10000字チャレンジ
いつも、私の創作物を
読んでくださる方、スキをくださる方、フォロワー様、こんにちは。説那です。
本日は祝日。勤労感謝の日です。
土日祝日休みの人は、今日ゆっくり過ごされてますか?天気のいいところの方は、外出されるのもいいかもしれませんね。
既に半日以上過ぎてますが、用のない私はこうしてPCに向かってます。
以前、相互フォローをしていた方が、一記事で1万字書くというチャレンジをしていたのをふと思い出しました。内容問わず、とにかく1万字。その方は達成されてましたが、私もやってみようと思い、この記事を書いています。
ここまで読まれた方、「ええ、一万字もあるの?」と思いましたね?
全部読む必要はありません。端折って読んでください。または、何日かに分けて読んでください。好きなところだけでいいですよ。小説よりもまとまりなく、たらたらと書き連ねていくので。
普段は小説を書いている自分ですが、一作は2000字から4000字くらいが多いです。短編小説と銘打ってますが、短編小説というには、実際短いです。
ネットで検索すると、短編小説は4000字から32000字(原稿用紙10枚から80枚換算)らしい。正しく言うと、掌編小説かSSとなります。
で、私基準の短編小説を4作書き連ねたら、1万字になるかなと。1作書くのも結構時間かかるのに、4作分かぁ。やっぱり多いな。まだ、500字にもなってないのに、挫折しそう。
もう、11月も後半に
差し掛かりますが、前回の随筆で、あと今年も2ヶ月とか言っておいて、特に何か取り掛かったことがないというのが、自分ながらどうかと思う。庭掃除とか、年賀状の注文とか、家計簿付けとかもたまってて、このまま年末を迎えそうだと思うと、悲しくなります。
だったら、note書いてないで、やらなきゃなと思っていることをやればいいというのが正論だとはわかってる。でも、やらなかったとしても、大きく困ることもない。平日はそれなりに仕事でいっぱいいっぱいだし、家に帰ってきたら、日々の家事らしきもので終わるし、その中、自分を高めるために、勉強したり、体動かしたり、何かしら行動を起こしている人々には、頭が下がる思いです。
自分がこんな感じなので、創作の中では、少しは幸せを感じてみてもいいじゃないかと思うんだけど、常に幸せってことはまずないから、現実味を持たせるためにも、一気に物事は動かないし、うまくいかないことも書くし、その時の気分に引きずられて、登場人物がめちゃくちゃ落ちてたりすることもある。
それでも、後から読むと、結構その時の自分の気持ちも察せられて楽しい。ああ、自分、これ書いてる時、こういう気持ちだったかも。とか思い返せたりする。過去の事をあまり覚えてなくて、もっといろいろ書いておけばよかったと自分でも思っている。
別に、小説じゃなくても、日記とか散文でもいいから。それでも、その時、自分が何を思ったのか、何を経験したか、分かることがあるから。
学生の頃は、詩らしきものも書いていた。noteで詩や短歌、最近20字小説も見かけるようになったが、今の自分は書けない。他の人の作品を読むのは好きで、すごいなと思うんだけど。自分には、自分の感情を凝縮して書くということができないらしい。
『思っても仕方のないこと』
好きで、好きで、たまらなくて。
今から思えば、ちゃんと気持ちを伝えておけばよかったと思って。
今度会うことがあったとしても、結局他愛のないこと話して終わるって分かってるのに。
noteを始めることがなかったら、多分君のことを思い出すこともなかった。
過去にやり取りした手紙も、見直さずに捨ててたよ。
でも、気になって見てしまったから、この気持ちがまた溢れてしまった。
あの時に戻ったら、君に何と言葉をかけてただろう。
自分の寂しさをはっきりと打ち明けられてただろうか。
お互いの道が交差することもあっただろうか。
そしたら、もう少し違った未来があったかも。
そう考えても仕方がないことを、何度も何度も、ループするように繰り返して、自分の心はすり減っていく。
もう、顔や声すらうっすらとしか思い出せないのに。
忘れればいいんだろう。もう、戻れない。このまま、返ってくることない答えを待っても、どうにもならないよ。
最後に、お互いの道を頑張って行こうと、握り合った手の感触だけは、何となく、心の奥底にあるように感じた。
君は、自分のことを思い出すことはあるんだろうか?
