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失敗しない野球推薦を通じた高校進学とは?【中学野球 高校野球 硬式野球】

まず初めに僕は、

間違ったことをしなければ、
全ての選手が納得した高校進学を達成することができる

と確信しています。

終わってみて、この高校で野球ができて幸せだったな~ と。

今も高校野球の進路に悩んでいる選手もたくさんいると思いますが、安心してください、絶対に大丈夫です。

ただし、上のように「間違ったことをしなければ」という条件付きですが。。

で、僕の思う間違ったこととは、
プライドや親のエゴによって引き起こされると思っています。

長男も野球推薦で高校へ入学しました。

そりゃ当時は悩みました。

ありがたいことに息子は複数の高校から勧誘をいただける選手でしたが、それでもそこから選択することは本当に難しい。

そこで話し合い、以下の条件設定しました。

  1. 寮OK → 選択の幅を広げるため

  2. 指導力 → 甲子園出場回数よりも、多くのプロ野球選手を輩出している監督さんの高校にしました。それぞれの個性を大切にしてくれると思ったので。

  3. 自分が成長できる高校 → 競争が激しく練習環境が良い高校

大きくはこの3点でした。

長男は次男よりも野球に関してはドM(笑)でしたので、このような条件設定となりました。

結果、1年の秋からレギュラーとなり、甲子園出場はかないませんでしたが、県ベスト4まで行くことができました。
本人も引退時には満足していました。

でも、僕の教え子や長男の同級生の中には、満足いく進学がかなわなかった子もいます。特に多くの高校から声がかかる子はまだしも、それ以外の選手は選択は難しくなります。

高校野球界では、12月から翌年2月までの3か月間、対外試合は禁止です。

これは、気候による野球能力の地域格差を防ぐためとされています。寒いと故障もしやすいですし。

よって高校野球では、この時期に冬のトレーニング期間になります。
この期間で春の選抜高校野球大会への出場がかなわなかった球児たちは、最後の夏の甲子園大会出場へ向けた準備を行います。

実はこの期間ではもう一つ重要なイベントが活発になります。

それは、高校による中学2年生選手に対してのスカウト活動です。

でも、選手や親はこんなことを思うのではないでしょうか?
「まだ中学2年だし、高校進学と言われても実感がないよ」
「高校のリサーチもしていないし、うちの子はこれから伸びるような気がするし、決められないよ」

しかし残念ながら、一部のスター選手を除き、この3か月間が高校進学の正念場なのです。
この3か月を過ぎると、高校は練習試合が解禁となるため、監督やスカウトはもう来ません。

この時期に進路の決断をしなくてもよい選手は、あくまでも一部のスター選手だけです。

ほとんどの選手はこの時期に進学先をある程度決めなくてはいけません。
そんなことはまったく知らずにこの時期を軽く過ごした選手が、のちのち高校の選択で後悔したケースをたくさん見てきました。

前置きが長くなりましたが、この記事では「失敗しない野球推薦を通じた高校選びとは?」と題し具体的な進路の考え方を皆様にお伝えします。

※尚、この記事の内容は、対象の選手が中学野球クラブチームに所属していることを前提としています。


野球推薦の意義

野球に秀でた生徒のために

もちろん学生ですから、まったく勉強は必要ないということはありませんが、野球推薦という制度は、一芸に秀でた生徒を大切にしてもらえるよい制度と思っています。

野球だけでなく、スポーツに打ち込んできた生徒には、我慢強く、礼儀や責任能力が高い生徒も多い傾向があります。

場合によっては学力では入学がかなわない高校でも入学できる可能性も出てくるため、野球以外の面を考えても、選択肢の幅が広がると制度といえるでしょう。

高校の認知度を上げるため

甲子園に初出場したら次の年の志願者が大幅に増えた。
このような話はよくあります。

少子化の進行とともに、

男子校や女子校が共学になったり
高校名の冠に大学の付属を謳い進学の良さをアピールしたり

高校側もいろいろ手を打っています。

一方、甲子園常連校には、たくさんの生徒を抱えるマンモス校が多く存在します。

あの高校の吹奏楽部で甲子園で演奏したい!
あの伝統の応援部に入部して甲子園で応援したい!

生徒の学費で運営している私学においては、甲子園出場のインパクトは絶大です。
そこで野球推薦を設けて甲子園出場のために有力な選手を勧誘するという手法は学校経営にも意義があると言えるのです。

高校の定員維持のため

県によっては公立高校が野球推薦制度を設けて越境入学を許可している高校があります。
これは少子化対策の一環で行われており、地方の公立校の野球部の維持にもつながっています。

やまびこ打線で一世を風びした徳島県立池田高校のレギュラーは、今や半分が県外出身選手です。
甲子園出場経験のある三重県立いなべ総合学園高校鳥取県立米子東高校などもそうです。
このような取り組みは今後も増えてくるでしょう。

公立高校は私立高校に比べて学費も抑えられるため、選手の進路先の一つとしても検討に値します。

まず野球推薦の現実を知ってください

では、どの様な選手が野球推薦を貰えるのでしょうか?

