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D2C (ディートゥーシー)ってなんなん!?

と、聞かれることが多い・・・というかほぼ毎日聞かれるので、久しぶりに書いてみようと思います!河野です!

以前は、熱い思いを込めたnoteを投稿をしたりもしたものですが・・・
(もしまだ読まれていらっしゃらない方は、ぜひぜひお時間ございます時に読んでいただけますと嬉しく思います!)

最近は「D2C」もすっかりバズワード化して、「D2C」というワード自体がネガにもポジにも捉えられることが増えてきました。どちらの視点も正しいし、そもそも「D2C」という言葉自体にはそんなに深い意味はなくて、発祥の地、米国では「BtoB」「BtoC」「DtoC」くらいのあっさりとした括りで、もう特別なものでもなくなっています。何を今更語ることがあるのか!と言われる気もしましたが、まぁせっかくだし、いっちょここで余った熱量持って思いを語るのもありだなぁ!!と思い、筆を取りました(実際にはキーボード叩いてる)。
なので皆様ちょっと聞いてくだせぇ。

そもそも、D2Cってなんなんだ!?直販と何が違うんじゃ!?単品通販がD2Cじゃないのか!?ナンジャなんじゃ!?という疑問は多くの方が持たれていると思います。そうなんですよね。正直、人それぞれで解釈が違います。
だから、なんだって別にD2Cでいいじゃねぇか!とも思うんですが、それだとこのnoteここで終わっちゃうので、改めてD2Cをわかりやすくしてみようじゃないか!と思いまして、こんなものを作ってみました↓

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(超ちっちぇーのでクリックで拡大してくださいませ)
https://www.dropbox.com/s/wpy2jtadk5824bk/D2CLV.jpg?dl=0

D2Cって言っても幅が広いので、レベル分けしてみよう!と思って作った図です。

「自動運転」
ってあるじゃないですか?あれも一言で「自動運転」って言っても、どこまでがそうなのかってなかなかわからないですよね。なので、「自動運転」は実現可能な状況によってレベル分けされています。こんな感じで。

レベル0:運転自動化なし ドライバーが全ての運転操作を実行。 ドライバー

レベル1:運転支援 システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のどちらかを部分的に行う。 ドライバー

レベル2:部分運転自動化 システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を部分的に行う。 ドライバー

レベル3:条件付運転自動化 決められた条件下で、全ての運転操作を自動化。ただし運転自動化システム作動中も、システムからの要請でドライバーはいつでも運転に戻れなければならない。 システム
(システム非作動の場合はドライバー)

レベル4:高度運転自動化 決められた条件下で、全ての運転操作を自動化。 システム
(システム非作動の場合はドライバー)

レベル5:完全運転自動化 条件なく、全ての運転操作を自動化。 システム

こんな感じで区分けされると「あ、なるほど」と思えますよね。
というわけで、分かりづらいD2Cも、ちゃんとレベル分けすれば、自分たちが目指したい場所もわかるし、関係する人たちと同じ目線で歩んでいけるだろうなーと思い、この図を作りました。

ちなみに、レベルが高いから売り上げが上がる!とかイケてるっ!
とかではなくて
、目指すべきところはどこなんだろ?という理解が大切だと思ってください。自動運転で言えば「基本は運転好きなので、自分でも運転したいけど、高速道路とかでアシストしてくれると嬉しいなー」って人がレベル5オンリーの自動運転車買うと悲しいことになるのと同じで、なんでも感でも上のレベルを目指すと辛いです。
自分らが考えるD2Cの形はなんだろう?という自問自答が大切です。

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https://www.dropbox.com/s/wpy2jtadk5824bk/D2CLV.jpg?dl=0
そしてレベル分けの他にも、いくつか重要ポイントをコメントしていきたいと思います。

モールで売るとD2Cじゃないでしょ問題

D2Cでよく疑問に上がる「Amazon とか 楽天みたいなモールで売ってたらD2Cじゃないのか!?」って話ですが、これはモールでの販売が「コントローラブルな状態」であるかどうかが重要だと考えています。モールに依存して、モール以外での顧客の接点がなく、顧客データも持っていない、商品に触れてもらう機会もない、となってしまうとそれは「D2C」とはちょっと言えないかも・・・という感じです。ここでの重要なポイントはコントローラブルな状態かどうか。

ちなみに、Amazonでは圧倒的な存在感のAnkerさんは、D2Cブランドとしても注目されています。

Ankerの猿渡さんが考える「D2C」のまとめは、まさしくモールを活用しながらもD2Cである姿を知る上で大変勉強になりますので、ぜひこちらもチェック!!そしてフォロー!