きっとないよね。
結局、最後に思うのは、君が幸せであればそれでいい。
そうなっちゃうんだな。
『溺愛』
愛に溺れると書くこの言葉。
ライトノベルのタイトルによく見る言葉。女性ものが多いかな。
きっと、皆、愛に飢えてるんだな。
だから、皆、溺愛されたいんだ。
私だって、できることなら、溺愛されたい。
溺愛って、甘やかされることとは、違う?
それとも同類?
人を好きになる気持ちは何となく分かるけど、どこからが溺愛していることになるんだろう。
相手が何を言っても、何をしても許すこと?
常に一緒に行動して、楽しいと思うことだけすることだろうか?
愛の言葉をささやき合って、高い頻度で体を重ねること?
相手のためを思って、率先して行動する事?
いまいち、溺愛って、よく分からない。
してもらいたいとは思うのにね。実際にされてる人はいるのかな。
自分のことで精いっぱいなのに、好きな人を溺愛する事できるのかな。
誰か、これが溺愛だって、教えてくれないかな。
そんなの無理だって、分かってるけど。
自分だって、自分の事、そんなに好きじゃないくせに。
そんな人が現れることも、信じられないから。
ここで、noteからの嬉しいお知らせ
(先週特にスキを集めた記事お知らせ)を発表します。文字数稼ぎともいう。
皆様いつもスキをいただきありがとうございます。
11月6日 ♯短編小説
自分が好きなのは冬ですが、身内は春が好きだと答えてました。身近な人と好きな季節が被るという訳では、ないのかもしれません。それぞれの季節に良さがありますし。
11月13日 ♯短編小説
これは、ある人の恋話から想像を膨らませて書いた小説です。自分が小説に載せている想いを、登場人物に若干語らせてます。
11月20日 ♯結婚
年末が近づき、今年もいろいろあったなと振り返った時に、思いついたもの。本当に、いろいろありました。
「全然だめだ。文字数いかない。」
「そう?結構書いてると思うんだけど。」
「やっぱりやめようかな。」
「でも、せっかく思いついたし、有言実行したほうがいいんじゃない?」
「言うのは簡単だけどさ。実際に書くのは自分なわけ。適当に言ってほしくないな。」
「あなたならできると思って言ってるんだけど。」
「いや。。そんなに書くようなこともないし、自分の生活って、いたって平凡なわけ。文章に書き起こすようなこともない。」
「ちょっと早いけど、来月のことでも書けば?来月はイベントいっぱいでしょう?」
「例えば?」
「まずは、クリスマス?」
「クリスマスだって、特別することもない。ケーキは食べるかもしれないけど。」
「いいじゃない。ケーキ。お祝い事って感じ。」
「自分の為にプレゼントでも買う?」
「買うんなら、今、あちこちでブラックフライデーセールとかやってるけど、それで前もって買っておくかな。」
「通販サイト見てると、時間過ぎるの早いよね。」
「あのさ。こんな事話してて、読んでくれる人の需要ってあるのかな。」
「う~ん。ないかも。でも、3000字は超えたよ。ようやく。」
「・・やっぱり、一万字は無理があるかも。」
この間、テレビで
「窓掃除ロボット」を見ました。強力な吸引力?で窓の上を進み、水拭き掃除をしてくれるそうです。
高いところとか、手が届かないんですよね。
欲しいけど、万単位だよなぁ。
前述した「ブラックフライデーセール」で安くならないかな。
他にもいくつか欲しいもの、窓掃除ロボットよりは安いもの、日用品などをリストに入れています。明日からセール開始なので、まとめ買いするつもりです。とは言っても、明日は仕事なので、実際に買うのは明後日ですが。必要じゃない物も買わないよう注意が必要。買って満足となるのが、一番怖いです。
『78番の奇跡』
自分は駅前のコインパーキングに自転車を止め、電車通勤をしている。
そのパーキングは10時間で100円だが、フルタイム勤務すると、10時間を切ることはほぼない。だから、毎日200円払っているわけだ。積もり積もればかなりの金額じゃないか?以前は12時間100円だったのに、需要があると分かったのか、値上げしやがった。