ほとんどの選手が憧れの甲子園出場を目指してクラブチームに入ってきたと思います。しかし、スカウトから声が掛かる選手と掛からない選手とでは、メチャクチャ大きな格差が生じます。

声が掛かる選手は、複数の高校からバンバン声が掛かります。

しかし、たとえ強豪クラブチームのレギュラーであっても、1校からも声が掛からない選手もいます。

声が掛かる選手は一握り、実はこれが現実です。

たぶん、12月から翌年の2月までの3か月間でどこからも声が掛からなかった選手がほとんどのはずです。

声が掛かる選手は、中学1年生の段階からスカウトに見られています。そのころから抜きんでた選手です。

スカウトの目は、はっきり言ってプロです。騙されませんし、騙せません。選手の将来性、性格、大器性など、1試合見ただけで判断できます。1,2球のキャッチボールと走る姿勢、そして練習態度で選手の将来を見抜きます。

さらに、練習中に声が出ていない選手、積極性が少ない選手は考慮にすらされません。
目立つ選手はたとえベンチにいてもわかります。
また、クラブチームの監督からも普段の練習態度、生活態度などは伝わっています。

そこに忖度はありません。

選手に進学先で問題を起こされたらチームの存続に支障が出るからです。「あの子ばかり声が掛かっているのに、うちの子には全く声が掛からない。実力は同じようなはずなのに。」こういう声、結構聞きます。

しかし、やはり声が掛かる選手には負けているのです。その選手に比べて何かが足りないのです。現実は厳しいのです。

選手の親が受けいれるべきこと

選手が納得できる進路をとるためにはまず、親が持っている執着を解く必要があります。

少年野球時代に主力だった選手も、強豪野球クラブチームに入ると普通の選手のカテゴリーになったりします。
まずほとんどの親は、その現実を受け入れられません。

  • 息子は、将来必ず芽が出る!

  • 息子は、いつか体が大きくなる!

  • 息子は、化けるかもしれない!

  • 息子は、誰よりも努力できるから必ず逆転できる!

  • 息子には、運が味方するはずだ!これまでもそうだった!

  • 息子には、奇跡が起こるはずだ!!

可能性はゼロではありません。
お気持ちもわかります。
小さい頃から親子で甲子園を目指してこられたでしょうから。

しかし、
スカウトの目はプロです。伸びしろの見立てもだいたい合ってます。
現実は現実です。
納得できる高校進学を実現するために、まずは受け入れてください。

でも! 進路はそこからがスタートです!

野球強豪校から声がかからなかった選手へ

野球推薦入学の一般的な例ですが、野球強豪校には特待制度があるケースがあります。

Sランク:入学金、授業料全額免除、その他生活補助が出る高校も
Aランク 入学金免除、授業料半額免除など
Bランク 入学金半額免除など

強豪校のSランクの選手は中学野球界でも有名な選手です。
強豪校Aランクの選手でもセカンド私学(県ベスト8くらいの高校)ではSランクになる逸材と言えます。

しかし、上のランク外で入学する選手は、クラブチームが持つパイプで入学することが多くなります。そしてランク外の選手は、入学前に3年間ベンチにも入れない可能性が高いと心得てください。

大学の進学実績が高いことを見こしたり、アルプス応援でも構わないから甲子園に行きたいと考える選手がいるのがこのクラスです。(この考えはこの考えであるのでしょうが)
強豪校のランク外の選手はチャンスの数も限られます。紅白戦ですら出場しにくいと心得ましょう。十分な検討が必要です。

野球強豪校以外の高校は、そこから漏れた選手に声をかけます。
声がかかったということは、試合には出やすい環境で入学できるということです。

僕は高校野球時代は試合に出場した方がいいと思っています。

みんなが知っている野球強豪校へ入学したいというプライド
が親子の判断を鈍らせることがあります。
甲子園という誘惑の力は絶大です。
でも、強豪校に入学できたからといって必ず甲子園に出場できるわけではありません。ほんのちょっと可能性が上がる程度です。

長男の、ある同級生の話し

私の長男の中学クラブチームの同級生は、当時まったくスカウトから声が掛かりませんでした。

でもどうしても甲子園常連校へ入りたいというプライドが、親子共に曲げられませんでした。
再三にわたってクラブチーム側も説得しましたが、最終的にクラブチームのパイプを使って有名強豪校へ進学しました。
その高校は確かに野球での大学進学実績も良いことで有名です。親子はそれも計算していたのでしょう。

