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「誰のため」に。

皆様おはようございます、こんにちは、こんばんは。
河野です。

先週、僕が代表をやらせていただいております、FRACTAのリブランディングのnoteが公開されました。
おかげさまで多くの方にコメントをいただき、本当に有り難く嬉しい一方、

「らしいですよ」

「モヤさま」の独特のナレーションのようなコメントしかしなかったため「なんや!お前の会社やろ!」とお叱りのお声をいただきました笑

これは決してやる気がなかったとかではなく、今回のリブランディングは個人としても思う部分があり・・・。その意図というか個人としての視点から追加でご説明というか思いを述べたく、今回筆をとってみました。(実際にはキーボード・・・以下略)
広報ルールに則って、リブランディング発表当日のリリースは禁じられておりましたので、週末にしれっと公開しますね!

皆さんにとってブランディングとはなんでしょうか?
マーケティング活動?認知拡大? 利益確保?社内の意識統一?

ブランディングについては過去、さまざまな書籍が刊行され、体系的に編纂されてきました。
また、今ではブランディングのさまざまなセミナー、ウェビナーが実施され、多くの人々がブランディングを学ぶ機会があり、Twitterでは多くの方が当事者としてブランディングについて、ご自身の考え、思いを発信され、そのどれもが素晴らしく、学びがあります。
高度に情報化された現代こそ「ブランディング」を実践するに相応しい世界だと言えるでしょう。
弊社の創業メンバーで、ブランディングディレクターの松岡曰く「ブランディング自体はすでにある程度歴史があり、体系化された学問にもなっているため、まずは一通りの書籍を読めば、その全容は理解できる。しかし、理解することと実際にブランディングを実践することは別である」とのこと。

つまり、学ぶ機会はあれど、ブランディングを実際に実践、挑戦できるシーンがあまりにも少ないことが大きな課題であるということ。
これは、現在のブランディングにおいて学問レベルまで体系化された情報はすべてではないしても、大半が「大規模企業がマスに対してアプローチを行うこと、またそこで得られた成功」によって得られたデータが前提に設計されている内容が多いということに起因しているからであると私は感じます。ブランディングそのものを、もっと個々人がチャレンジできる状態へ敷居を下げる必要があると思っていますが、現実は「とてつもなく難しいもの」と思われている方が圧倒的に多いのではないでしょうか。

さらに、ブランディングができるかどうかは、組織の体制も関係します。
なぜ P&G は次々とブランド開発を矢継ぎ早に実現できるのか。
それは、P&Gという会社が「ブランド」を次々と創り上げる体系化されたノウハウを持ち、それらを使いこなすことができる「ブランドを創り出すために」最適化された組織と人材を揃えているからです。
P&G と同じような組織を作ることは、どんな大企業であっても1年や2年で実現することはほぼ不可能でしょう。これは「なかなか実現できないDX」と通ずるものがあり「それをやる前提で作られた組織、そのために集められた人材」が揃っていない限り、ある日突然実現するようなことは不可能に等しいのです。また、それをそのまま真似したところで、決してうまくはいきません。そのため、多くの企業は「ブランディングのプロフェッショナル」に、客観的視点とノウハウを求め、相談し、共に実行するという道を選ぶことになります。

テクノロジーの発展により、個人商店から、大企業まで、あらゆるところまでブランディングが重要になってきたと感じます。
そして、ブランディングが重要になってきていることは、お客様の熱量からも強く感じとれます。
しかし、日本国内をみても、ブランディングの支援を行なっている方々の絶対数はいまだ十分とは言えません。需要に対して供給が追いついていない状況です。
僕がTwitterで繋がっている方の中にも、もし自分自身が新たに事業を立ち上げたら必ず相談したい!と尊敬してやまないブランディングを生業としている方々がたくさんいらっしゃいますが、それでも、その絶対数は今後の日本での需要に対してはまだまだ全く足りていないと感じます。
ブランディングのプロフェッショナルの数が足りていない事象はDXの人材がまったく足りていないこととリンクしていると思っています。数少ない伝説級のプレイヤーに頼り続けなければならない現状。
今後人口減が予想され、GDPが上がり続けることが懐疑的になってきた日本において、由々しき事態だと私は感じています。