それ以外の時間止め駐輪場は、会員にならないといけなかったり、満車だと結局止められなかったりする。運動を兼ねて歩いていけばいいと言われてしまえば、それまでだが、夜買い物に寄って帰りたい時とかに便利なんだ。自宅から駅までもそれなりの距離で、バスは1時間に1、2本の市内バスしかない。
その日は仕事量が会社全体で多くなく、残業なしでさっさと帰ってきたが、夕飯などの買い物があった。発泡酒缶もつける。一杯くらいなら、翌日への影響はほぼない。止めるところはその日によってまちまちで、番号を覚えておけばいいのに、大抵忘れてしまう。いつも、自転車が止められているところまで行き、番号を確認する。
今日は78番だった。
自分の生年月日の年の後半二桁。自分は西暦1978年生まれだ。
今回みたいに、何かに絡ませて覚えられる番号のところに止めればいいんだ。と時たま思うのに、朝止める時にはそう思ったことすら忘れている。
精算機に7、8と打ち込み、確認ボタンを押す。
液晶の表示画面に、『駐車時間5分。100円』と出た。
「は?」
思わず声が出た。周りを見回してみたが、周囲に人はいなかった。
自分に背を向けて自転車に乗って離れていく、女の姿があるだけだ。
一つ目に思ったのは、番号を間違えたか?だった。
だが、先ほど確認したばかり。
あり得ないとは思ったが、小心者の自分は、再度自転車のところに戻り、番号を確認した。78。間違いない。
次に考えたのは、番号の押し間違え。再度精算機で試すと、液晶の表示画面は『駐車時間6分。100円』と出た。そのまま精算する。
「ご精算ありがとうございました。」と合成声が俺に応える。
自転車は無事引き出せた。自転車に乗って自宅に向かいながら、俺は知らず知らずの内に鼻歌を歌っていた。
駅前のコインパーキングに自転車を止めると、私は止めた駐輪番号をちゃんと確認する。78。
今日は、間違えずに止めた。
心の中でそう思う。私の誕生日は7月8日。覚えやすいように、コインパーキングでは78番に止めることに決めていた。
それに慣れきっていたのか、昨日、私は自転車を隣の76番に止めてしまった。朝、慌てていたというのもある。夜、仕事から帰ってきて、コインパーキングの精算の時、番号を間違えて入力して精算してしまった。
つまり、自分の自転車は76に止めてあったのに、78を精算してしまったのだ。
精算後に自分の自転車を引き出そうとして、できないのに気づき、改めて駐輪番号を確認して、自分の過ちにも気づいた。78の人と精算金額が200円と同じだったのも災いした。コインパーキングでは、誤って精算してしまうと、その分は返金されない。コインパーキングの看板の下の方、利用規約にも小さくその旨記載されている。
大きなため息が漏れる。仕方なく76番の精算を済ませる。私は、78に止められていた自転車を一旦引き出し、止め直した後、自分の自転車でその場を後にした。
78に止めていた人は、精算金額が安くて驚いた事だろう。いいことがあったと喜んだかもしれない。少なくとも駐輪金額が半額、200円から100円になっただろうから。
私が何度も駐輪番号を確認して、駅の方に足を進めかけると、見覚えのある自転車に乗った人とすれ違う。見覚えがあるのも当たり前。昨日、私が止め直した、自転車そのものだった。足を止めて、相手に分からないように視線を送ると、その男性は、私の自転車の隣に自分のを止めた。
昨日とは、逆。
彼は、76に自転車を止めた。
前後に厳重に鍵をかけると、そのままこちらに歩いてくる。スーツ姿から、明らかにこれから仕事だと分かる。私が気づいた事に、相手は気づいているはずがない。だって、昨日の夜、コインパーキングに来た時には、私は立ち去った後だし、私がどの自転車に乗っているかなんて、よほどのことがないと分からないだろう。
きっと、彼は私には気づかずに通り過ぎる。
そう思うなら、さっさと踵を返して、駅に向かえばいい。
なのに、なぜ、私はこの場に突っ立っているんだろう。気まぐれな好奇心?昨日と比べ、時間に余裕があるからだろうか。
下を向いた私の視界に、男性物の革靴が映る。それは私の視界から消えないままでいる。
「どうかしましたか?」
かけられた言葉に、この先どうしようかと考えあぐねる私が居た。
『ある男の独白』
ここ最近はすっかり暇になった。
季節的なものだと思う。
来月はクリスマスがあるだろ?
