玉音放送の原文と現代語訳

今回は、いわゆる玉音放送を紹介します。

あの「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び~」の放送です。

本当に歴史にあった、日本の終わりの始まりです。

まず、原文です。

『[文書名] 終戦の詔書

[年月日] 1945年8月14日

[出典] 日本外交主要文書・年表

(1),75‐76頁.官報.

[全文]朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ抑々帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ樂ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所曩ニ米英二國ニ宣戰セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亞ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス然ルニ交戰己ニ四歳ヲ閲シ朕カ陸海將兵ノ勇戰朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庶ノ奉公各々最善ヲ盡セルニ拘ラス戰局必スシモ好轉セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ慘害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戰ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ是レ朕カ帝國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ朕ハ帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝國臣民ニシテ戰陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及其ノ遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク且戰傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス朕ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民之赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總力を將來ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ

御名御璽

昭和二十年八月十四日』終了



次は、現代語訳です。

『終戦に関する天皇の宣言 

私は世界の大勢と我が国の現状を深く考え、通常でない方法を使ってでも事態を収拾しなければならないと決意した。

このことについて、忠実で善良な国民の諸君にお話ししようと思う。

私は政府に命じ、アメリカ・イギリス・中国・ソ連の4国に対して、先にこの4国の出した共同宣言の受け入れを通告させた。

もともと、国民が健康で安心して暮らせるように、また世界がともに繁栄していけるようにするというのは、天皇家が昔から掲げていた目標であり、私も常々努力していたことである。

先にアメリカ・イギリスに宣戦したのも、我が国が滅びないように、また東アジアが安定するようにと思ってのことであり、決して他国の主権をそこない、領土を侵略しようと思ってやったことではない。

ところが、戦争はすでに4年目に入っている。

その間、私の陸海軍の将兵は勇敢に戦い、私の政府の官僚は懸命に働き、私の国民は国のために力をつくし、各々最善を尽くしていたが、戦況は必ずしも好転していない。

世界の大勢も我が国側に不利である。

さらに、敵は新たに残虐な爆弾を使って罪もない人々を多数殺傷し、戦争の惨害はまさにはかりしれないものになってきている。

このまま戦争を継続すれば、しまいには我々日本民族の滅亡を招くだけでなく、人類の文明そのものを破壊しつくしてしまうことになるだろう。

このようにして国民を滅ぼしてしまっては、私は天皇家代々の先祖の神霊に決して許してもらえないに違いない。

これが、私が政府に対しアメリカ・イギリスなどの共同宣言に応じるように命じた理由である。

私は我が国とともに東アジアの解放に協力してくれてきた同盟国諸国に対して申し訳ないと思う。

また、我が国の国民で、戦場や職場で非命に死んだ者、またその遺族のことを思うと体が裂けるような思いである。

さらに、戦争で傷つき、戦災を受け、家や職場を失った人々をどう助けていくかということも、私は深く案じている。

今後、我が国の受ける苦難は並みたいていのものではないだろう。

国民諸君の苦しみも私はよくわかっているつもりである。

しかし、時の運には逆らえない。

私は耐えがたい敗戦の事実をあえて耐え忍び、将来のために平和な世の中を開こうと思う。

私はこうして、国を滅ぼすことは避けることができた。

私は、今後も諸君の忠誠を信頼し、常に国民とともにあるつもりである。

今後、感情にまかせてむやみに騒ぎを起こしたり、自国民同士で争いあったりすれば、国の将来をそこない、世界の信用を失ってしまうだろう。

そのようなことは決してしてはならない。

これからは国をあげて、子孫を残し、日本が決して滅びないという確信を持たねばならない。

その責任は重く、道は遠いが、総力を将来の建設に傾けねばならない。

人道と正義を重んじ、強固な精神を保たねばならない。

そうすれば、日本の誇りを高く掲げつつ、世界の進歩について行くことができるであろう。

国民諸君には、どうかこの私の願いを実現してもらいたいと思う。』
終了


胸が張り裂ける思いである。

昭和天皇の思い、いかばかりだったであろう?

「戦場で散った者、遺族のことを思うと、体が避けるような思いである。」
と言っています。

当時の国民の心痛も計り知れません。

「日本の誇りを高く掲げつつ~」

今の日本は、誇りを高く掲げているだろうか?

昭和天皇は、
「日本は決して滅びないという確信をもなければならない。」
と言っています。

そう、日本は、決して滅びない。

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