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【小説】目が覚めたら夢の中 第12話:出会い

出会い

私がカミュスヤーナ様と初めてお会いしたのは、6歳のとき。
母を病気で亡くしたばかりの私は、毎日泣き暮らししていました。
私も母を追って儚くなりたいと何度も思ったものです。

ある日、領主様より屋敷にくるよう命ぜられました。
領主様は私の母の兄にあたります。
目の前でひざまずく私を見て、領主様も領主夫人も痛々しそうに顔をゆがめました。
「テラスティーネ。貴方、ちゃんと食事はとっているの?こんなにも細くなってしまって。」
領主夫人は私の手をとり、甲を優しくなでてくださいました。

正直、母が亡くなってから、食欲がわかず、侍女に泣かれんばかりに懇願されるので、形ばかりの食事をとっていました。
そのため、私の手足は細くなり、6歳の子どもであるにもかかわらず、頬はやせ、肌色も青白くなっていました。

「そなたはしばらくこの屋敷で暮らすこととなった。」
領主様はそうおっしゃられました。
「屋敷には私の息子が2人いる。下の息子は年も近い。きっと仲良くなれるであろう。」

その時、部屋にノックの音が響きました。
「カミュスヤーナ様とアルスカイン様をお連れしました。」
「通せ。」
領主様の声を受けて、部屋の中に2人の少年が入ってきます。

先に入ってきたのは、プラチナブロンドの髪に赤い瞳の少年です。顔立ちが整っており人形めいた印象がありますが、浮かぶ表情は柔らかです。
その後に入ってきたのは、紺色の髪に金色の瞳の少年です。こちらの方が下の息子さんでしょう。顔立ちは領主様にそっくりです。

「紹介しよう。私の息子のカミュスヤーナとアルスカインだ。カミュスヤーナはそなたの5つ上で11歳。現在は院に通っている。アルスカインはそなたの1つ上で7歳。来年から院に通う。そしてこちらは私の妹の子で、テラスティーネだ。そなたたちの従兄妹にあたる。しばらくこの屋敷に住むことになったから、仲良くしなさい。」

「はじめまして。カミュスヤーナと申します。兄と思っていただければ幸いです。」
「はじめまして。アルスカインです。よろしくお願いします。」
二人は私の前にひざまずいてあいさつをしました。

「お初にお目にかかります。テラスティーネと申します。以後、よろしくお願いいたします。」
私は何とか挨拶を返すことができました。

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