すると、僕も忙しくなってくるんだよね。
クリスマスは一人で過ごしたくないとか言って、即席で周りの人に声かけたり、アプリとかで適当な人見繕ったりするわけ。
もちろん、そんなの長く続かないんだけど、たまに、そんな中に紛れてるわけよ。所謂、真実のって奴。
それに寒いと、人の温もりが恋しくなったりするらしい。
だから、余計に一人でいるのが寂しいと思っちゃうらしい。
なんで、全部推測系なんだって?だって、寂しいって気持ち、僕にはよく分からないからね。
自分の仕事には大きく関係する気持ちなんだけど、自分自身にはあまり影響ないから、感じられないし覚えられないんだ。
冬が終わって、春になると、皆、環境が変わるせいか、自分自身のことで余裕がなくなって、それに伴って、僕はまた暇になる。
次に忙しいのは、夏の長い休み前かな。
あぁ、君も僕の仕事相手になってくれるの?
一人だと寂しいってこと?
でも、僕の仕事が成功したからといって、直ぐに一緒になれるわけじゃないよ。ちゃんと自分の気持ちを相手に伝えるという行動が必要になる。
僕の仕事はそのきっかけを与えるだけ。
まぁ、まだ忙しくないから、希望するなら受けるけど。
報酬?
報酬はお母様からいただくから問題ないよ。
そう言って、男は背中の翼を広げると、手に持った黄金の矢をこちらに向けるのでした。
「今の文字数は何文字ですか?」
「5954文字。」
「1万字いってないね。」
「今日、一日じゃ無理かも。」
「なら、今日は前半ってことで。次の休みに後半書いたら?」
「う~ん。そうする。目も痛くなってきたし。」
「はい。やってきました。後半戦。」
「イェーイ。」
「盛り上げ方、古っ。」
「書いてる人間が古いから、仕方ないよ。」
「そもそも、どっちが『説那』なの?私?あなた?」
「・・どっちも何じゃない?」
「それはそれで、寂しい回答だね。」
「休みの日にパソコンに向かってる時点で、何となく分かるでしょ?」
「それは、同じように投稿してるnoteクリエイター様に失礼では?」
「そう?私は、また拝読する記事が増えて嬉しい限りだけど。ところで、最初一記事で一万字書くのが目標じゃなかったっけ?」
「うん、そうだった。」
「前半、後半に分けてる時点で、達成できてなくない?」
「だって、前編書くだけで4時間くらいかかってしまったし。翌日仕事だし。」
「言い訳ばっかり。」
「前編に追記・更新するか、後編として別記事で上げるか迷ってる。」
「記事を一本化すれば、目的は達成されるよ。」
「だよね。そうして、その旨つぶやこうかな。」
「どちらにせよ、この記事をあげるまでには決めないと。」
「うん。今は6632文字。」
「う~ん。ルビも文字数に含まれてるから、少し多めに書かないとね。」
「はぁ、やっぱり、大変な挑戦だったな。」
皆様は、記事書く時に音楽聴きますか?
スマホやPCを出先で使って書いてる人もいらっしゃるかもしれませんが、私はnoteを書くのは基本PCです。スマホのフリック入力より、タイピングの方が、断然早いですし、何より画面大きいですから、全体を見直すのも楽。スマホの場合は、ルビってどうやって入れるんだろう?