なので、コントローラブルな状態であれば、モールで販売してようが、D2Cだと言えます。

製造は自社じゃないとD2Cじゃないでしょ問題

製造を自社でやってないとD2Cじゃないよね!!!?と言われることがあるんですが、それもまたちょっと色々な解釈があるなと。商品企画から生産、販売まだ行う形態は「DNVB」の条件とも言われるですが、自社で生産ってのはとんでもなく大変です。特に化粧品なんかは、自社製造の仕組みを持つとかってちょっとスタートアップには不可能に近いです。。なので持っている企業は本当にすごいのです。。これは語り始めると、それだけで本書ける勢なので、ここではあまり語りませんが、自社製造やってる会社ってすごいんです(2度目)
僕は一時期、土屋鞄製造所という会社で取締役をやらせていただいていたのですが、その時、なにが一番驚愕を受けたかって言ったらそれは「工房」です。

鞄を一つ一つ、丁寧に作る。
言葉で書いたら1行だけど、実際その場で見るとマジで信じられないくらい、そして気が遠くなるくらいの膨大な工程。それをお客様の数だけ、作り続けなければいけない。それもすべて同じクオリティで。
真剣に商品と向き合い、自分のコンディションの影響は最小限に抑えながら、作り続けなければならない。それが商品を作るということ。
手仕事であればこれらを常に継続的に続けなければならない。これを実現することは本当に大変です。

じゃあ機械ばかりの工場であれば、楽かって?それも違います。
某香料メーカーに取材に伺った際に教えてもらったのですが、例え機械であってもその機械は常に同じコンディションで動いているとは限らない。結局は人間が検品をし、そこから機械を調整し、さらに新しい商品を作ったらまたそこで機械を調整し・・・さらにはその機械の導入は何百万、何千万とかかり・・・機械を使うと言っても膨大なリスクを背負って実現することになるわけです。
化粧品や食品なんかはそこからさらに衛生面や管理面の認定を受けたりするわけで・・・めちゃくちゃ大変。
なので、これらを最初っから全部自前でやるのは不可能に近いです。だから、最初はOEMさんに頼るってことは決して間違いではない。
ただし、D2Cで大切なことは、OEMさんともちゃんと信頼関係を作り上げ、コントローラブルな状況を作ること。
ただOEMさんに企画だけ丸投げして作らせるようなことは絶対やっちゃダメで、そんなんではお客様が喜んでくれるようなものはできるワケがない。
ものづくりの大変さを理解し、その上でお客様を理解し、お客様が望む商品を共に作っていくパートナーとしてOEMさんと付き合っていく。この形はD2Cとして素敵な形だと僕は思います。大切なことは、全てのプロセスを理解する姿勢だと考えます。

D2Cはオムニチャネルだ問題

D2CはオムニチャネルやOMOに最初っから対応してるんだよね!?という問い。これもまた答えが難しいところではあるんですが・・・そもそもD2Cってスタートアップが多いんですよね。なので、組織、人材、技術が全てオンライン、オフライン統合されている状態の実現が比較的作りやすいんです。でもそれなりに歴史ある企業が、OMOとか実現しようとすると、やれ「既存のPOSが・・・」「基幹システムが・・・」「経理システムが・・・」と出てくる。これはIT化が遅れているように見えちゃいますが、実際には違くて、日本は他と比べて少し早めにITが進んでたんですよね。結果的に少し前に組み上げた仕組みが結構イケてて、それに頼り切ってたら、乗り換えるタイミング失った・・・みたいな状態。これがDX不全の根本にあります。
なので、どんなに高価な技術を導入しても、組織的、人材的に追いついて行かない・・・結果オムニチャネル、OMOがうまくいかないということになります。D2CだからオムニチャネルだとかOMOだとかはちょっと違くて、これから先も日本の企業全体がDXという文脈でデジタルの有効活用を進めていかなければいけないけど、そのベンチマークとして、また先行事例としてD2Cスタートアップ企業は参考になるよね、という話だと思います。
だって今Shopify と Shopify POS で2-3店舗 + オンラインで始めたら、勝手にOMO ネイティブになっちゃうもんね。
なので、D2Cだからオムニチャネル、という話ではなく、これから本気でゼロからやるなら、オムニチャネルに勝手に成らざるおえない、という感じですかね。なんでもかんでもデジタルにすれば良い、ってわけではなく、アナログにしかできないことはアナログでしっかりやり切るってことができてる方がむしろ「D2C」らしいかもしれません。

要はD2Cってなんなんだよ!?

