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【書籍紹介】『アメリカ大都市の死と生』ジェイン・ジェイコブズ 著


0.はじめに

現在、ジェイン・ジェイコブズ『アメリカ大都市の死と生』を読んでいます。1961年に出版された都市問題に関する著作です。
定価約3600円で買いましたが、まだ全部読んでいません。かなりボリュームがあるので今回は概略だけ紹介します。時間があれば内容を詳細にまとめて記事にしようと思います。
Youtubeでドキュメンタリー映画も公開されているのでリンクを貼っておきます。有料動画ですが、よければ予告だけでもご覧ください。冒頭は無料で視聴できます。



1.簡単な紹介と感想


1950年代ニューヨーク。モータリゼーションの波を受け、大規模な都市開発が押し寄せていました。そんな都市開発に毅然と立ち向かった一人の女性がいました。
彼女の名はジェイン・ジェイコブズ。1916年アメリカに生まれ、「アーキテクチュラル・フォーラム」誌の編集メンバーとなります。ベトナム戦争に反対し逮捕され、翌年ロウアーマンハッタン幹線道路建設の公聴会で騒乱煽動罪に問われ、逮捕されました。1968年にカナダに移住。2006年に他界しました。
他の著作に『市場の倫理 統治の倫理』『都市の原理』『壊れゆくアメリカ』などがあります。
ジェイコブズは学者ではありませんが観察力が鋭く、また行動力もある人でした。データで捉えきれない都市の本質やそこに住む人々の行動様式を観察したアマチュアの活動家です。

ジェイコブズは街路の役割に注目します。街路に張りつく多様な経済活動と、そのついでに市民が街路に目を向けることで治安が維持され、都市が安心・安全な空間になると言います。
またイメージとは裏腹に、公園は都市の肺だ、子どもたちが安全に遊べる公園を、といったエコロジスト的な主張も一蹴します。
単なる紋切型の都市開発批判をしているわけではない点が注目に値します。
さらに景観保全や伝統的建物保存、街並みの統一など、よくありがちな市民運動に疑問をぶつけます。街並みの統一性など村落的な権威主義の反映で、都市的ではないと語るのです。

こうした鋭い観察力を持つ著者ですが、弱点も抱えていました。データによる裏付けがほとんどないため、自身で観察できない事柄に関する考察、これが主張として弱くなっている側面があります。少数の事例を使い回しているため、それを単純に一般化してもよいのか、という問題も抱えています。いわゆる分析は鋭いが処方箋はいまいち、というのが彼女へのひとつの評価です。
それでも、本著は机上の空論でしか考えられない頭でっかちの役人や評論家には書けないものです。彼らが理論に囚われて発見できない点を観察して見つける。ジェイコブズの観察力の鋭さは目を見張るものがあります。


2.おわりに

ジェイン・ジェイコブズの『アメリカ大都市の死と生』、どうでしたか?まちづくりに関する本を読んでいたところ、参考文献として挙がっていたので読んでみました。値段はそれなりにしますが、少子高齢化で都市が衰退していく日本社会に生きる私たちにとって、読む価値のある本だと思います。
興味を持ったらぜひ読んでください。
最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました。よい一日を!

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