以前、スマホを使って、短編小説書き上げたことがありましたが、見出し画像をCanvaで作るのも大変でした。ちなみに、書き上げた小説は以下です。
話が脱線しましたが、私はAmazon Musicで音楽を流しながら、記事を書きます。在宅だった時は、Amazon Music Unlimitedに加入していましたが、今の仕事を始めて、毎日PCを自宅で使うことが無くなったと同時に退会しました。今よく聴くのは、アーティストでいうと、EveやOfficial髭男dism、back numberとか男性ものが多いかも。 ボカロ曲とかも聞きます。
以前、珍しく曲から短編小説を書き出したこともありました。
曲は聞くのですが、私は本を耳で聞くサービス(Amazon Audibleとか)はダメでした。全く頭に入らなかった。プライムデーでお試し3ヶ月間無料を試したのですが、何冊か試してダメだと思いました。仕事や趣味でも目を酷使するので、耳で本を聞くのって、ちょうどいいと思ったのですが。。
使っている頭の部位が違うのかな。そもそも音楽の才能は全くないので、耳が良くない?のかもしれません。あぁ、でも歌うのは好きです。カラオケアプリとかで歌うのも好きといえば好き。誰かを誘ってカラオケは、ここ最近全くないです。カラオケを好きな人が身近にいるかも分からない。学生時代は結構歌ってたんですけどね。友達と。
ちなみに、Amazonの回し者でもないですが、現在ブラックフライデーセールで、サブスク類を無料やかなり安い金額でお試しできる絶好の機会となっています。私は以前サービスを利用していたせいか、対象からは外れてしまい、その恩恵は受けられませんが、気になる方は試してみてはいかがでしょうか。
『この気持ちに名前を』
結婚したり、子どもを持つと、自分の為に使える時間やお金は確実に減っていく。そう思う人が増えた結果、人口は減っていき、人類はそのまま絶滅するかと思われた。
だが、人はそれを解決するのに、別の方法を考え出した。
それは、ヒトのクローンを作ること。
ただ、クローンであっても、人の心や知能をそのまま移植することは到底できなかった。だから、クローンを生み出しても、結局のところ、学習や教育をしていく必要がある。
それでも人口は増えていき、教職や保護者が職として高い地位を得た時代。
私はそんな時代に、ある人のクローンとして生み出された。
「誕生日おめでとう。」
「ありがとうございます。」
自分に向かって差し出された花束を礼を言って受け取った。私の様子を見て、目の前の彼は嬉しそうに笑う。
私はそれにつられて口の端をあげてみせた。たぶんこの仕草であっているはずだ。
クローンとして生み出された私は、順調に成長し、以前でいう成人の歳、18になった。私の誕生日を祝ってくれた彼は、私の保護者になってくれた人だ。そして、成人になった私は、彼の手を離れ、一人で生活を送るようになる。仕事をし自分の生活費を自分で稼ぎ、自分の住む場所を決める。その後、どのように生活をしていくかを誰かに報告する必要はない。
そして、彼はまた他のクローンの保護者になるのだろう。この時代、保護者は職業の一つだった。保護者は同時に3人までクローンを育てることが可能だったが、彼は私以外の子がいなかった。でも、私が成人し手を離れることになったのだから、きっと他のクローンがまた彼の元に託されるはずだ。
なぜか、私はそれを残念だと感じている。
なぜだろう。自分でもよく分からない。
彼が私の頬に片手の甲を当て、軽くなぞった。以前からよく行われたその仕草。彼は私に触れるのが、好きなのか、癖になっているのか。ただ、そうされると自分の心がほんのりと温かくなるのをいつも感じていた。でも、もうそれも無くなるんだ。
「どうした?」
彼の指先が私の目元に移る。その指先が濡れたのを見て、私は自分が泣いていることに気づく。
「嬉しいか?」
「いえ、よく分からないけど、嬉しくないです。」
「成人したのに?」
「多分、別れるのが嫌なんだと思います。」
「随分、他人事のような言い方だな。」
「私は、今まで一人になったことがありません。いつも、ユウマと一緒でした。」
私の言葉に、彼、ユウマは「そうだったな。」と言って、笑った。
「でも、一人はそれなりにいいぞ。何より自由だからな。」