まぁー・・・色々な解釈があるので、何が正しくて、何が間違っているとかはないんです。でもこれだけは言いたいのですが

「D2C」は思考停止を促すワードではない

ってことです。D2Cだから売れるとか、D2Cにすればいいんだ!とか、D2Cが全てを解決してくれるんだ!とか。そんなことはまやかしで、D2Cはむしろ茨の道であると敢えてここでは言いたいと思います。
なぜなら、お客様に直接販売するってのはお客様と誠心誠意向き合うってことなのです。誰のせいにもできない、お客様との真剣勝負。そしてその真剣勝負のためには、自分たちが何者なのかという「スタンス」や「スタイル」を持たなければならない。
万人に受け入れられるものではなくなるかもしれない。即ちそれは、売り上げ規模の拡大予測が小さくなってしまうかもしれない、チャンスが失われていくように見えるかもしれない、ライバルに市場が奪われていくように見えるかもしれない。そんな恐怖と戦わなければならないのです。
今までそれを担ってくれてたのは誰か?
「中間に入っていた業者さん」「流通」と言われる人たちです。
D2Cというのは、そういった方達からある意味独立し、自分たちが直接お客様とやり取りをする覚悟を持つということ。
だからこそ、今まで以上に、お客様を理解し、お客様と対話し、お客様に信頼してもらうことが重要になる。
それはテクノロジーを駆使することで、以前よりは容易にチャレンジできるようになったものの、決して楽ではない道であるのは、歴戦のEC猛者たちの話を聞くと知ることができます。

じゃあD2Cなんてやらない方がいいじゃん?

ここまで色々言ってきて・・・そんな大変なことやらなくて良いじゃん、となってしまうのは当然だと思うのですが・・・敢えて言わせてください。
それでも「D2C」はやる価値があると。

そもそも「D2C」は、音楽に例えると「熱狂的ファンが支えるインディーズバンド」みたいなものが目指すべき姿なんじゃないかと勝手に思ってます。
去年の日経新聞には、「ジーユー」と「ユニクロ(UNIQLO)」の親会社であるファーストリテイリング柳井正会長兼社長のコメントとして

「柳井氏はD2Cブランドについて「顧客が欲しいものをそう簡単にできるわけはない。完全に趣味の商売だ」とする。大規模なビジネスには育たず売上高は200億~300億円が限界とみて、現状では自社の脅威と位置づけていない。」
出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55777600Y0A210C2TJ1000/

が紹介されています。
これって、ネガティブに捉えられることもあるけど、一方ですごく夢のある話だとおもっています。だって、趣味の商売で200億~300億円できたら最高じゃないですか笑
まぁそれは難しいかもですが、D2C自体は

・熱狂的なファンに支えられて、敢えてメジャーにいかずに20億~30億の売り上げを高利益で達成し続ける
・数に限りがあるが、創業者のこだわりで作り続けて、ファンがついている
・知る人ぞ知る、ご当地のブランド
・地元のサッカーチームのような熱いサポーターに支えられたブランド
・良いものを皆が手に入りやすい価格で提供し、ブランドオーナーと社員、その家族が幸せに暮らせる規模と利益で全員が持続的にささやかな幸せを享受できるブランド

みたいな、多様な未来が描けると思うんです。
つまり「成功」の定義が「スケール」だけじゃなくなる。
「経済的」だけじゃない「精神的」豊かさも提供し、提供される世界。
これこそが、日本が豊かになる、大きなきっかけになるんじゃないかなと。

そして、この「熱狂的なファン」は日本国内にとどまらず、世界にもたくさんいてくれる可能性があります。

音楽がそうであったように。
映画がそうであったように。
アニメがそうであったように。

万人にはウケないかもしれないけど、でも世界中の0.001%の人が心から本当に幸せを感じてくれるブランドを作れるかもしれない。
そして、そのファンの人たちと末長く、一緒に商品を作り、共に成長し、共に生きてることを楽しむ。そんなことができたら良くないですか?
それでも、ファンの方一人が、一年間に1万円買ってくれたら、7億円/年の商売ですよ・・・すご。

僕はD2Cにそんな可能性を感じてます。

最近僕がもっとも感銘を受けて、そして頑張らねば!と思ったnote。

この中で

本来のD2Cはとても魅力的でした。けれどもビジネス手法として擦られ、誤解から生まれたたくさんのD2Cもどきに溢れた今、D2Cは死語となり、その言葉とはもうさよならです。(今までありがとう!)

このコメントを見た時、僕はもう一度、本来のD2Cを取り戻したいと思いました。僕たちが熱狂した、僕たちが魅力を感じたD2Cの姿を、もう一度見れるならば、そんな素敵なブランドが溢れる社会が実現できるなら、そして日本からそんな素敵なブランドがたくさん生まれるような社会になるなら、人生をかける価値があるんじゃないかって。

結論:僕はD2Cが好きです。

まぁ、結論としては色々解釈があっていいじゃん。と言うことではあるんですが笑
でも、D2Cを単なるバズワードや、儲かりそう!みたいな言葉になってしまうことは、やっぱり悲しいので、このnoteを書きました。
特にD2Cのレベル分けについては、自分たちがどんなブランドを作りたいのか、どんな世界を目指すのかを考える上で参考にしてもらえれば幸いです。

それでは皆様、またお会いしましょうー!


*僕が代表やってるFRACTAではメンバーを募集してますー!
一緒にバンドやりましょー(違


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