ブランディング = 事業、経営

私自身はブランディング事業、経営 そのものだと感じています。
だからこそ、ブランディングを「民主化」する必要があると感じています。
つまり、事業主さんとスタッフさんがある程度自分たちでブランディングできるように支援し、ブランディングという経験が多くの人の「キャリア」になるようにしたい。
そうすることで、事業主さんとスタッフさんにブランディングの経験値がたまり、今ブランディング支援している会社さんやプロフェッショナルの方は、より多くの事業者さんをアドバイザーやメンターとして支援できるようになる可能性があるし、より踏み込んだ支援ができるようになるかもしれない。
そうなれば、より多くの日本全体の企業が強くなり、世界に羽ばたくことができるかもしれない。日本全体のブランド価値の総量を引き上げることができるかもしれない。

そもそも日本は「ブランディング」が得意なはず。

日本のには古来から“粋(いき)” という言葉があります。
本来“意気”と書き、さっぱりとした気立てで、あかぬけがし、色気(いろけ)もただようこと。そういう感じのする身のこなし・様子。人情の機微に通じ、さばけているさま。
あえて自分から、宣伝したり、おおっぴらにひけらかさなくても、みのこなしや様子で、周りから一目おかれる存在。これこそ、日本のブランドのあるべき姿と感じます。

インターネットが台頭する以前の世界では、それが普段の店主、職人の振る舞い、ものづくり、みのこなしに現れていたのですが現代ではインターネット上やソーシャル上の行動全てが「直接」万人に伝わってしまいます。故に「誠実に、あるべき姿を示す」ことが必要になるのです。一方で、自分なりの“粋(いき)”を追求し続ければ、それは規模の大小関係なく「ブランド」になっていきます。
そんなチャレンジからはじめてみませんか?


事業者さんが、自分たちでブランディングをし続けられるようになってほしい。

前段で述べたように、FRACTAの強い信念でもあり、ミッションでもある「ブランドの自走を支援する」こと。しかしそれも口で言うのも簡単。実践してこそはじめて強い意志を持って伝えられる。だからこそ、FRACTAも自分たちでリブランディングしよう!
と思い立ったことが、このリブランディングのきっかけです。
そして、ここにもう一つ重要な要素が加わります。それは

経営陣や古株社員の力に頼らない。そしてもっとも不要とするのは「代表の河野」である。グラデーションはあれど、社員全員のエッセンスを主体にしよう

ということ。

このプロジェクトの裏テーマは「脱社長」です。
冒頭で述べた「ブランディングの実践経験」でいうと、当然のことながら僕がもっとも数が多くなるので、本来であれば僕がブランディングをやるべきということになると思います。しかしそれは、「ブランドの自走を促す」ことを生業とする我々が生み出すべきアウトプットにふさわしいのか?結局よくわからんけど、声の大きい、経験があるやつにやらせておけばいいという思考停止の表明になってしまわないか?
これはリブランディングを牽引するチームから出た最初の問いでした。

そして創業社長の考えというのは往々にしてブランド =(イコール)になってしまうことが多いと思っています。
これは強力な牽引力や統率力とスピードを発揮できる一方、言うなれば人治の傾向が強く、ガバナンスは効きづらい上に創業社長の「器」によって全てが左右されてしまいます。それでは企業の未来に限界があるのは目に見えています。遅かれ早かれ、FRACTAの成長に僕がコミットできる総量は少なくなっていきます(少なくなっていかないと、逆に不健全)

人類の歴史と同じように「人治から法治へ」つまり「人ではなく、こうありたいという思いによって統治される」ことが重要だと考えたのです。
キングダムという漫画の中で、とても感銘を受けた言葉があります。
「法とは願い!国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたものだ

これはブランディングに繋がってくる重要なキーワードだと思っています。

我々FRACTA自身もブランドだと思っています。
そして、我々が掲げる法は「Stance & Style」と言い換えることができます。
決して押し付けるような価値観ではなく、強制されるものでもない。
「こうありたい、という願い」

それを社員やメンバー自らが作り上げていかなければならない。そしてそのアクションを多くの企業様に促し、後押しするにあたって、まずは自分たちがそれを実証しなければならない。そして、もう一つ、ブランディングには「終わりがない」ということ。リブランディングを行うということは、新たな決意を胸に、自分たちの成すべきことを持続的に実行し続けることへの表明になるのです。

コロナ禍のリモートワークの中で始まったプロジェクトは困難を極めました。直接会えないことによる、意思疎通の難しさ。
しかし、ここで挫けたら、ここから先に多くのブランドさんに提供できるものが消え去ってしまう。その願いでメンバーたちは邁進してくれていたと思います。(僕は何度も匙を投げそうになった・・・)
50人以上をオンライン会議で繋ぎ、一緒にmiro でワークショップを行う・・・ギリギリの戦いでした。

