春だ京都だイモムシだ! 桃山鈴子さん新作展レポート
桃山さんの新作個展「わたしのイモムシ2023」が、四条河原町のメリーゴーランドKYOTOのギャラリーで4月12日まで開催中です。
展覧会の模様を工作舎の編集者がお伝えします。
会場となるメリーゴーランドKYOTOさんが入居している壽ビルディングは、1927年(昭和2)に建てられたモダン建築。「ミナ ペルホネン」京都店が入っているビルです。
桜の季節の京都の週末は午前中から人がいっぱい。このビルも繁華街の四条河原町にほど近い立地ですが、建物の中は静かな空気が流れています。
エレベーターもありますがここは階段でのぼっていきたい感じ。
5階に到着しました。
子どもの本の専門店「メリーゴーランドKYOTO」さん。右側の部屋がギャラリースペースです。
初日の一番乗りは京都にお住いの静物画家 浅野真一さん。ご家族で見に来てくださいました。ちょうど浅野さんも大阪のギャラリー ニルファインアーツで個展「博物誌」を開催中だったので、前日に拝見しました。
久しぶりにお会いする桃山さんと、パートナーの伊藤弘通さん(ミチイトさん)と、到着早々おしゃべりに花が咲き……。
今回は、ライフワークである「ひらき」(イモムシの筒状の体を魚のひらきのように展開する)の新作がたっぷり9点。ケムシ系多め。
まず目を引くのが、色っぽくうねっている美麗マイマイガ。
なんと、モデルとなった個体の脱皮殻もいっしょに展示されています。これはすばらしいアイデア。
拡大鏡で見ないと小さすぎてわからない脱皮殻。ちゃんと毛も残っている。
これを見ると、桃山さんがどれだけ小さな生物を見つめて描いているかよくわかるのです。
「長い毛に邪魔されて脚が見えなかったので、物差しで毛をそっと持ち上げながら足を観察しました」と脚フェチの桃山さん。
ガラスケースには、制作に使用しているペン先やインク、前回のnoteでもご紹介した作品ごとのカラーサンプル。
紙を染めたイモムシのうんちは冷蔵庫で保存しているので、残念ながら展示されていませんでした(笑)。
原画をじっくり拝見します。
イモムシは天の川だ、という桃山さん。
いったい何万粒の星が集まってできている大星雲なんだろう。
桃山さんのイモムシのひらきは、見たまま(写実)ではなく、デフォルメ(誇張)でもなく、冷静な観察眼と取り憑かれたようなパッションによって描かれた肖像画だなと思います。桃山さんのためにイモムシがいるのではなくて、桃山さんがイモムシに選ばれた肖像画家なのです。
マメドクガとルリタテハの前で、もはやトレードマークになっているオオムラサキのお面をかぶっていただいてパチリ。このお面、商品化しないんですかとリクエストされることもあるそうです。
作品は、メリーゴーランドKYOTOオンラインストアでも4月9日(正午)から4月19日(23時59分)までご購入いただけます(ここに紹介した作品のなかにはすでに売約済みのものも含まれています)。
なお、桃山さんの地元の四日市のメリーゴーランドさんでも絵本『へんしん─すがたをかえるイモムシ』の原画展を開催しています。こちらは4月24日まで。お近くの方はぜひ足をお運びください。
京都の細見美術館で作品が展示されたレポートはこちら↓
絵本『へんしん─すがたをかえるイモムシ』出版時の個展の様子はこちら↓
今回の個展前の裏話はこちら↓
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