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第2回「演劇終了のお知らせ」

さみしくてしあわせな、カラフルな劇 

今年2月のこと。僕たちは既に、8月の公演に向けて動き出していました。

鴻陵座としては、この8月の公演は「小劇場で活躍している俳優さんを呼んで演劇をする」という初の試みでした。なので、一同張り切って準備を進めていました。

そのとき、8月の公演の脚本を担当する予定だったのは、鴻陵座で一緒に活動している増田茜さん。
当時彼女は大学に行けなくなったこと、友達との関係、どうにもこうにも前に進めなくなって……
そういったことを脚本にしたい、演劇として形にしたい。さみしくてカラフルな劇をみんなで作ろう、と。

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(増田さんのメモより)


あれ……?

当時新型ウィルスはピークを迎えていたように見えました。世間的にも、夏頃には収束しているだろうという見解がありました。
それに、僕たちも8月頃が本番であれば、問題ないだろうと思っていました。

しかし僕たちの想像以上にコロナはすごかった。

それぞれに連絡がきて、それぞれ出演予定の公演はなくなってしまった。

そして、僕たちが演劇をすることも難しくなった。
緊急事態宣言が出されて、外に出ることさえ制限された。世間では「演劇なんて」という風潮があって(演劇に限ったことではないけど)、実際にできるような状況でもない。
宣言が解除された後に公演をしている団体はあって、
でも僕たちのような劇団なのかよくわからない小さな団体はお金もないので、採算がとれるとは限らない、こんな状況でお呼びする俳優さん達にももちろん迷惑はかけられない。


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(鴻陵座メンバーの延期になった公演)
(※ちなみに齋藤は大器晩成型です)


あれあれ……?

そんなとき、脚本を書いていた増田さんにも変化がありました。

わたしが八月にやろうとしていたのは、あまりにも個人的なことでしたが、個人的なことも考えをめぐらせておもしろく演劇に昇華したいと感じていました。
だけど、コロナウイルスの蔓延によりはじまった自粛生活の中で、社会の変化や混乱がはっきりと見え、それまでごく個人的だった思考が急に、独りよがりでうそっぽいものに思えてきて(今は、いつか形にしたいなあと思い直しています)、進めていた脚本に冷めてしまったような感じで、関心が自粛生活でのあれこれへとソレていきました。
でも春頃はまだ公演を打つ予定だったので、脚本を書く責任の中で、しっかりやりきるには何を題材にすればいいのかとすごく悩んで、その不安定なままの考えをとりあえず鴻陵座のラインに投げました。コロナで公演を打てるかもさだかではなく、夏、どうなるんだろう、、、と、とても不安でした。

(増田さんの言葉)


そんなこんなで僕たちは結局、コロナで公演が危ういという外的要因、そして増田さん自身の関心が移り変わったという内的要因の2つの側面から、「小劇場で活躍している俳優さんを呼んで、演劇をすること」は諦めました。

齋藤「なんか簡単に言ってるように聞こえますが、結構話したんやで。」


そして僕たちは、外に出ることを制限され、ただ生きているだけ、そんな状態、生活へ。

いいのかこれで?

もう一度僕たちは考えました。

最近の山脇のブームは「幸せについて」考えることなんだって。

みんなで話し合い、相変わらずの実験を繰り返して、最終的に演劇のようなものが出来上がればいいなあ……と、



もう一度、作ることにしました。


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