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↑実際のmiro でのワークショップの様子


僕自身も歯痒い思いを何度もしたし、何度も手を出しそうになりました。
でも「FRACTA」を忘れ去るくらいの思いを元に、人治から法治を目指したのです。
正直、代表である僕は「これは違うんじゃないかなー」とか「これはなんかやだなー」と思う箇所がたくさんありました。しかし、その問いに対して色々な方面のメンバーが「これは今後の我々の方針に照らし合わせると・・・」と文章やグラフィックを元に、懇切丁寧に説明してくれました。
何度か繰り返していくうちに「ああ、僕のためにリブランディングしているんじゃないんだよな」と再認識したのです。
当たり前だけど、どこかでそんな思いを持ってしまうというのが創業社長というものだと、お恥ずかしながら知ることができました。いつも偉そうなこと言ってるのにほんと恥ずかしい・・・

だれのためのサイトづくり?

「だれのためのサイトづくり?」は広報リーダーの花沢が考えたメッセージであり、僕自身に対する強い問いかけでもありました。
「誰のため」のリブランディングなのか?
仲間である社員、そして我々のお客様であるブランドさん、その先にいらっしゃるブランドのお客様、そしてさらにその先に見える社会、日本の未来。
そこがぶれてはいけない。少しずつ僕自身が「FRACTA」というブランドを「理解」し始めました。
すなわちそれは「僕自身」と「FRACTA」の分離を意味し、長年背負ってきた自分の限界と「FRACTA」を切り離すことの実現にもつながりました。

そして、1年の準備期間を終えてやっとそのスタートラインに今立てたというところです。

さてここまで読んでいただいた、方だとなんとなく僕が退任するんじゃないかとワクワク期待している人もいるんじゃないかと思いますが笑


残念!タカちゃんはやめへんでー!


引き続き、代表取締役として居座らせていただきます!が!
僕の器の限界を超えたFRACTA のエンジンパーツとして、今まで以上にFRACTAのミッションにコミットしていく所存です!
社員からも「なんや・・・まだいるんかい」という声が聞こえそうだけど、そんなの知ったこっちゃないもん!

一方で、弊社セールスの西村 @ysm_nsmrとこんな話をしました。

西村「FRACTAも社員が50人を超えて、小さかった頃の手当たり次第力技でやる空気感や熱狂的な雰囲気は少し落ち着いてきて、ちゃんと考えてプランニングされたアクションが実行されるようになってきましたよね。これって組織として成長してると実感する一方、寂しいと思うこともありますよね・・・」

河野「そうだね。確かに寂しくもあるけど、FRACTAに対して求められていることが変わってきているんだと思う。僕らがやるべきことは、自分たちが熱狂的なブランドになることではなく、熱狂的なブランドを生み出すお手伝いをする黒子であるということ。
そして社会全体に対して、できる限りの還元をすること。
それには個々の能力だけでは足らず、よりインテリジェンスに、より体系的に、組織力を持って対処できるようになる必要がある。
すなわちそれは”圧倒的熱量を冷静さという仕組みで内包し、自由にコントロールできる状態”に進化させることなのではないかな? 」

正直、アホなことやっていた頃のフラクタはとても辛かったけど、楽しかった。でもそのステージは終わって、これからは社会に対して責任を果たさなければならない。そんな覚悟をあらためて思った次第です。

さて最後に・・・

当事者として、リブランディングは決して楽なものではもないし、正直怒りを覚えたり、夜も眠れないくらい辛い思いもした、ということをお伝えしておきます。
ブランディングも全く同じで、外からみた時には綺麗に見えることでも、その実は、泥臭い地道なディスカッションとバトルが積み上がって実現されています。
それでも尚、やる価値はあると強くお伝えしたいです。
なぜなら、本気で自分たちと「向き合える」から。
そして、何より自分たちの「存在意義」を認識できるから。

ブランディングは現在進行形です。
リブランディングはまだ始まったばかり!
これからもずっと続いていきます。
ここまで大変だったのにまだ続くんかいw
という感じですが、それがブランディング。
ここから先の進化や変化、失敗経験や成功体験も皆さんのブランディング活動の糧になるように、このnoteでお伝えしていきたいと思いますので、FRACTA の noteをお気に入り登録してもらえると嬉しいです!

長くなりましたが今回はこれで終わり。
大切に育ててきたFRACTA が僕の個人的意識から独り立ちし、「大人」になっちゃった寂しさを感じつつ、僕自身にも来月に長男が生まれることが判明しているので、今度はそちらで改めてリアルな子育てをかんばりたい所存!
引き続き皆様仲良くしてください(^^

我々FRACTAのの「Stance & Style」については、FRACTA のサイトで近々発表致しますので、お楽しみに!

ではではー!


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