「・・もう、私の代わりは決まったのですか?」
私の言葉に、ユウマはなぜか寂しげな表情を見せる。でも、口元には笑みが張り付いたままだ。器用な人だ。
「保護者は、君が最後だ。シンカ。」
「保護者を辞めるのですか?」
この時代、保護者は皆がこぞってなりたがる職業だ。何より給与がいい。ただ、保護者になるのには、資格を得ないといけないし、定期的に更新プログラムを受講しなくてはならない。それに、職業とはいえ、クローンを育てなくてはならない。自分のことや時間を犠牲にしなくてはならないこともある。
だから、せっかく保護者の職に就いても、始めに稼いで、ある程度経つと辞めてしまう選択をする人も多かった。彼も同じ選択をしたのかと思った。首を傾げた私に向かって、ユウマは口を開く。
「自分にはかつて恋人がいた。」
「そうなのですね。でも、私は紹介されたことがありませんが。」
私の質問に答えず、別の話を切り出されたのには戸惑ったが、きっとこの話の先に答えがあるのだろうと思って、私は彼の話に口を挟む。
「シンカの保護者になる前の話だ。彼女は自分に向かって将来の夢をよく語っていた。彼女は保護者になりたいと言っていた。クローンを育てる職に就きたいと。」
「私は保護者にはなりたいと思いません。お金は稼げますが、心身への負担が高すぎます。」
「自分もその時はそう思ってた。だから、彼女にその夢をあきらめるよう何度も進言した。彼女は聞かなかったけどね。最後まで、保護者になりたいと言っていた。」
「最後まで?もう、その人はいないのですか?」
「病にかかってね。あっという間だった。僕の前からいなくなるのは。」
「それは、寂しいですね。」
「だから、僕は彼女がなりたかった保護者になろうと思った。それから猛勉強して、資格を取って、初めて僕の元に来たクローンが君だった。」
「せっかく、彼女の夢を叶えたのに。」
彼は再度私の頬に手を伸ばした。私はその手に頬を寄せる。
「僕たちクローンは子どもを生めないだろう?」
「はい。私たちには生殖機能がありません。別にクローンが作り出されるから、何の問題もありません。」
「・・彼女は、本当は子どもを生んで育てたかったんじゃないかと思ったんだ。でも、無理だから保護者になろうとした。自分が保護者になったら、これを何度も繰り返すなんて、とてもじゃないけどできないと思った。仕事として割り切れればよかったけど、できなかった。特に、シンカに対しては。」
「・・なぜですか?」
私はよくあるクローンだ。それこそユウマだって、一緒のはず。
彼は、私に泣きそうな顔を見せた。私が初めて見た、いやどこかで見たことがあるような、そんな表情。
「ユウマ。」
「シンカ、君は、僕の恋人にそっくりだ。その姿、声も。」
「・・私は、ユウマの恋人を元にしたクローンなのでしょうか?」
「分からない。ただ、僕たちクローンは確かに死者の一部から生み出される。だから、シンカが、僕の恋人から生み出されたということも、あり得ないことじゃない。」
「・・ユウマは思っていた以上に歳を取っていたのですね?何歳ですか?」
私の言葉に、彼は呆れたような顔をする。「気にするところはそこ?」と、吐き捨てた。顔は泣き笑いのおかしな顔になっている。私は思わず吹き出した。
「シンカ、君は・・。」
「ユウマ。私は貴方が保護者でよかったと思ってます。」
「・・・。」
「そして、ユウマと別れたくないと思ってます。ずっと、一緒にいたいと思ってます。」
「シンカ。」
「この気持ちは何と言えばいいのでしょう?ユウマには分かりますか?」
ユウマが私の体を引き寄せた。綺麗な花束が私たちの間でつぶれてしまう。
「花がかわいそうです。ユウマ。」
「・・何度だって、誕生日の時に買うから。」
「それは、これからの私の誕生日を、一緒に祝ってくれるという解釈でよろしいですか?」
「君はもうちょっと自然な言い方を覚えるべきだったな。」
「これからも、ユウマが教えてください。」
彼は、私の言葉に、唇を重ねることでそれに応えた。
ということで、有言実行しました!
全10156文字。
お好きなようにお楽しみください。
説那
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