変更により、日中の列車はほぼ千歳止まりになってしまい、札幌に直通しなくなった。つまり、我が江別も遠くなってしまった、ということになる。
だが、心配することはない。江別に帰るもうひとつの手段はすでに用意してある。
そう、室蘭線(岩苫線)だ。こちらでも先へ進むことができる。おまけに黄色線区だから、乗って輸送密度を上げるのも貢献になるだろう。
日曜日の昼だが、乗客はぽつぽついる程度だ。苫小牧~岩見沢もなかなか車窓が良い区間だが、いかんせん列車本数が少なく、利用者は少ない。基本的には高校生の通学需要に支えられている路線なのだろう。
道内のローカル線の多くは新型のH100系という、面白味のない列車に置き換わってしまったが、ここではまだ国鉄型のキハ40系が走っている。無機質な特急や、英語アナウンスがうるさいH100系より、はるかに風情が感じられる。もっとも、いつかはなくなってしまうのだろうけれど。
途中の安平駅で下車。駅周辺に豆腐屋と菓子屋があったが、閉まっていた。平日に来ないとダメらしい。
かつて自転車でここに来たとき、パンクしたタイヤを修理したいと思っていたところ、町民の方が空気入れを持ってきてくれたことがある。
そうした優しさを感じる町だったが、あまり人通りは多くない。公園で少し休もう。
その後駅ノートを読んで過ごし、後続の列車に乗る。
途中の追分駅で夕張方面の列車と接続するが、乗客の移動は少ない。追分という駅名は色々な所にある。秋田県の追分駅など、分岐駅に冠されることが多いのだろう。
終点手前の志文駅で列車は大きくカーブし、岩見沢駅へ向かっていく。このカーブもなかなか見応えがあり、車体が傾斜するといよいよ札幌圏に帰ってきたな、という思いがいつも強くなる。
定刻通り岩見沢駅に到着し、函館本線の江別方面に乗り換える。列車本数が一気に増えるため、接続も悪くない。
列車に乗ると、熟睡している男性を発見した。寝過ごすとかわいそうなので身体を揺すって起こそうとするが、一向に目覚めない。終点で眠っている人を見かけたことは何度かあるが、大抵は身体を少し揺すれば起きてくれる。しかし、この方は完全に夢の世界に入り込んでいる様子で、力強く揺すっても全く反応がない。
そこへ救世主登場。車掌さんが通りかかった。事情を説明し、起こすのを手伝ってもらう。二人がかりで、ようやく目覚めた。
慌てて列車を駆け出したが、携帯電話を落としていってしまう。すかさず私も後を追い、
「携帯落としましたよ~!」
と言って駆けつけ、携帯を渡す。かなり気が動転しているようだ。
最後に車掌さんが「ありがとうございました。」と言ったので、私も応え、一件落着となった。
無人駅の駅ノートには寝過ごした人の思い出が書かれていることも少なくない。私も一度だけある。
気づいたら起こしてあげよう。寝ている人を起こすのは車掌の仕事ではなく、「気づいた人の仕事」というか思いやりではないだろうか。
さて、後は江別まで20分程度の乗車だ。
そこは見慣れた風景であり、たしかに私の日常であった。
長旅が終わり、非日常から日常へと、時は流れてゆくのだ。
(完)
4.おわりに
というわけで、本州紀行3回目、八戸・仙台の旅でした。
いくつかアクシデントはありましたが、長距離フェリーにも酔わず元気に旅を完遂できました。道に多少迷う、列車ダイヤを見誤るなど、反省点もありましたが、全体的には上出来といえるでしょう。そもそも、道に迷うのはある程度仕方ないですからね。土地勘がないわけですしwww
ブックオフも訪問できましたし、ホテルも使わず旅を完遂できました。当初の目標は無事達成できました。今回は移動がメインで、観光はあまりなかったので、次来るときはもう少し観光したいところです。まあブックオフがあれば充分なんですけどね!
次回は第4回本州紀行です。お楽しみに!
ご精読、ありがとうございました。
また次の旅でお会いしましょう!
興味を持った方はサポートお願いします! いただいたサポートは記事作成・発見のために 使わせていただきます!