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【小説】目が覚めたら夢の中 第11話:第二夜の4

第二夜の4

「魔力を他の人に流すことができるの?流すと何か起こるの?」
「魔力を他の人に流すことは、普通はできない。魔力を奪うのと同様に。だが、私は君に魔力を流す必要があった。だから、一か八か試したのだ。」
カミュスが私の顔を苦しそうに見つめる。

「実は君も疫病にかかって死にかけた。君を助けるために、私の魔力を流した。私の魔力には疫病から身を守る、そして疫病を払う効果があったのだ。残念ながらそれが分かったのは、領主夫妻や父が亡くなった後だ。」とカミュスは言葉を続けた。

「先ほど言っていた薬は、あなたの魔力で作られているの?」
「さすがにそんなに多くの魔力を提供することはできないので、似た素材で私が作ったのだ。弟も飲んでいる。君には薬の作成が間に合わなかったので、賭けではあったが直接魔力を流した。」
「でもよくあなたの魔力が疫病に効くなんてわかったわね?」
「それは・・。まぁ、いろいろ試行錯誤した結果だ。」

カミュスは大きく息を吐いた。よくため息を吐いている。顔色もあまりよくない。
疲れているのかしら。
「あなたは今までとても頑張ってきたのね。」
私は、ソファーから飛び降り、カミュスの前に立つ。

どうした?というようにカミュスが私の方に身体を寄せる。
「頭をなでてあげたいけど、手が届かないわ。」
私の言葉にカミュスは目を瞬かせた。そしてとても優しい笑みを浮かべる。
うう、かわいい。
大の男の人にかわいいも何もないのだが、思わず心の中で思ってしまった。

カミュスは目の前に立っていた私の脇の下に手を差し入れると、そのまま高く持ち上げる。
「ひゃっ!」
「心配してくれるのか。」
「今の私には・・あなたしかいないもの。」
「そうだな。」

カミュスは自分と向かい合わせるように、私の身体を自分の膝の上に下ろした。
「ひええ、近い。」
「ありがとう。テラスティーネ。」
彼は、私の脇の下から手を外すと、そのまま両手を私の背中にまわし、ぎゅっと抱きしめた。

私はようやく届いた手で、目の前にあるカミュスの頭をなでてあげたのだった。

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