しかし、部員数は150人越え。そして一番の問題は、お金。
学費、寮費、親の毎回の移動費などを含めると、毎月20万円程度の出費が掛かったそうです。

そして、一度も公式戦に出場することなく引退しました。

その後、高校のパイプで大学へ野球進学。
そのころは、やはり試合には出たいとのことで、野球的には1つランクを落とした大学へ進学しました。

が、高校時代に試合に出ていなかった影響で、公立高校で試合に出ていた選手からレギュラーを奪えない選手になっていました。

あらためて、選手は試合に出ることが大切であると思いますがどうでしょう。

学校の成績

野球推薦で高校へ進学するのに中学校の成績は絶対に必要です。
どんなに野球の技術が高くても、今どきの高校は成績不審者は獲りたがりません。
どこの高校も、少子化の中で生き残らなければなりません。これからは、偏差値下位の高校からつぶれていきます。学校は、野球を強くすることも重要ですが、勉強の質も上げていかなくてはならない時代です。

ただ、野球の技量を持ち合わせている選手は、一般の生徒よりも優位ではあります。スポーツ推薦は大きなアドバンテージとなります。そこで、野球の技量があっても、最低でもオール3はキープしてください。
選択の幅が広がります。是非、文武両道を実践してください。

中学のクラブチームとのトラブルに注意

進学が決まっていた高校に後日、選手が断りを入れ、クラブチームとトラブルになるケースがあります。
クラブチームのパイプを使って強豪校へ押し込んでもらったのに、選手が途中で自信を失い断ることがあります。
この場合は、親子での意思の疎通ができておらず、トラブルに発展しています。
大切な進路の選択です。親子の深い意思疎通が必要です。

失敗しない進学先の決め方

ではここからやっと具体的に進学先の決め方を提案します。

あなたがスター選手の場合

ここでのスター選手とは、何人ものスカウトから声が掛かっている選手を指します。このような選手は、
目標を高く持ち、甲子園出場やプロを視野に入れた選択をおすすめします。
学校の方も即戦力として期待しているため、試合にも出場できるチャンスは多いでしょう。
さらに

  • 大学の進路実績はどうか

  • 育成方針は自分に合っているか

  • 他の選手の獲得状況

の3点を確認できると、納得のいく高校へ進学できます。


あなたは野球は普通で、学力はまあまあという選手の場合

ここでの普通の選手とは、スカウトに声を掛けられる一握り以外の選手を指しています。

実はこのカテゴリーの選手が、進路に悩むケースが一番多いです。
私は、選手の学力が高く、将来国立大学や有名私立大学を目指すのであれば学力を優先で選択するのもアリだと考えます。
高校のスポーツ専門コースなどでは、国公立大学受験に対応する授業は基本していません。せっかく国公立大学を目指せる学力があったのに、野球引退後に慌てて受験勉強を行う選手をたくさん見てきました。最近は、学力を優先し、野球もそこそこがんばるという高校が増えてきています。このような高校を選択するのも良いでしょう。

次に、学力はあるが、国公立大学や有名私立大学に入るほどの学力はない選手が、野球に専念するために学力のランクを一つ下げた高校を選択するケースもあります。
進学した高校では成績優秀グループとなるため、将来指定校推薦で大学を選ぶことができます。まったく勉強しなくてよいということにはならないでしょうが、野球に打ち込むことができますし、成績上位にいることで、勉強も意気に感じてがんばるようになった子をたくさん見てきました。
こんな考え方もありますよね。

あなたは野球は上手いが、学力は低いという選手場合

野球の上手い子は、学力が低くても入学できる高校は必ずあります。成績未達で特待などのオプションが無いこともありますが、野球で頑張ると腹をくくりましょう!
野球での大学進学も目指しましょう。

あなたは野球は普通で学力は低い選手

クラブチームにパイプがあればそれを生かしましょう。
クラブチームの指定する高校へ進学することをお勧めします。
選択肢は少ないですが、野球界のつながりに感謝し、甘んじてお受けしましょう。
そして打倒強豪校を目指しましょう。すばらしい青春の思い出になりますよ!

まとめ

そもそも、悪い(?)高校って存在するのでしょうか?
多分、本当に悪い高校であれば廃校になっているでしょう。
どの高校にも熱心な指導者、先生方がたくさんいらっしゃいます。
生徒に親身になってくれる高校ばかりです。

偏差値が高い学校や野球強豪校の先生方が、他の先生方より優れているというわけではありません。

私は、最終的には
入学した高校が正解
だと思っています。ご縁だと思っています。

最後には選手が選択をすべきですし、選択した高校に誇りをもつべきです。
高校野球を思いっきり楽しむ気持ちが大切です。
悔いのない選択をして下さい!













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